第4話 自分の弱さ
金曜日、仕事終わりに友人3人と飲みに行った。
日頃は他県に住んでいる友人が帰省するタイミングで集まった今回の飲み。話の話題は小、中学校の頃の思い出話や現状の報告等、お酒が回ってみんなよく喋っていた。
1次会の居酒屋ではそんな感じでいい雰囲気だった。22時ごろに一区切りついてお店を後にした。なんとなくの流れでコンビニに寄りアイスを買って外で食べた。外は風がやんわりと流れ、動かなければ汗はかかないような気候。アイスを食べながら話しつつ、とりあえず歩いた。歩く道は街灯があまりなく、3m先もあまり見えないような暗さ。周りは寝静まりしーんとした静けさがある。人間はこのような状況になると、4人だけの空間にいるような錯覚になり、ディープな話をしたがる。夜のお店に行ったことがあるか等々。私はその場の空気感に飲み込まれ友人の発言について共感できないことにも共感してしまっていた。その後ビリヤードを少しして、日付が変わる頃に帰宅した。
次の日、目を覚ました私は昨日のことを振り返る。この癖は前からで自分の言動においてよくなかったことやよくできたことを思い起こし、1人反省会をする。
振り返った時、全体として自分が楽しかったと心の底から思えず、なにかモヤモヤする感覚が残っていた。その一番の理由は、自分を貫くことができなかったことである。詳細は避けるが、1人が言った女性に対しての感覚についてはっきりそれは違うだろと否定することができず、そうなのかと心の隅で感じてしまった自分がいたのだ。もちろんその場で直接その友人でそれは違うだろうというのは違うと思う。しかし、自分の中では今までの経験から学んで得た答えに対して、明らかに違う場合ははっきりとNOを心の中で言えなければいけないと思った。これは自分に自信がないというのが原因だが、もう一つある。それはこの友人に意見が合わないという理由で距離が空けられてしまうではないのかという気持ちがよぎったからで、その場では同調するように頷いている自分がいた。
私の中でこの気持ちは根強く、それは幼少期の体験が原因である。当時、私は好きなことや熱中していることがあまりなく同級生と共通の話題がなかったため、友人を作る術が皆無だった。そのため友人はほとんどおらず、深い仲になれる人もいなかった。そして、案の定どのコミュニティーにも属することができず孤独な学生生活を送っていた。そんな中で覚えたことが他人の意見に同調することである。その場しのぎかもしれないが、何かしらのコミュニティーに属せる感覚になることで周りから浮いていると思われにくくなる。そしてあの時感じた孤独の悲しさ、恐怖から遠ざかることができるのである。その感覚が今も鮮明に残っているため同調が自分を否定することにもなることを知っているのにも関わらずいまだにしてしまうのだ。
いつになれば自分に自信が持てるようになるのだろう、どうすれば自分を貫くことができるのだろう。今までに何百回も考えてきたが明確な答えにはまだ辿り着けていない。
そんなことをずっと考えていると気づけば起きてから1時間が経っていた。
人と関わるのは私にとってとても体力と時間を消費させる長い旅だ、そして今後もその旅は続いていく…。
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