第十話 "嵐とともに" / 後編

 ◇ 三彩の魔女 ◇


 カビ・シュルカの元へ向かう道中……は、チャレンジとして処理されるらしい。

 〔生命抵抗力判定/目標値16〕と〔先制判定/目標値15〕くらいしかまともに成功できる気配がないため、これを選択。プラトーン、もといカデアには〔地図作成判定/目標値15〕を行ってもらう(コロコロ)すべて成功して、経験点1200獲得。


 もうじき彼らの姿が見えてくるだろうか、というところで─────(危険感知判定/目標値13)


カデア:「───待て。あっちの窪地に、人影が見えた」

フィオラ:「……応援が来るとこまで想定済み、って訳だな(全然分かんなかったけど分かってたフリしとくか……)」


 このキャンペーン、カデアがいなかったらだいぶミドルが悲惨なことになっていそうだ。良い子の皆さんはソロでソレイユなんて種族を選ばないようにしましょう。

 ……さて、肝心の人影の正体だが。


?:「ちっ、気付かれたか。流石は噂の大型新人様御一行だ」

アルナブ:「!……あの角に、仮面……や、ヤミアデミア……!」

ヤミアデミア:「おや、ご存知の輩もいるみたいだな。いかにも、アタシこそ"三彩の魔女"、ヤミアデミアだ」


 ついにご本人登場、といったところか。ディアボロカデットウィッチこと、盗賊団の女首領様の姿が、そこにはあった。


ヤザン:「……ようやく会えたな。我が故郷の借りを返させてもらおう」

フィオラ:「あたしも、あんたにゃ聞きたいことが三つくらいあるんでな。ちょっと面貸してけ」

ヤミアデミア:「はっ……どちらもこちらの台詞だ。散々虚仮にしてくれた礼、今ここで返そうじゃないか」


 あちらの狙いは、おそらく〔焔蠍の鉄鎚〕。そして先述の通り、お礼参り。

 こちらの狙いは……フィオラ以外の面々的には、いろいろとあるのだろうが。


フィオラ:(首領ともなれば、流石にニオの野郎と接触してるはず。……あいつを詰めるための、最期のチャンスかもしれねえ)


 マカブへの戻るための道を考えると、地方を旅することができる時間は、あまり余裕がない。

 それぞれが、それぞれの理由を胸にして、十話クライマックスが幕を開ける。


 まずは敵の確認。ヤミアデミアが当然いるのと、取り巻きには……アラクルーデル、アンドロスコーピオン……うーーーーん……(回避ピンゾロチェック)

 ……あぁでも、マップギミックが絡むとスコーピオンはまあまあやれそうだし、ヤミアデミアがダルクレムのプリーストでもあるんだな。なら、ヤミアデミアを後衛に置いたら丁度よくなりそうだ。ついでにいつもの慢心要素である人型形態をカットして、いきなり魔人形態になっておいてもらおう。


 さて、ギミック。七話の際にも出てきた〔窪地〕と〔戦場外からの攻撃〕がある。敵軍後方エリアの窪地はヤミアデミアに使ってもらおう。

 そして新登場の〔乱気流〕。風の影響によって、〔形状:射撃〕の攻撃が強化されたり、飛行能力が喪失したりと、いろいろ起こるようだ。

 ……相変わらずいいギミック仕込んでるなこの本。遊べるだけでなく、ここの部分のデータを他セッションに流用できる、一石二鳥の優れものだと思う。


 データの確認を終えて、先制判定(コロコロ)は無事奪取。〔乱気流〕の変動は……自軍後方からの射撃の強化、なので意味がない。

 さて、初手はどうしようか。とりあえずは魔法が面倒(面倒な魔法を使うつもりでいる)ので、アルナブの【カウンター・マジック】から入るか。……そうなるとプラトーンは最初、自軍後方エリアに置いておかないといけないが、まぁタゲ分散の必要もあるまい。

 ありがたくバフをもらって、フィオラの手番。《投げ強化Ⅰ》の力で、2部位のアンドロスコーピオンをぶん投げる(コロコロ)上半身に10点、下半身の15点。さらに《踏みつけ》の追撃が入って、上半身に12点。流石にワンターンキルとはいかないが、とりあえずガンが直撃する展開は防げるだろう。


