第2話 タイヤ交換

先日、自分の車のエンジンオイル交換をするためディーラーに行った。

そこで以前から気になっていたタイヤの状態について合わせて診てもらった。案の定、結構な劣化状態らしく『パンクする恐れがあるので早めに交換してくだい』と言われた。在庫があるため今からでも交換できますよと言ってくれたが、その日は用事が待っていたのでひとまずエンジンオイル交換のみとした。

次の日、早速タイヤ交換をしてもらおうと某車用品店に言った。昨日までは何も思わず運転していたが、状態が良くないですと一度言われてしまうと運転するのがすこし怖くなっていた。そんなビビリな僕だが無事お店に着いた。店内に入り、レジにいた女性店員に現状と同じタイヤの在庫と価格を確認してもらった。レジ横の受付に案内してもらい椅子に座った。数分後、女性店員がタブレットを持ってこちらへやってきて『当店に在庫がないので、取り寄せる形となります。』と言われた。見積書ももらいディーラーと大差ない価格だったため、ディーラーで交換しようと思い、女性店員に挨拶をし、その場を後にした。

車内に戻り、早速ディーラーに電話をしようとした際受付で待機している時にたまたま目があった、もう1人の女性店員がタブレットを持ってやってきた。何か忘れ物でもしたかなと感じたがその女性店員はこう言った。『先ほど調べたタイヤは在庫がないですが、メーカー、型式にこだわらなければこちらはいかがですか。』そう言って持っていたタブレットでタイヤの特徴、価格を教えてくれた。

そのタイヤは後々調べて分かったが、当初のものよりグレードの良いものでそれを見積もってもらった価格より安く提案してくれていた。

こんな経験が今までになかったためこの時点でこのお店で交換しようと決めた。

この女性店員のような行動をするためには常に周りの状況を把握する能力や素早く提案する能力が必要になってくる。そのような能力は簡単には習得できないし、いつ役に立つかわからない。自分の努力に見合ったことが返ってくるとも限らない。なのになぜそのようなことができるのか考えた。その店員の方はお客さんに満足してもらいたいという気持ちが前提としてあるからではないか。そう思った。そしてその思いを継続して持ち続けるためには自分が安定した精神を保つ必要があるし、それは簡単にはできないことだと思った。現に私も気がつくと心が疲れ果てていて他人のことまで考えられない時がある。だから、今回体験したことはとても貴重な経験だと思った。

そして、最初に対応してくれた女性店員の方にもお礼を言いたい。

30分ほどでタイヤ交換が終了し、運転してみるとタイヤだけ交換したとは思えないほど運転した時の感覚が良くなっていた。曲がった時や振動が変わった。

今度は今回経験した思いやりのバトンを僕が他の人へ渡せられるようになろう。

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