第十一話 "古よりきたれり" / 後編
敵の配置は、前線に〔ワーリングアッシュ〕が2体。バトルギミックは〔炎の渦〕で、毎ラウンド終了時、ランダムな2体に2d+4(生命抵抗16で半減)点の炎属性魔法ダメージが発生する。
……が、ワーリングアッシュは炎無効であるため、ダメージを受けるのはこちらだけである。抵抗自体はまあまあできそうだが、それでも5,6点くらい食らうからな……面倒な相手だ。
ひとまず先制判定は(コロコロ)成功した。まずはこちらから動く。
と言っても、投げが通じないし【ファイア・ウェポン】も意味をなさないので、とにかく蹴りと【リープ・スラッシュ】を叩き込み続けるしかない。まずは片方に34点を与えて終了。
相手の行動、どちらも『灰で覆う』でフィオラを攻撃。抵抗は成功したものの14点受ける。更にギミックのダメージもフィオラに入って5点。
フィオラ:「ええい、鬱陶しい……!蹴った感触がしねえからダメージ通ってんのかも分かりにくいしよ!」
攻撃の手を緩めたくないので、回復は自前の【ヒールスプレーA】で解決。再びキックと【リープ・スラッシュ】をすることに。
命中・威力共に出目が良く、一発目で1体撃破し、リプスラは残ってた方に撃ち込まれて、残り37点。
相手の反撃は半減、ギミックの炎は素通しになって、フィオラには合計15点。普通にめちゃくちゃ痛い。
いっそエンハンサーをガン上げして、【リカバリィ】+〈スマルティエの武道帯〉でも揃えておくか……?ヒルスプと合わせて20点くらい回復できたら、ウルリサの手を借りる必要がなくなって戦闘がスムーズになりそうだし。
三手目、自身は【ヒールスプレーA】とキック。一発当たって残り19点、落としきれないため、ここはウルリサに【キュア・ハート】してもらって全快。
敵の反撃+ギミックで11点を受けた後、返しのキックが命中、21点。HPもMPもまあまあ削られたがなんとか勝利した。
戦利品……は、自動取得の600Gのみか。しけてやがる。
フィオラ:「どうにかなったか。……げほっ……あー、喉が苦しいし、火の粉で肌が痛えし。碌でもねえとこだな」
カデア:「長居はしたくないな。さっさと目的の物を回収してずらかろう」
フィオラ:「おう。……そういや戦闘中に、ちょっと気になる床が……あぁ、これこれ。なんか開けられそうじゃね」
カデア:「どれ……確かに。それじゃ、調べさせてもらいますか」
戦闘後、地下室から木箱いっぱいの治療薬を回収。これ以上肺と喉がやられる前に、焼け落ちる宮殿を後にすることとなった。
フィオラ:「ってことで、薬を持ってきたぜ。これで合ってるよな?」
そのまま集落へと戻り、苦しむ人々に薬を渡して飲ませると、彼らの爛れた皮膚がみるみる元の姿に戻っていく。
サウリル:「───、─────……あなた達はきっと、神々の遣いに違いない、ってさ。だいぶ感謝されてるみたい」
ウルリサ:「遣いなんて、そんな大層なものじゃないけど……でも、良かった。幻だとしても、苦しんでいる人達の助けになれて」
アルナブ:「敬虔だなぁ……ん、あれ。ここに来た時と同じ魔法陣が」
フィオラ:「攻略完了、ってとこか?……んじゃ、進むか。どこに連れて行かれるのかは分かんねーけど」
そして、人々の傍らに浮かび上がった魔法陣に、一行は踏み入って、人々に見送られながら、この空間を抜け出したのだった。
◇ 叡智の獣 ◇
ヤザン:「さて、ここは……おや。また見渡す限りの星空があるな」
シヴァニカ:「でも、荒野のど真ん中ではないわね。この地面は……何かしら。ヘキマ様のお屋敷で、見たことがあるような」
カデア:「これは……大理石?まるで神殿みたいだ」
サウリル:「まるで、というか、神殿そのもの……かな。壁も天井もないけれど」
次に一行が連れてこられたのは、そんな空間だった。
大理石の床が、星空と共にどこまでも続く。一行の正面に見える道の両脇には、光の柱が並び立ち、その奥にはひとつの像が見える。
