第12話遺品

私の父が亡くなった。


交通事故だった。


青信号で横断歩道を歩いてるときに、車に撥ねられたようだ。


私は父の死にショックで、言葉が出なかった。


数週間後、ようやく気持ちが落ち着いた私は父の遺品の整理をすることにした。


読書が趣味だった父の部屋は本がたくさんだ。


小説、雑誌、歴史書、医学書などなど。


父はなんでも読んでいた。


そんな父の部屋から私は段ボール箱を見つける。


「なんだろう」


気になって中身を開ける。


新聞紙の固まりが一つ。


「中に何か入っているのかな」


開いても開いても新聞紙。


最後の新聞紙を開くと、中から大量の爪が出できた。


「なにこれ...」


大量の爪。


それは爪を剥がして集めただろう大きな爪だった。


その大きな爪に文字が。


「死んで」


その文字が全部の爪に書かれている。


この爪は父の爪なのか、それとも知らない人の爪なのか。


そして誰が文字を書いて、誰に向けて書いたのか。


私は怖くなり、そっと新聞紙に包み直しゴミ箱に捨てた。




























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