第13話バイバイ

信号待ちをしていると手を振っている人が目に入った。


黒色のスーツを着た男だろうか。


歳は40代くらい。


周りを見る。


私と同じように信号待ちをしている人はいるが、誰も手を振りかえしていない。


「一体誰に手を振ってるんだ...」


信号が青になった。


歩き始める。


例の人はまだ手を振ってる。


しかも立ち止まったままだ。


「気味がわるいな...」


その男からなるべく離れた場所から、信号を渡り切った。


チラっとその男を見る。


どうやら私に手を振っているようだ。


笑顔で手を振ってくる。


そのうち片手から両手で手を振る。


その手を振る速度が激しくなった。


「バイバイ~バイバイ~」


高速で両手で手を振りながら私に叫んでくる。


「バイバイ~!バイバイ~!」


きっとコイツはこの世の者ではない。


私はそう確信し、足早にその場から逃げた。










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