ウルリサ:「あっ。あれは……テケルロコ様の神像?」
フィオラ:「へー、あれが。……あん?あの像、どっかで見たことあるようなデザインな気が……あ、思い出した。マカブにもあったな、こんなの」
フードを目深に被り、顔を隠した、女神の像。
それは、故郷マカブの神殿の中で見たものと、殆ど同じ見た目のものだった。
唯一違うのは、この神殿の神像は、巨大な黄金の剣の切っ先を、床に突き立てているところか。
ウルリサ:「あら。じゃあ、あなたのところもテケルロコ様を信仰していたの?」
フィオラ:「いや、全く……というか、この像があった神殿、普段は閉め切られててたからな。ワリムのじっちゃん……村で唯一の神官も、ライフォス信仰だったし」
ウルリサ:「そうなの?……神像があるってことは、ちゃんとした神殿だと思うけど……まぁ、文化なんて土地によりけり、かしら」
改めて、故郷の神殿のことを不思議に思いつつ、その神像に近づいていく。
すると、星空にまばゆい閃光がひとつ走り─────それは、一行の目の前へと流れ落ちた。
フィオラ:「まぶっ……なんだ、随分派手な流れ星だなおい」
ヤザン:「いや……流れ星じゃないみたいだ。見ろ」
落ちてきた光が弱まっていくと、その正体が明らかになった。
獅子の如き胴体からは、ドラゴンの尾が伸びているほか、燃えさかる炎を翼のように広げている。しかしてその顔は、黄金に輝く、人間の女性のもの。
ひと目見て、普通の生き物ではないと分かる外見をした存在。
アルナブ:「あれは……スフィンクス?でも、一般的な個体とは違うみたい」
スフィンクス:『知識を求める者よ。お前たちが求めるものを、私は知っている』
その獣、スフィンクスはそう言って、こちらをじっと見つめている。
どうやら通常の個体と同じく、知識を授けてはくれるようだ。
カデア:「性質は同じみたいだな。……フィオラ。ここからはあんたの役目だろう」
フィオラ:「あぁ。……無貌の神って奴と、その神殿について、教えて欲しいんだけどよ」
スフィンクス:『いいだろう。ならばまずは、お前たちの力を示せ』
フィオラ:「力か。知力って意味なら、今のうちに降参を宣言すっけど」
サウリル:「諦めんの早いわね……」
スフィンクス:『案ずるな。示すのは、武力で良い』
言うやいなや、スフィンクスは星空に舞い上がる。すると再び星空から、まばゆい光……もとい、巨大な炎の塊が、隕石の如く降り注ぎ始めた。
その中でも、一際大きな塊が神殿に落下すると、それは変形し、スフィンクスを象った。これと戦え、ということだろう。
スフィンクス:『さあ、力を示せ。さすれば、知識を授けよう』
フィオラ:「力でいいなら、なんとかなりそうだな。……いっちょやったりますか」
かくして第十一話クライマックス、珍しく物騒ではない戦いが始まることに。
まず、戦闘準備として、こちら側のみ3ラウンドの猶予が与えられるらしい。
この間にバフを盛っておけ、ということなんだろうが……(敵データを見る)(また炎無効がついてる)(精神抵抗が必要無い)アルナブの仕事がない。
……まぁ、薬草使うのを忘れてたので丁度いいか。適当に【ヒールスプレー】のAだったりBだったりを使って全快にしておき、それで戦闘を始める。
敵は〔獣の分身〕。原種のスフィンクスとは大きく能力が異なっている、まったく別の魔物だ。炎属性の攻撃をしたり純エネのブレスを吐いたりしてくる。
ギミックは久しぶりの〔岩〕と、〔隕石〕。ランダムなエリアに隕石が降り注ぎ、そのエリアの対象全員が2d+6点の衝撃属性魔法ダメージを受ける。
……が、例によって相手だけ衝撃無効を備えている。ずるいぞ。
とりあえず先制判定に成功して、こちらの手番から。飛翔能力込みで、胴体の回避が17、翼が16。まあまあ厳しいな……
とりあえず翼から落とすことにして、まずは【ヴォーパルウェポンA】【キャッツアイ】【ガゼルフット】と言ってから二連キック。両方命中して30点、そこにサウリルの【リープ・スラッシュ】が入って46点。ギリギリ翼を一枚落とした。
