第6話遺影

私の家には祖父の遺影がたくさんある。


その数、100枚ほど。


祖父の若い頃から歳を取った写真まで色々。


肖像画まである。


ここまでは普通の家と変わらないかも知れない。


だが私の家が他の家と違うのは、死体の写真まであることだ。


祖父は病気を苦に首吊り自殺をした。


その首吊り自殺したときの写真がたくさんあるのだ。


苦しんで死んだだろう顔。


だらんと垂れた腕。


力ない足。


さまざまなな角度から撮った。


そう、私の家では死ぬ瞬間その時までが遺影になるのだ。


だから死を悲しむ前に写真をおさめる。


きっと私の家族が無惨に死んでも、その瞬間まで私はカメラで撮り続けるだろう。


だがそれももう終わりにしたい。


私は今、ビルの屋上から飛び降りようとしている。


後ろにはカメラを構えた私の家族。


タッ。


私は屋上から飛び降りた。


パシャ!。


その瞬間、たしかに私はカメラのシャッター音を聞いた。









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