第七話 "密猟者たちの狂想曲" / 後編

 無事に一般通過賊をしばき倒し、キャラバン本隊へと戻ってきた一行。

 クセナウイに引き合わせると、アルナブはようやく安心したのか、安堵の息を漏らし、ヤミアデミアによる襲撃計画についてを話し始めた。


アルナブ:「あの人……いや。あいつらは今夜、野営地の西側から仕掛けるつもりらしいんだ。……でも、それは陽動目的のならず者部隊。本命は、ヤミアデミアの手下のトロールが率いてる部隊だ。この作戦の指揮担当だね」

クセナウイ:「陽動作戦とは小賢しいね。そっちに人が寄ってる間に、手薄になった箇所を攻めようってかい」

ヤザン:「冒険者として仕事する時に、採用することもなくはないが。敵にやられる日が来るとはな」

ジェイク:「ま、あの女のことだ。陽動なんて言ってるが、助けを寄越すつもりは全く無いだろうな。何人かが生きて帰って来て、しかも雛を盗って来てくれたらラッキー、てなもんだろうよ」


 どうやら雇われのならず者共は、使い捨ての囮として使うために集められたようである。哀れな。

 流石は蛮族と魔神の合いの子、有象無象の人族の命なんてどうでもいいのか。


フィオラ:「じゃ、賊相手にあんまり本気を出さないほうがいいんだな。ちなみに、本命のトロールがどこから来るかってのは?」

アルナブ:「そこまでは……わからないなぁ」

シヴァニカ:「それは困ったわね。戦力を分散させればさせるほど、防衛側の私達が不利になるわよ」

クセナウイ:「ふむ……少なくとも、営巣地の西側だけに戦力を集中させない方がよさそうだね。全方位を警戒するように伝えておこう」


 しかし、本命がどこを攻めるつもりか分からないのは不安だ。対応するにしても、場所が分からなければ難しい。

 営巣地の防衛という目的がある以上、そこからあまり離れる訳にもいかないが。


アルナブ:「……あっでも、トロールについての情報がひとつだけあるよ。そいつらは、身体に特別なタトゥーが入ってるんだ。〈アビススナッフ〉を使って彫られた、魔紋アビスタトゥーって呼ばれるものなんだけど」

カデア:「まーたアビス、か。ディアボロだけあって、その手の知識には詳しいってことか」

アルナブ:「だね。タトゥーの効果については、良く分かっていないんだけど……とりあえず、普通のトロールだと思わないほうがいいかも」


 加えて、なにやら特殊な能力を持っているかもしれないという情報。

 デモルラよろしく、魔神の力でも発現してみせるんだろうか。元々神聖魔法を扱えるトロールが、更に厄介な敵になるな……

 ……あ、当然ながら魔物知識判定は失敗したので、これはリアルセージ技能によるメタ推理である。

 フィオラ達の視点では、ひたすらに『実体データがあって血を流すダメージが通るなら殺せるはず』といういつもの理論を貫いてもらおう。


フィオラ:「ふわふわしてんなぁ。ま、相手が強いぶんにゃ構わねえけどよ」

サウリル:「相変わらずね。いっそ、あんただけ遊撃班として、トロールの部隊の対応に向かってみる?」

フィオラ:「ははは。それもアリかもしれねえな」

ウルリサ:「アリな訳無いでしょう……まったく」

クセナウイ:「遊撃の発想自体はアリかもしれないがね。……それで、アルナブだっけ。あんたは防衛には協力してくれるのかい?」

アルナブ:「僕は……うん、僕も戦うよ。こうなったらもう、そうするしかないし」

ジェイク:「今更街にも戻れねえし、な?……あ、俺もちゃんとあんたらの側につくぜ。その方が命の危険が無さそうだからな」

アルナブ:「うん、君のせいで戻れなくなったんだけどね……?」

フィオラ:「本当に神経図太い野郎だな……流石のあたしでもちょっと引くわ」


 こうして、新たな仲間を迎え入れての防衛作戦が始まることに。

 ……ジェイクはあんまりいて欲しくない気がしないでもない。プラトーンとして加入してくれるのはアルナブだけなので、ジェイクはデータ的にはなんの貢献もしてくれないみたいだし。

 

 アルナブの特殊効果は、主動作によって【カウンター・マジック】【ファナティシズム】【ファイア・ウェポン】を使用できるらしい。カンタマは本っっっ当に助かるが、ファナとファイポンはどうだろう。主動作を使わせてまで掛けて欲しい効果ではない……かな?