敵の攻撃、翼の攻撃へは〈ブレードスカート〉を返して13点。胴体は強化されて形状:貫通となった灼光のブレスを放ち、フィオラに11点、プラトーンに7点。
ギミックの隕石が落ちたのは(コロコロ)敵軍後方エリアだったため、特に意味無し。
二手目、ソレイユフラッシュを叩き込んだ後に二連キック。一発一回転して合計40点、リプスラを足して56点。意外と順調だ。
相手の反撃、胴体翼共に〈ブレードスカート〉を返して12点と11点。隕石は自軍後方に落ち、プラトーンに4点のダメージ。
三手目、キック一発とリプスラで胴体を落としきり、無事に撃破。思ったよりも一方的な勝負に終わった。
魔法と謎掛けで無限ハメをしてくる原種と違って、えらく常識的な性能だったな……まぁスフィンクスと正面きって戦うことも、そう無いとは思うけど。
戦利品は1000Gと……〈紅金〉が1d6、で5個出た。必須アイテムが戦利品の14~の欄に入れられるとは思い難いので、あくまでおまけだろうか。
◇ 無貌の神の正体 ◇
スフィンクス:『ふむ。見事だ』
フィオラ:「なんとかなったな。……それじゃ、改めて聴かせてもらうぜ。この神と、その神殿についてを」
スフィンクス:『良かろう。……時は、魔法文明時代の初めまで遡る』
戦闘終了後間もなく、スフィンクスによる歴史の授業が始まった。
スフィンクス:『かつて、ファルーメという魔法使いがいた。彼は、神々の恩寵が失われた暗黒の時代を導くためには、英雄となる存在が必要であると考えた』
アルナブ:「神々の……あぁ、そっか。神紀文明時代の直後か」
スフィンクス:『然り。そして彼は、ひとりの神を降臨させるための神殿を築き上げた。それが、テケルロコと、無貌の神の神殿だ』
ウルリサ:「へぇ。テケルロコ様って、そんなに古い時代からの神様だったのね」
自身の信仰する神の歴史とあって、ウルリサは人一倍真剣に聞き入っていた。
……が。その表情は、一瞬で狼狽へと転じることに。
スフィンクス:『あぁ─────だが、テケルロコは、英雄を導く神などではなかった。その本質は、育て上げた英雄を殺し、その魂を収集することを目的とする、歴とした邪神だったのだ』
突然の信じがたい事実に、ウルリサは言葉を返すことすらできないようだった。
それを知ってか知らずか、スフィンクスはそのまま話を続ける。
スフィンクス:『ファルーメは打ちひしがれたが、それでも使徒となった。邪神の奸計すらも打ち破る、真の英雄……それこそが、世界に光を齎すと信じたからだ』
ヤザン:「……ちょっと待て。つまり我々現代人は、邪神だと知らずに、それを崇めているということか?」
スフィンクス:『そうなるな。……さて、テケルロコが使徒となったファルーメに与えた恩寵だが、それは彼にとってとても望ましいものだった。英雄の魂を捧げた見返りとして、記憶を保ったままの転生を約束するものだったからだ』
アルナブ:「【リーンカーネーション】みたいなもの……いや。神そのものが行使する力なんだから、それよりずっと優れたものか」
スフィンクス:『そうだな。そしてファルーメは、数多の英雄をテケルロコに捧げ、転生し、また捧げ……いつの日か、この邪神を打ち破る者が現れる時を待ち続けた。その時こそ、自身の使命、永劫の旅路の終わりだと信じてな』
ウルリサ:「……そ、んな……嘘よ。テケルロコ様が、邪神だなんて……そんな侮辱は……!」
ここまで聴かされて、ようやくウルリサは言葉を発した。目覚めたサヤリと会話した時のそれと同じくらい、狼狽えているように見える。
スフィンクス:『この世に永遠のものなど存在しない。かつては
カデア:「つまり……なんだ。テケルロコも、最初は邪神ではなかったと?」
スフィンクス:『うむ。神格というものは、時の流れ、人々の信仰によって、いかようにも変容する。だがその変容は、あまりにも緩やかである故に、定命の者たちでは、認識することができないのだ』
