第533話 水も滴るなんとやら
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そして、7/25に6巻の情報開示されますので、どうぞお楽しみに!
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「お、温泉魚さん達……」
確か前日お湯に入った時は、みんな自由気ままに泳いでいたよね?それがなぜ隊列!?ベティ君から「礼儀を尽くせ」って言われたの!?いや、魚の礼儀ってなに!?というか『お嬢』って私の事!?どこの組事務所ですか!!
「お前ら……また出たか……」
オリヴァー兄様が半目になりながら呟いた瞬間、魚達は『あっ!お嬢に不埒を強いる極悪人!!』『ふてぇ野郎め!!』『お嬢から離れろ!!』と、口々に喚きながらピチピチ飛び跳ねている。兄様も、なんとなく悪口を言われているのが分かるのか、背後に暗黒オーラを滲ませている。兄様、落ち着いて!!
「クライヴ!風呂に魚がいるんだけど!?」
アシュル様が目を丸くして温泉魚達を見ている。ええ、そりゃそうですよね。普通温かいお湯の中に魚がいるなんて思わないもんね。
「ああ、なんか温泉に生息する珍しい小魚らしいぞ?エレノアの前世では『
「へぇ~、面白いね。じゃあ、是非僕も診てもらおうかな?」
ピチピチ飛び跳ねている温泉魚達を見ながら微笑むアシュル様に対し、温泉魚達は『てやんでぇ!べらぼうめ!』『お嬢と坊ちゃん以外は論外!』『野郎は知らん!』『自分で垢すりでもしやがれ!』とでも言うように(実際言っているんだろう)口をパクパクしている。
「……うん。なんか非常に不愉快な事を言われているような気分になるね」
あっ!アシュル様が笑顔で青筋立てている!流石の勘の良さだ!!そして温泉魚達ですが、しっかり悪口言ってます!君達、浄化される前に口を閉じようか!?
「まー、いいじゃねぇか!魚がいようがなんだろうが、まずは湯に入ろうぜ!!」
「あ、ディラン兄上!湯に入る時はお湯で身体を流してからですよ!?」
「あー、そういやそうだった!」
「ディラン兄上って、小さい頃からうっかり先に湯に入っては、母上に怒られていたよね」
「だってよー!でっかい風呂って、気分が上がっちまうんだよなー!!」
「そう?ただ単純に、お湯がいっぱいあるってだけの、大きい湯舟じゃない」
「フィンレーは、大浴場ではしゃぐ母上にそう言っては『ロマンがない!』って言われていたよね」
ワイワイ話しながら、彫刻からかけ流し的にお湯が出ている洗い場に行き、各々の身体に湯をかけていくロイヤルズ。
……ふふ……。なんか凄く微笑ましいな。まるで修学旅行先の大浴場に一緒に入った学生達のようだ……。
『――ッ!!?』
なんて、微笑ましく見守っていられたのは、彼等が湯を被る前までだった。
全身を湯で濡らした彼らは、まさに水も滴るなんとやら!!美しさという名の凶悪さがパワーアップしていた!!
まさに眼福ならぬ眼殺!!兄様方やセドリックの入浴着で、多少慣れたと思っていた自分を全力でぶん殴りたい!!
『ア、アシュル様の身体……ッ!!きっ、着痩せするんだろうと思っていた通り、なんという我儘ボディ!!ク、クライヴ兄様と同じぐらい、良い感じに引き締まっているっ!!これ絶対、魅惑の腹筋保持者!!脱いだら更に凄いんです系!!』
水に濡れた髪の毛が差し込む光を反射して、キラキラ具合も倍増しになっている気がする!これは決して私の気の所為では無い筈!!
しっとり艶やかな、白い大理石のような肌に、水が滴る様もまたエロい!!ああっ!!アンニュイ(に見える)な表情で髪を無造作にかき上げるだなんて!!世の女性達を悩殺したいのですか!?閨教育において百戦錬磨の達人を、その笑顔と仕草だけで腰砕けにしたという伝説、誇張でもなんでもなく大真面目だったのですね!?
あ、ちなみにですがその腰砕け云々の情報、出所はオリヴァー兄様です。
それを知ったアシュル様が「なんで君がそんなふざけたガセネタ知っているんだー!?」と激怒して、オリヴァー兄様と決闘寸前までいったって、クライヴ兄様が言っていました。
『そして、ディーさん!!し、しっかりピッタリ入浴着が肌に張り付いて、我儘ボディが余すところなく全開に!!?し、しまったぁー!!クライヴ兄様よりもガタイがいいから、濡れたら全力でピッタリ張り付いちゃったんだー!!は、初めて男性の入浴着姿を目にした時の衝撃再び!!ジョナネェのバカー!!』
最後らへん、動揺のあまりジョナネェを罵倒してしまったけど、いや本当にディーさんったら、アーウィン様ばりの上腕二頭筋と胸筋と腹筋ですよ!!