 ちなみに、ステータス補正の方は中々悲惨である。攻撃-1に防護-2はもう縛りプレイ用の数値設定だろうよ。


 ◇ 巨人の襲撃 ◇


 プラトーン後衛にアルナブを加入させ、その日の夕暮れ。襲撃に備えて、各々の担当箇所へと向かうことに。

 クセナウイからの指示で、我々は『遊撃に行くか、トロールが攻めて来そうなところで待機する』という話になったのだが……


フィオラ:「営巣地の周りか、キャラバン本隊の野営地か。待機するならこのどっちかか?」

ヤザン:「だな。……それで、トロールがどこへ来るか、という話だが……」

カデア:「……あれ。そもそもの話、俺たちが陽動されたところで、そこまで困らなくないか?やるにしても、グリフォンの親達が餌を捕るために離れる機会のある日中の方がいいと思うんだが」

サウリル:「?……言われてみると、確かに……あぁでも、トロールは日光に弱い体質じゃなかったっけ」

ウルリサ:「その辺りの兼ね合いもある……のかしら?」

フィオラ:「あたしは逆に、夜にクソ弱いけどな……ったく。まだ日が沈みきってねえこの時間なら、辛うじて元気なんだけどよ」


 どこを守ったものやら、未だに決まらない。大人しく西側に向かっておくべきか?

 しかし、陽動部隊と同じところを攻めるのであれば、それは陽動ではなく、ただの波状攻撃と呼ばれるものである。

 そして、戦力の逐次投入がとても非効率的な戦術だというのは、あまりにも有名な話。狡猾であると知られている盗賊の首領が、そんな悪手を打つとは思い難い。

 かと言って、西側に寄せている間に東から攻めよう!……というのも、あまりしっくり来ないな。まさか、西側に戦力のほぼすべてを集めてくれる、なんて向こうも考えてはいないだろう。


 すると、消去法でキャラバン本隊の野営地が候補地となる訳だが……


アルナブ:「……野営地が襲われる理由、何かあるの?」

フィオラ:「どーだろーな。前にもグリフォンの子供を連れ去った訳だし、どっちかってーと欲しいのはそっちなんじゃ─────いや、待てよ」


 冷静に考え直す。連中がグリフォンの子供を攫ったのは、何が目的だった?