 敵の一手目、まずは……ヤミアデミアの行動。胴体に魔紋がふたつあり、これのガチャを回すところから(コロコロ)3ラウンドの間、魔法の消費MP-2。PCが持った日にはとんでもないことになりそうなバフだ。

 この状態で、《魔法拡大/数》【ヴァイス・シールド】。初手防御バフは基本だ。本来なら20点消費のところを、先述の効果で10点に抑える。

 取り巻き二体は、アンドロくんは魔法でなにか……【ヒーリング・バレット】でも撃っておかせて、上半身を7点回復。下半身とルーデルは他にやれることがないので攻撃するが、どちらにも〈ブレードスカート〉のカウンターを返す。

 あまり通りはよくないが、基本的にこちらがダメージを受けることはほぼないため、このまま続けていれば勝手にやられてくれるだろう。

 戦場外からの攻撃はヤミアデミアの頭部に命中して8点。かすり傷程度だが、こちらも塵積というやつ。


 二手目、乱気流に変動はなし。アンドロスコーピオンの上半身へ〈投げ〉からの《踏みつけ》でとどめを刺したかった……が、いちたりなかった。仕方がないのでプラトーン(サウリル)に動いてもらい、撃破。まずは肉壁を一枚壊した。

 敵二手目、魔紋は再発動せずに次は【ヴァイス・ウェポン】を……これはヤミアデミア本人だけでいいか。二部位に行使、アラクルーデルの攻撃には〈ブレードスカート〉が発動して3点返す。戦場外からの攻撃もアラクルーデルに入って更に8点。

 三手目、乱気流は無風(効果なし)へ。アラクルーデルに〈投げ〉からの……と言いたかったが、飛んでいる相手は流石に投げられないので二連〈キック〉で16点、再びサウリルに追撃してもらって、ぴったり撃破。ここへ来てサウリルの出番が増え始めている。


サウリル:「お膳立てはしてやったわよ。後、よろしく」

フィオラ:「さんきゅー。……さて。ようやく会えたな、魔女さんよ」

ヤミアデミア:「威勢が良くて結構。で、ちゃんと実力は伴ってるんだろうね?」

フィオラ:「そりゃあこっちの台詞だぜ。……聞きたいことが山のようにあるんだ、頭殴られた程度で、気ぃ失わないでくれよな」


 敵三手目、この状況だと……【フレンジィ】でも入れておくか。これで与ダメージ+2、【ヴァイス・ウェポン】まであるので物理なら+4点。戦場外からの攻撃はプラトーンに当たったが、ダメージが通らなかった。防護14は流石にえげつない。


 四手目、乱気流は向かい風。敵軍後方から前線、または自軍後方への射撃の強化……ということは、敵軍後方で殴り合うぶんには影響はないらしい。プラトーンを狙ううま味もないので、実質効果なしか。

 さて、フィオラはようやく接敵、の前にアルナブから【ファイア・ウェポン】をもらい、【ガゼルフット】【キャッツアイ】を入れる。2点足りないMPは〈魔晶石〉から消費。それと……そういえば【ヴォーパルウェポン】取ったんだった、これもAを使っておこう。

 この状態で、ヤミアデミアの胴体へ〈キック〉を二発(コロコロ)一発だけ当たって、15点与えた。さすがに硬いし、窪地のせいで回避が上がっているのが面倒だな……

 ヤミアデミアの反撃、まずは魔紋のガチャから(コロコロ)1ラウンドだけ魔力+1、やれということか。

 そのまま胴体の攻撃、には〈ブレードスカート〉で返すが、3点しか通らず。頭部は【ブラスト】を叩き込む。目標値17に対し、達成値14。魔符込みでも抵抗できない目が出たが、ダメージは20点に留まる。戦場外からの攻撃は、ヤミアデミア胴体に7点を与えた。


フィオラ:「ぐおっ……いいパンチ持ってんじゃねえか。魔法だけどよ」

ウルリサ:「言ってる場合じゃないでしょ!やられないでよね、こんなところで」


 クリティカルによって一撃で倒れさえしなければ、【ヒールスプレー】とウルリサの【キュア・ハート】による回復が間に合う。……が、プラトーンのMPが実はもう半分を切っており、【キュア・ハート】ができるのは後3回だ。