そして、濡れそぼった姿が野性味の溢れる美貌にベストマッチしております!!本人至ってのほほんとした性格なのですが、それを知らなければ「ワイルドでセクシーな魅力に喉元食らいつかれそう!」なんてよろめき倒れる女子続出ですよ!!私と出会う前、豊満なお姉様方とよく遊んでいたというのも納得です!あ、ちなみに情報元はフィン様です!(後でディーさんにぶん殴られてました)
『フ、フィン様!?い、いつもかけている眼鏡がないのが、ちょっとだけやんちゃ系に見える。ああっ!!ぬ、濡れた髪の毛を鬱陶しそうにかき上げる仕草!!ちょっとワイルドに見えて、ギャップ萌えが発動しそう!!というか、鬱陶しいならなぜ濡らした!?……そ、それに思っていたよりもスリムではないというか、着痩せしていたというか……。しっかり引き締まっているのが分かる!』
多分あの入浴着、セドリックから借りたんだろう。少しゆるそうだから、フィン様ってやっぱり華奢な分類に入るんだろうね。
で、でも水に濡れて張り付く入浴着が一番セクシーに感じてしまうのは、やはり黒髪だからなのだろうか!?オリヴァー兄様のおかげで私、黒髪に異常に反応するようになってしまったのかもしれない!!罪だね、オリヴァー兄様!!(もはや思考が意味不明)
最後にリアムですが、リアムとは先日二人っきりで混浴しているので、その時に色々と顔で語ってしまったらしく、物凄くリアムが照れてしまって、私もそれ見て照れまくるという、ある意味アオハル的青春を謳歌していました。
敢えていうならば「見た目の麗しさと筋肉の付き具合が絶妙だった。もっと成長したら、照れるだけでは済まなかった」……とでも言っておくとしましょうか。
「……うん。しっかり僕らの姿に萌えてくれているのは分かるんだけど、なにを考えているのか読み取れないのは残念だな」
……そう、私は今現在、饒舌な表情筋を隠すべく、オリヴァー兄様の後ろに隠れてロイヤルズをチラ見しております。
それにこうしていると、兄様方やセドリックも私の表情を読み取れないから、呆れられたり怒られたりしなくて一石二鳥!あ、オリヴァー兄様も私に抱き着かれて嬉しそうなので、一石三鳥ですね。
『う~ん……。しかし、こうして改めて見て見ると、ガタイが良いとはいっても全員ムキムキマッチョ系ではないのが凄い!』
この傾向は、もはやロイヤルズのお約束なのであろうか!?いや、でもアルバ男って全体的に細マッチョというか、ガチムチ系があまりいないような気がする。
「……にしても、この服。水に濡れても不快感を感じないな」
「だよな!もっとこう……。張り付いて気分が悪くなるかと思ったけど、全然問題ねぇわ!」
「でもやっぱり、裸の方がいい。ねえ、エレノア。今からでもこれ脱いじゃだめ?」
「ダメです!!」
男性用入浴着、最初はブーイングの嵐だったけど、概ね高評価で良かった。
ジョナネェの渾身の一品『男性用入浴着・改』それは吸水性と撥水性を併せ持つという、『
皆様方の仰るとおり、着衣のままお湯に浸かるという不快感を極限まで感じさせない至極の逸品である。
……まあ、この男性用入浴着。そもそもこの世界に存在しなかったのを、私の
以前マリア母様に「なにそれ、ばっかじゃない!?」と言われたとおり、肉体美を見せてなんぼのこの世界では需要がないだろう。というか、作るという発想すらないに違いない。
実際、これをジョナネェに作成依頼した時は、「ああん?濡れて素肌に張り付く透け感を無くせ?ちょっとぉ!最大の醍醐味を無くすなんて、舐めてんのあんた!?」と、大反発されたもんだ。
結局、渋々作ってくれたんだけど、「ならば少しでも見て楽しめるように!」って、いらん気を回して『濡れた素肌にピッタリ張り付く入浴着』を作って寄越したんだよね。
兄様方とセドリックのあの我儘ボディだけでなく、至極の腹筋までもがバッチリ眼前に晒された時の衝撃たるや……。思わず過呼吸とのぼせを起こし、醜態を晒して余計な事をベラベラ口にしてしまった(らしい)。それを知った時の私の羞恥心たるや……!忘れられませんわ、まったくもう!!
「じゃあエレノア、僕達もお湯で身体を流そうか」
そう言われた瞬間光の速度で兄様達から離れ、端っこの彫刻で湯を被る。無言の抗議が背中に刺さりまくるけど、気が付かないフリをする。だって、慣れたとはいっても兄様達の入浴着姿が凶器であるのに変りないもん!
しかし、皆のセクシーすぎる濡れ場(言い方!!)に気を取られ、偽乳パッド付きの入浴着を兄様達やリアムにバッチリ見られてしまったのは痛恨の極みだった。
そしてリアム!「エレノアって、意外と胸あるね」と至近距離で私を見た時、フィン様がのたまった言葉に対し、「いや兄上、あれ絶対違うと思います」と律儀に訂正した恨み、忘れないからね!?
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テヤンデェ隊との抗争の前の、平和(?)なひと時でした(*´艸`)
そしてナチュラルに身内蹴りをしているのは、アルバ男の性であろうと愚考致します。
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