 ……そうだ、あくまで"交渉の材料として使うため"だ。別に、グリフォン自体には用が無いのだと言える。

 連中が─────ヤミアデミアが本当に求めているのは、それではなく。


カデア:「……ヌイ・アッシャールの遺産。つまり、あんたの持ってる手槌か」

シヴァニカ:「またの名を、〈焔蠍の鍛槌〉ね。確かに、直接狙えるのなら、そうした方が手っ取り早いわ」

ウルリサ:「そうね。おまけに、営巣地の防衛の為に、戦力を割いてしまっている訳だから。普段よりも守りは手薄だわ」

フィオラ:「……よし。あたしらは野営地で待機、でよさそうだな」


 一行は顔を見合わせ、頷く。

 斯くして、他に待機していたキャラバンの面々にも、守りを固めておくようにと伝えたうえで、やって来るはずの巨人を待ち構えることになった。


 しばらくすると、営巣地の西側が襲撃されている、という知らせが入る。これがアルナブの言っていた、ならず者の部隊だろう。


アルナブ:「加勢には……行かない、んだよね?」

サウリル:「えぇ。所詮ただの賊、グリフォンもいることだし追い払えるでしょ」

フィオラ:「むしろ、トロールどもに備えて準備しとこうぜ、ってとこだな」


 この襲撃に動じることなく、一行は野営地を巡回しつつ待機を続ける。

 それからまたしばらくすると……


カデア:「西側の襲撃、収まりそうだってよ。クセナウイもあっちにいるはずだし、後処理も心配無さそうだな」

シヴァニカ:「それはなによりね。……?……ねぇ。あっちの方から、何か大きな人影が向かって来ていないかしら」

ヤザン:「どれ……確かに見えるな。あの図体、人族では無いだろう」

ウルリサ:「えぇ。キャラバンで一番大きい人でも、せいぜい二メートルくらいね」

フィオラ:「つまり……トロールのお出まし、ってことだな。あたしらの推理は、ばっちり当たってた訳だ」


 その影の正体は、やはりトロールだった。十数人の手下を連れているようだが、あれの相手はキャラバンの面々に任せればいいだろう。


フィオラ:「よォ、デカブツ!わざわざ来てもらったとこ悪ぃけど、ちょいとあたしの新技の実験台になってもらうぜ─────って、共通語分かるのか?トロール」

アルナブ:「ど、どうだっけ……蛮族共通語と、巨人語が基本言語、かな?」


 奇襲に失敗し、憮然としている連中へ挑発するように呼びかける。

 それを受けた連中は、『最終的に全員殺せば良いのだ』のマインドを取り戻したのか、思い直したように戦闘態勢に入った。

 七話クライマックスの始まりである。


 敵は〔アビスタトゥートロール〕というグリフォンロードオリジナルの敵が……一体でも普通に強そうだな、珍しい。一方で取り巻きは、魔物レベル3だの4だのの奴を置くようにと書いてあるが、今更そんなものが出てきたところでリザルトが美味しくなるだけである。大人しくすっこんでなさい。

 そしてこのトロールは、名前の通り特別製のタトゥーを全身に彫っている。これは戦闘中に、ランダムなバフを獲得することができるらしい。

 バフの種類は、戦闘開始前に〔攻撃〕〔防御〕〔魔法〕の三種類からひとつを決めておくそうなので、〔魔法〕を選ぶ。こちらが一番苦手とするものだし。


 バトルギミックは〔窪地〕と〔戦場外からの攻撃〕。窪地はざっくり言うと、『制限移動で入ることが可能、窪地の外にいる対象への命中-2、回避と各種抵抗+2、〔戦場外からの攻撃〕で受けるダメージ半減』といったところ。これが各エリアに二つずつ存在し、ひとつに合計で二部位まで入ることができる。


 〔戦場外からの攻撃〕は、ラウンド終了時に、戦場全域のランダムな対象1体に2d+6点の必中物理ダメージを与えるそうだ。……だいぶ困るなそれ。

 幸い、トロールの回避はあまり高くない(固定で15)。窪地の中からでも攻撃できそうなので、戦場外から不意の一撃を防ぐことを優先して戦うか。


 先制判定、目標15という中々の数値に敵わず失敗。トロールの先行となった。

 とりあえず……アビスタトゥーによるバフを発動してみるか。1d6を振る(コロコロ)『魔力+1、魔法で与えたダメージの半分を自分も受ける』。【フォース】でぶん殴るのにとても良いな、くそ。

 出てしまったものは仕方ないので、制限移動で窪地に入りつつ、フィオラに【フォース】を撃つ(コロコロ)抵抗失敗して10点を受け、トロールは反動で5点。

 こちらの初手は、【フォース】や各種デバフが嫌すぎるのでアルナブに【カウンター・マジック】を使ってもらおう。毒を入れてもらわなくてもなんとか戦える相手なので、とにかくサポートさせておく。

 フィオラは……どうするかな。トロールのMPが切れるまで粘れればいいのだが、回復系のポーションは買わずに来てしまったため、そこまで耐えていられるかは割と微妙なラインだ。

 うーん……一旦〈ヒーリングポーション+1〉を飲んで、次のラウンドからはウルリサに回復してもらう流れにするか。(コロコロ)ポーションで8点回復。

 その後、【ガゼルフット】を使用、《シャドウステップⅠ》の回避振り直し(どうせ毎回使うので以下省略)を宣言、トロールと同じ窪地へ入り込んで終了。相手の命中が地味に高い(固定で17)ので、普通に攻撃が直撃してしまう可能性があるが、それよりも戦場外からの攻撃が嫌すぎる。