フィオラ:「それこそ、不死身でもねーとか。……先に言っとくけど、本当に不死身になろうとか考えんなよ、ウルリサ」
ウルリサ:「そんなこと……いや。でも、そうね。正しい神、正しい信仰に変えるなら、それくらいの覚悟がいるのよね」
かと思えば、凛とした、決意に満ち溢れた表情を見せる。
物心ついた時から信仰を捧げてきた神なのだ、そう簡単には受け入れられないものかと思ったが……むしろ、彼女の信仰心を更に強くしたのだろうか。
スフィンクス:『然り。多くの者が、正しき神としてテケルロコを信仰し、やがては、邪神として崇める者がいなくなれば、或いは』
ウルリサ:「それなら……それなら。私は、信じ続ける。正しく英雄を導いて、正しい神だとして、人々に教えを広めて。私が、テケルロコ様を変えてみせる」
スフィンクス:『そうか。……信仰とは、強き者に縋ることではない。自らを律するための内なる法則と、信念を見出すことだ。そなたのそれが、他者の信仰を、世界を、変えることもできよう』
フィオラ:「あー……盛り上がってるとこすまん。神殿の話に戻ってもらえるか」
さて、決意を固める彼女の横で、申し訳無さそうに言ってみる。
スフィンクス:『あぁ、そうだったな。ファルーメは、そうして生き続ける中で、いくつもの無貌の神の神殿を築いたが、しかしそれらはほぼすべて、破壊されるか風化するかして、その機能を失っている。この神殿を始めとして、オーレルムの地には、特に多く残っているようだな』
フィオラ:「マカブの神殿もそんなとこ……なんかな」
だとしても、閉鎖されていた理由や、『墓所』という意味を持つ理由が未だ不明なのだが。
シヴァニカ:「……あれ。でも道中、変な空間に飛ばされたけれど。あれは?」
スフィンクス:『あぁ。あれは神殿の力ではなく、“魔剣の迷宮”としての力だな』
カデア:「なんだ。神殿じゃなくて迷宮になってるのか、ここ」
スフィンクス:『マイドゥルスが生み出した、黄金の魔剣の力で、な』
スフィンクスが目をやった先にあるのは、神像が持つ黄金の剣。
なるほど、魔剣自体は無事なのか。そっちも持ち帰りたいところだが。そうしようとするなら、今度こそスフィンクスと戦わないといけなくなるんだろうな。
スフィンクス:『そんな迷宮の主として、お前たちにはもう一つ褒美をやろう。力か、財か、宝か。何を望む?』
財と宝が一括りにされていないのは、この世界における貨幣が少々特殊なもの(ガメル神が関わってくる)だからだろうか。
一応、材料自体は普通の金や銀が使われているらしいが。それでも虚無から生み出したりした日には、神罰を下されるに違いない。
さて、提示された報酬は次の三つだ。ひとつ、経験点2400。ふたつ、24000G。みっつ、〈紅金〉を24個。
先ほど獲得した5個だけでは心もとない……というか、固定で24個くれる時点で、全然足りてないのだろう。ここは変に欲を張らず、追加で〈紅金〉を頂くことに。
フィオラ:「宝……なら、この金属、もうちょっとくれねえか。必要なんだ」
スフィンクス:『〈紅金〉か。無貌の神の知識と言い、変わった者たちだ』
フィオラ:「まあな。……あれ。そういやこの迷宮に入った奴ら、みんな記憶が曖昧になってるんじゃなかったっけ」
スフィンクス:『あぁ、それは……私が操作している。多くの者がやって来ることを、魔剣は喜ぶだろうが、私は鬱陶しくてな』
カデア:「割と個人的な理由なのな……で、それで行くと、俺達が今しがた教わった知識も、無駄にされちまうのか?」
スフィンクス:『いや。お前たちは特別に許そう。与えた知識だけを消す、という器用な真似は出来ないのでな。だが、くれぐれも私とこの魔剣のことは、吹聴しないように』
アルナブ:「逆らうには恐ろしすぎる相手だしね。従わせてもらうよ」
スフィンクス:『それで良い。……さて、もう用は済んだだろう。入口まで送ってやるから、戻るが良い』