 ……意外と余裕が無いか?ひとまず胴体を落として、魔紋を消すついでに攻撃を当てられるようにしなければならないので、戦法は変えずに進めよう。


 四手目、乱気流は吹き下ろし。遠隔攻撃、および〔形状:射撃〕の攻撃が使用不可能になり、あらゆる飛行能力が喪失する。……つまり、今なら胴体の〔○飛翔〕を無視して頭部を蹴り飛ばせる訳だ。それなら話が変わってくる。

 早速頭部へ二連〈キック〉、両方当たって33点。残り42点、あと3回蹴れたら勝ち、といったところか。

 プラトーン(ウルリサ)には【キュア・ハート】をしてもらい、敵の行動。魔紋ガチャはMP回復。どうせ使い切れないので、実質無駄行動か。

 体当たりには〈ブレードスカート〉で10点返し、頭部は……無難に【ブラスト】でいいか。今回は抵抗成功、12点を受ける。

 そして戦場外からの攻撃が、再びヤミアデミアの胴体に当たり……あ、落としきった。カビ・シュルカの面々か、設定上は付いてきていることになっているシヴァニカ辺りがやってくれたのだろう、ありがたい限りだ。


 五手目、乱気流は……変動なし。チャンスだ、ここで押し切ろう─────と思ったのに、一発ピンゾロした。そういうところですよフィオラさん。


フィオラ:「やべっ、空振った……!」

カデア:「おいおい……けど、息も絶え絶えって感じだな。周りの雑魚も片付いたし、俺たちも距離を詰めよう」

ヤミアデミア:「ちっ……舐められたままじゃ、終われないんだよ!」


 プラトーンを前線へと移動させつつ、ヤミアデミアの反撃、ワンチャン狙いで【フィアー】を撃つ。時刻はおそらく日没後、つまりフィオラの精神効果耐性が低下中であり─────抵抗失敗。だが肝心の効果は、命中・回避・魔法行使に-1。劣勢を覆すには、余りにも影響力が足りない。


フィオラ:「……へっ。ダルクレムの野郎にも、見放されたみてーだな」

ヤミアデミア:「くそっ……くそっ!ここで終わりなんて、冗談じゃない……!」

ヤザン:「往生際の悪い奴だ。……人の命を弄んでおいて、まさか首を取られずに済むとは、思っていないだろうな?」

フィオラ:「焦りなさんな、首落とすのはお話が終わってからにしてくれ。……つーことで、まずはちょいと、大人しくなっとき───なぁッ!!」


 最後に再び二連キックを叩き込んで、戦闘終了。長きに渡ってオーレルムを騒がせていた魔女の身体は、ようやく荒野の大地へと倒れ伏した。


 ◇ 再会 ◇


 ヤミアデミアが倒れると、奴の手下どもの戦意も消え失せたようだった。ある者は動揺して狼狽え、ある者は一目散に逃げ出し、ある者は恥を捨てて命乞いを始めている、そんな有様だ。


アルナブ:「も……もう、報復に怯えなくても済むのかな。これで」

フィオラ:「そういや、お前だけは違った理由で恨み買ってんだったな。……ま、これで一件落着だろ」

カデア:「だな。ひとまず、こいつは……キャラバンに任せていいのか?」

ウルリサ:「えぇ。ディアボロであることや、罪の重さを考えると、生かしておく選択は無いと思うけど……まぁ、フィオラのために、目を覚ますまでは殺さないでおいてあげるけどね」