 敵の二手目、に入る前にギミックによるランダム攻撃。(コロコロ)トロールへ3点。

 ……敵に当たってもあまり美味しくないな。今回の戦い、だいぶこちらに不利な環境と言える。


 あらためて敵の行動。タトゥーのバフは(コロコロ)MPが回復。この野郎、持久戦をさせないつもりか。

 そして主動作で、フィオラへ《渾身攻撃》を乗せた一撃。(コロコロ)同値でなんとか回避成功。当たっていたら2d+19という恐ろしいダメージを受けるところだった。


フィオラ:「っ、ぶねぇなおい!窪地の中に、更に窪地ができちまうっての」

ウルリサ:「避けてくれないと、回復が間に合わないかもしれないわね……」

フィオラ:「かもな。……へへ。久々に手応えありそうな奴が来たな」


 こちらの二手目。新技は残念ながら使えないが、〈投げ〉による転倒ペナルティが非常に求められる場面なのでそれを狙う。【キャッツアイ】を乗せて(コロコロ)10点のダメージ。時間は掛かるが、これなら渾身攻撃に直撃する可能性はかなり下がる。

 プラトーン部隊は、アルナブに【ファイア・ウェポン】を使ってもらう。これで打撃点+2、ダメージの底上げをしておく。


 再びギミックによる攻撃。今度はプラトーンに命中し、10点。

 続く敵の三手目、バフ効果は《ターゲッティング》《鷹の目》の獲得。もちろんなんの意味もないのでハズレである。

 で、攻撃……は当たる可能性がそんなに無いので、【フォース】を撃っておく。抵抗には成功するも、フィオラに7点。

 こちらの三手目、ヤザンに毒と6点ダメージを入れてもらいつつ、〈投げ〉で9点。このペースで行くと……あと6ラウンドくらいで決着がつくか?

 戦場外からの一撃は、フィオラに3点。油断していると、これでトドメを刺されるかもしれない。次は回復するか。

 