像の目の前に、また緑色の魔法陣が現れる。これも神殿の機能ではなく、魔剣の力によるものなのだろう。
ありがたく使わせて頂くことにして、一行はこの不思議な神殿を後に。
◇ 舞台は整って ◇
魔法陣に送られた先は、暗い小部屋……最初の魔法陣があった部屋だった。
そこから来た道を逆走すれば、何事もなく、遺跡の外、大灯台の下にある岩場へと辿り着く。神殿の知識も〈紅金〉も、しっかりと残っている。
フィオラ:「これにてミッションコンプリート、だな。後は……ファディヤが立派に育ったら、準備は全部完了か」
ヤザン:「その言い方はやや語弊が生じるが……そうだな。後はファディヤ次第だ」
サウリル:「着々と進んでるわね。あたしとしては、そんなの関係なしに、早くあの吸血鬼をはっ倒したいんだけど」
フィオラ:「相変わらずやる気に満ちてんなお前は。……ところであの野郎、神殿の秘密を知っても尚、卵を求めるなら、みたいなこと言ってた気がするけど……気が変わるような理由、なんかあったか?」
アルナブ:「?……確かに、君の故郷と義妹さんを救うことに、関係するような話ではなかったよね」
カデア:「ま、いいだろ。次に会った時にでも聞かせてもらおうぜ、その辺」
フィオラ:「そうすっか。おし、そんじゃ帰り…………帰りの船、出てんの?」
シヴァニカ:「…………待たないと、無いんじゃないかしら」
忘れていたが、どの船も絶賛満席のキャンセル待ち状態である。
仕方なく空いてる船を探し、数日滞留した後、ノルハンの工房へと戻る。流石にまだ修行中のようだが、しかしノルハンの顔には、驚愕の色が見えていた。
フィオラ:「邪魔するぜ、爺さん。どうだ、ファディヤの調子は」
ノルハン:「あぁ、お主等か……たったの二週間程度だがな、こやつの才能は、目を見張るものがあると感じとる。間違いなく、今までとった弟子の中でも一番だ」
ヤザン:「そんなにか。サヤリさんから、ある程度教わっていたとは聞いているが」
ノルハン:「全くの素人でないとしても、相当なものだ。そうだな……二ヶ月もあれば、そこらの連中よりも、余程優れた呪刻師になるだろうな」
ファディヤ:「自分でも、ちょっとびっくりしてる、かな……まるで最初から知っていたみたいに、知識も技術も、すんなりと入ってくるんだ」
どうやら、ただの代打程度で収まる器では無かったらしい。
もしかすると、新たな偉人と成り得る存在だったりするのか、この子。
フィオラ:「そりゃ何よりだ。……で、二ヶ月か。マカブを出たのが冬の終わりくらいだから……なんとか間に合いそうだな」
時間も問題はなし。ならば後は、彼女の成長を待つのみ。
黄金竜への謁見、そして最後の戦いに向けて、一行は暫しの休息を取るのだった。
◇ リザルト ◇
経験点は3630、名誉は7d6で23、能力成長は生命が出た。報酬金の代わりに、ナザレアとトリファでの滞在中にちょこちょこと稼いで6000Gを獲得しているそう。
グラップラーをこれ以上あげてもな、という気持ちがあるので、スカウトを7に、エンハンサーを4に上げる。習得する練技は【アンチボディ】と【メディテーション】。毒・病気はさておき、精神効果は間違いなく使われるはず。
気休めにしかならないかもしれないが、抵抗不可能レベルのメンタルであり続けるよりはマシだろう。《ファストアクション》で1ラウンド目の火力もアップしているので、ぐだる前に決着をつけに行きたい。
買い物は、〈スマルティエの疾風の腕輪〉を普通の〈疾風の腕輪〉に変えた。これでいざとなったら叩き割れる。
あとは……別に欲しいものが無いな。〈コンバットバトラースーツ〉でも買っておくか、魔法ダメージの方が痛くなってきたし。
残り5830Gは一応残しておき、出立前に何か欲しくなったら買うことにする。
おそらく最後のリザルトは以上。次回第十二話、"紅雪の花の如く"に続きます。
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