サウリル:「起きたらすぐ殺されるなんて、こいつに相応しい最期だね。……なんて物騒なこと言ってると、母さんに怒られ……あれ。母さんは?」

ヤザン:「サヤリさん?さっきまで、そこに─────」


 そして一行が、勝利の余韻に浸かろうとしていた、その時だった。

 ─────上空から、サヤリの悲鳴が響いたのは。


ウルリサ:「お母さん!?……っ、誰よ、あなた!」

フィオラ:「……よう。久しぶりだな、クソペテン師」

ニオ:「やぁ、きょうだい。……いや。今の関係性を踏まえると、義姉さん、の方が適切かな?」


 振り返ると、サヤリを抱え、漆黒の羽を羽撃かせる、吸血鬼の男の姿があった。

 牙を剥き出しにして、血生臭い笑みを浮かべながら、実に楽しそうに、フィオラのことを見下ろしている。


ニオ:「まさか、こんなにも長く生き残り、その上ヤミアデミアまで倒してしまうとは。想像以上に楽しませてくれるね」

フィオラ:「気色悪い発言しないと死ぬ病気かなんかに罹ってんのか?……何しに来たのか言え。それから、そいつを離せ」

ニオ:「それはできない……いや。用件に関しては教えてあげよう。この優れた黄金呪刻師である彼女の力を、是非ともお借りしたくてね」

サウリル:「ふざけないで!今すぐ、その汚い手で触るのをやめないと───」


 サウリルが杖を構えるより早く、ニオの姿がさらに上空へと舞い上がる。

 こうなっては、弓やガンで狙うのは難しい。間違ってサヤリを撃ってしまう危険もある。それを理解してか、サウリルは唇を噛み締めながらも、杖を降ろした。


ニオ:「……彼女の対価として、ひとつ助言をしてあげよう。……無貌の神の神殿について、調べてみるといい。それで、僕たちの故郷の秘密を知ることができる」

フィオラ:「……マカブの秘密と今の状況とに、何の関係性があんのか、っつーのは……実際に調べてみりゃ分かるって話でいいんだろうな」

ニオ:「もちろん。……それじゃ、また。次は、そうだな……黄金竜の住まう、かの山で会うことになりそうだね」


 言いたいことはすべて言ったのか、ニオは更に高くへ飛び上がり……雷光が閃く黒い空へと消えていった。


ウルリサ:「お母さっ……もうっ!なんなのよ、あのキザ男……!」

サウリル:「……フィオラ。あれ、あんたの知り合いなのよね?」


 追いつく訳もないのに、南東へと駆け出そうとしたウルリサが、泥濘んだ地面に足を滑らせてしまった。気がつけば、辺りでは雷鳴とともに雨が降り注ぎ、大地を力強く叩きつけていた。

 サウリルがそれを助け起こしながらも、雷鳴に負けないくらいに低く、明確に怒りを孕んだ声で、そう訊ねてくる。


フィオラ:「あぁ。……言いたいことは分かるぜ。あのクソ野郎をぶちのめしに行こうってんだろ」

サウリル:「えぇ。……あんたの旅の目的のもう半分、そうなんでしょ。確か」

フィオラ:「そうだな。……けど……さっきの助言で、確かにあたしは、マカブのことを何も知らねーんだよな、ってのに気がついてな」


 マカブの秘密とは、すなわち神殿の秘密とイコールなのだろう。それ以外に、あの村に秘匿されている情報は無かったと言える。

 あの神殿には今現在、愛しの妹分と長老のふたりのみ。そしてニオの、随分と遠回しで、意味深な言葉。


フィオラ:「……このタイミングで、わざわざあんなアドバイスしてきやがったんだ。このまま何も知らずにマカブに帰ると、あいつにとっても不味いことになるのかもしれねえ」

カデア:「けど……マカブを滅ぼしたのってあいつなんだよな?なら、時間稼ぎの罠って可能性もあるだろ」

ヤザン:「だが、どの道〈時の卵〉を手に入れるためには、材料と……サヤリさんか、ファディヤの方での準備が要る。時間があると言えばあるな」

フィオラ:「そういうことだ。……散々付き合わせといて悪いけど、もう少しだけ、あたしの個人的な理由に付き合ってくんねーかな」

アルナブ:「……あー……その前に、本隊の人たちに報告しに行かない?メンバーが攫われたんだ、なにか助けたりしてくれるかもよ」


 嵐の中、突然の出会いと別れに困惑させられつつ、一行は帰路を歩むのだった。


 ◇ 決意 ◇


フィオラ:「───つーことで。救援自体は無事に終わったぜ」

クセナウイ:「そうか。……一難去ってまた一難だね、本当に」


 カビ・シュルカと共に本隊へと帰還する頃には、ウルリサとサウリルは激しい焦燥と疲労によって、取り乱している状態だった。少し前の、サヤリが見つかった、という知らせがあった時よりも、ずっと。