 トロールの四手目、バフで1ラウンド目と同じものを引けたので、再び【フォース】を撃つ(コロコロ)抵抗、自動失敗。ダメージは14点で済んだが、非常に心臓に悪い。

 急ぎウルリサに10点回復してもらいつつ、〔輝く肉体〕をここで使う。次も抵抗に失敗するとそのまま死にかねない、なんとしてもこのラウンド耐え抜こう。

 弱らせたところへ、更に〈投げ〉を叩き込んで11点。ようやく半分といったところか……やはり《踏みつけ》がないとダメージが足りないな。


 戦場外からの攻撃、再びフィオラに当たり、今度は5点。更にトロールの【フォース】が再び入り、抵抗成功するも7点。

 戦場外からの攻撃を受けてしまうと、回復量が被ダメを下回ってしまう……対象決定の抽選に外れることを祈るしかないな。


 こちら五手目。魔晶石を使って【キャッツアイ】【ガゼルフット】を掛け直し、ウルリサで回復しつつ、トロールを投げて14点。

 残り40点、終わりは見えてきている。ギミックによるダメージの対象はプラトーンで、7点を受けた。


 ……以下、ウルリサが回復、フィオラが投げて、トロールが【フォース】、という流れがしばらく続く。

 そして8ラウンド目にして、ようやくトロールのHPを-1にすることができた。


フィオラ:「や、やっと大人しくなったか……二回ぐらい死にかけたぜ。マジで」

サウリル:「魔法にとことん弱いからね、あんた……後処理はあたしらがなんとかするから、先に休んでおきなよ」

フィオラ:「わりーな。じゃ、お先……」


 非常に手強い相手だった……今回のリザルトでは、【ヒールスプレー】のためにいろいろと揃えよう。回復の手が追いつかなくなるのがソロプレイでは一番不味い。


 剥ぎ取りは150G、獲得名誉点は20点だった。なんともしょぼい出目だった。


 ◇ 夜明けはここに ◇


 翌朝、営巣地の方から戻ってきたクセナウイに昨晩の件を報告することに。


クセナウイ:「野営地が襲われたと知らせが入った時は、少しばかり肝を冷やしたが。どうやらトロール程度じゃ、あんたの相手は務まらなかったみたいだね」

フィオラ:「いや、務まりまくってたっての……ウルリサとアルナブがいなかったら三回は死んでるぜ、あたし」

ヤザン:「危なかったな、本当に……こういう時、手助けする術を持たない身としては、なんとも心苦しいな」

アルナブ:「お、お役に立てたなら何よりだよ。……ところで、誰かジェイクのことを見てない?寝る前に探したんだけど、見当たらなくって」


 その言葉で、全員が辺りを見回す。確かに、あいつの姿がない。


サウリル:「……あっ。そう言えば戦闘中に、南の方に走っていった奴がいたような気が……」

フィオラ:「あの野郎、どさくさに紛れて逃げやがったのか?どこまでも性根が腐ってやがるな……」

ウルリサ:「救いようのない人ね……次に会ったら、嫌というほど文句を聞かせてやるんだから」

クセナウイ:「はは。ま、いいじゃないか。あいつの仕事は情報提供と、アルナブをここへ連れてくることだったんだ。裏切ってもいないし、約束は守ったと言える」

カデア:「懐が広いねぇ……さすがは一大キャラバンの指導者の一人、ってか」


 なるほど、データがないのはフェードアウトするからだったんだな……というメタい部分での納得もしつつ、奴のことは放っておくことに。

 クセナウイの言う通り、仕事自体は全うしたのだ。ならば追いかける理由は無い。


クセナウイ:「さて、今回の報酬を渡そうか。営巣地の防衛に協力してくれたのと、ヤミアデミアの手下を追っ払ってくれた分の追加報酬だ」


 そう言って渡された硬貨袋には、合わせて4800G。……ちょっと少なくない?

 まぁでも、前金と合わせて7200Gと考えると……うーん……やっぱ少ない気がしてしまう……〈マテリアルカード〉を買うのには困らなさそうだけど。


 ひとまず、今回の仕事も無事に終了した。

 この後も、サヤリに関する続報やグリフォン達の巣立ちの時を待つために、しばらくは移動をせずに野営を続けることになるそうだ。


 時は春の終わり。もうじき、一年で最も厳しい夏の季節がやって来る。

 荒れた大地を焼き焦がさんとする太陽は、果たして我々の行く先にまで、その光をもたらしてくれるのだろうか。


 ◇ リザルト ◇


 今回の報酬は先述の通り。経験点は合計で2440点。

 能力値は敏捷が伸びた。B4まで届くことはなさそうなので、ちょっと勿体無い。


 技能の成長は、グラップラーを6、アルケミストを新規に1取って、経験点をぴったり使い切った。どこかでチャレンジをひとつでも落としていたら、どちらかを諦めざるを得なかったのか……実にギリギリの戦いである。

 習得する賦術はもちろん【ヒールスプレー】だ。出費は嵩むが、主動作でポーションを飲み続ける日々とはこれでおさらばできる……と思いたい。


 さっそく〈アルケミーキット〉と〈マテリアルカード/緑A〉二十枚を購入。

 今のところ、10ラウンド以上戦うような戦闘にはなっていないので、とりあえずこれだけあればなんとかなるはず。装飾品の枠が余っていなかったので、〈宗匠の腕輪〉とは一旦お別れすることに。

 それから……〈消魔の守護石(3点)〉〈魔晶石(3点)〉〈ヒーリングポーション+1〉を三つずつ。残り1100G、なかなかの金欠っぷりだ。

 大きな買い物をする予定が無いとは言え、非常に心細い。せっかく買った消耗品たちだが、可能な限りケチっていきたいところ。



 後処理は以上。そろそろ魔法への対策をしとけよ、というSNEからのメッセージを感じつつ、次回『大聖堂の闇の底にて』へ続きます。

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