第17話

同時刻、管理局周辺。孤衣無現、龍爪紅、雛菊一の三人は走るペースを上げていた。

「もうっ、だからバスに乗りましょうって言ったじゃないですか!」

「駄目だ。酔う」

「会議に遅れる方が駄目なんですよ!?」

「そんなことはない。龍爪は走りたくないだけだろう。確かに、その身体じゃ病み上がりの僕よりだいぶ辛いとは思うけど」

「誰が小学生ですか!」

「ま、まあまあ、龍爪先輩落ち着いて……」

 軽口を叩く余裕があるあたり普段から遅れることに慣れている現、体調よりも遅れることが問題だと言う龍爪、どちら側にもつかないある意味一番賢い雛菊。三者三様の性格と在り方が窺える。

 タイムリミットも距離的にもあと少し、一刻を争うこの場面で現はあることに気づく。

「あっしまった」

「今度はなんです!?」

「携帯を病院に忘れた。今からとりに」

「ダメです!!」

「流石に後回しっス……」

 流石に二人に強く言われては現もわがままを言えなかった。

 指してこそいないが、時計の短針は既に五の数字にかかっている。会議開始まであと二分といったところだろう。

 腕時計とにらめっこしながら綺麗に掃除された階段を駆け上がる。

 管理局は組織の存在そのものが秘密のため、管理局だけの建物を持たない。一般企業等が借り入れるビルの中の、その内のワンフロアを管理局の根城としている。

 某ビルの四階、プレートに会議室とだけ書かれたそこが管理局の局室。

 謝罪の言葉を用意しながら、龍爪が勢いよくドアを開ける。

 その中で地神稲荷が死んでいた。

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