 涙を堪えきれず、声にならない声を上げながら俯いているウルリサを、サウリルが慰めている……が、そのサウリルだって、表情や声には、冷静さを感じられない。先程の会話から分かる通り、おそらく既に、あの吸血鬼を痛めつけることで頭がいっぱいになっているのだろう。

 しかし、クセナウイは至って冷静に、煙管を吹かしながら。


クセナウイ:「ニオとやらは、サヤリを利用するつもりだって言ってたんだろ?なら、すぐに殺しはしないだろうよ。それこそ、大聖堂に捕らわれていた頃みたいに」

ヤザン:「確かに状況としては、命の危険は無いように思えます。……あの時よりは良い待遇であることを望むばかりですが」

カデア:「大聖堂で発見した時は、辛うじて息をしている、って感じだったからな……」

ファディヤ:「またそんな目に遭わされるなんて……先生、可哀想だわ」


 ちなみに、サヤリの危機ということもあって、一行の集うテントにはファディヤの姿もあった。

 〈時の卵〉のための人材育成の問題があるため、なりふり構っていられないのだ。サヤリの代役を務められる唯一の存在であるファディヤは、現在の最重要人物とすら言えるかもしれない。


フィオラ:「まだちっこいのに、悪いな。全責任を負わせるようなことしちまって」

ファディヤ:「ううん……わたしが頑張って、先生の代わりにならないといけないのよね。それならわたし、頑張るわ」

ヤザン:「俺も、サヤリさんには返しきれないくらいの恩がある。だから、あの吸血鬼を追うのも、黄金呪刻の修行にも、協力するよ」

フィオラ:「ありがとよ。……それで、シュルカちゃんよ。ディクちゃんから、腕のいい黄金呪刻師が知り合いにいるっつー話を聞いたんだけど、本当か?」

シュルカ:「あぁ。トリファに住んでいるノルハンという男なら、半年もあれば、ひよっ子から一人前に仕上げてくれるだろう」


 本人初登場となるシュルカは、ティエンスの女性だ。性格については特に言及されていないが、発言から見るに、冷徹で合理的な堅物、といったところだろうか。

 そんな彼女の言葉に、ファディヤは真剣な眼差しで耳を傾けている。


シュルカ:「君が望むなら、彼に紹介してあげよう。丁度、ゴルドラン公国の途中にある街だ、大した手間にはならない」

ファディヤ:「……行くわ。ううん、行かせてください。お願いします」

シュルカ:「了承した。このメゼー・シュルカが、責任をもって、貴方たちをノルハンのもとへと送り届けよう」

クセナウイ:「頼んだよ、シュルカ。……そんじゃ、しばらくお別れだな」

フィオラ:「あぁ、先行役なんだっけか。シュルカちゃん」

シュルカ:「そうだな。本隊よりも早くここを発ち、トリファへ向かうことになる」


 言いながら、シュルカとクセナウイがちらりと、姉妹の方を見る。

 その目は……ファディヤに負けず劣らず、決意に満ち溢れているのが感じられた。


クセナウイ:「……他でもない、娘のお前らと引き離されて、サヤリもさぞ不安だろうよ。行ってきな」


 その言葉に、待ってましたと言わんばかりに、二人は頷き、声を揃えて。


 「「───行ってきます」」


 ◇ リザルト ◇


 急展開を迎えることになったが、それはそれとして各種処理を。

 獲得経験点は2970、名誉点は34、能力値成長は生命。グラップラーを上げるには少し足りないので、大人しくスカウトを上げておこう。

 それと、ヤミアデミアが着けていた仮面はマジックアイテムであったようだが、魔法使い用の装備であるため、フィオラには不要だった。適当に売却しよう。

 所持金は……23130G。〈コンバットメイドスーツ〉でも買おうかと思っていたが、僅かに足りなかったため、次回へ持ち越そう。


 今回はこれくらいか。……買い物も成長も悩むところがないと一瞬で終わるな。

 さて、残り二話、物語も最終盤。残っている謎がどんどん解き明かされていく気配を感じながら、次回『古よりきたれり』へ続きます。

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