第三話 "黄金のキャラバンへ"
~ あらすじ ~
"黄金のキャラバン"を目指してマカブを発った……はいいものの、頼れるものもなにもなく荒野を彷徨っていたところで、幸運にも旅の劇団と遭遇。その団員である女シャドウ・ベルファナに迎え入れられ、近場の街・パルサゴまで行動を共にさせて頂くことに。
そこで、キャラバンのメンバーであるテケルロコ神官・ウルリサと、パワー系
ディアボロの魔女も〈時の卵〉を探してるかもしれないとか仄めかされた記憶もあるがそれは忘れて、フィオラは再び行進を始める。目指すは北東の街、ダドワミ。
あとなんか、街を出るときにベルファナちゃんから1200ガメルも頂いた。一人旅だと持て余してしまうくらいの大金だぁ……ありがてぇ……
~ あらすじおわり ~
◇ 導入 ◇
まだ雪の残る荒野を、新たな旅の仲間・サウリル、ウルリサ、そしてゴールデングリフォンと共に歩いて行く。
現在、パルサゴを発ってから二日目。ウルリサが言うには『頑張れば三日くらいで着くと思う』とのこと……だったのだが。
フィオラ:「ん……霧が濃くなってきたな。というかこれ、霧か?なんかピンク色に見えるんだけど」
サウリル:「夕日に照らされて、少し違った色に見えてるだけじゃない?さておき、今日のところはこの辺りで止まっておくべきかしら」
ウルリサ:「……待って。霧の向こう、何かいるわ。注意して」
冬場の太陽は急速に落ちる。そして日が落ちれば、気温も下がる。
急激に冷え込んだ荒野は、あっというまに霧に包み込まれてしまったのだった。しかも正体不明の隣人付きである。
フィオラ:「ま、せめて正体くらいは確かめておこうぜ。おーい、元気か?」
行商人:「おや、こんなところで珍しい。旅の方ですか?」
確かめてみると、その正体は旅の行商人・デミルと、その護衛の冒険者達だった。少なくとも敵ではなさそう。
連れていたグリフォンに驚かれたりもしたが、そこは飼い主(という表現でいいのか?)である双子が説得してくれた。
いくら子供と言えども、(世界観的には)それなりに強い魔物ですからね。仮にこの場で暴れだしたら、冒険者達も無傷では済まないでしょう。警戒して当然のこと。
緊張も解けたところで世間話といこう。袖触れ合うもなんとやら、旅では一つ一つの出会いを大切にしていくべきなのだ。多分。
デミル:「こんな霧の中で出会えたのも、神々のお導き。今宵一夜、どうぞよろしくお願い致します(自前の酒をコップに注ぐ)」
フィオラ:「お、気が利くじゃん。ちなみに何の酒?」
デミル:「オーレルム南部の特産、
フィオラ:「なるほどね。(手持ちのガメル硬貨を数え始める)」
ウルリサ:「ところで、護衛は賊を追い払うために?少し数が多いように見えるけれど」
デミル:「あぁ……実は今、この付近で危険な魔物が出没していまして。なんでも、大きな狼のような見た目なのだとか。既に近隣の村の家畜に、無視できない被害が出ているそうです」
フィオラ:「ほーん、そりゃ大変だ。ところでこの蜂蜜酒、1000ガメルでどんだけ買える?」
サウリル:「もしかしてあなたって金銭感覚おかしかったりする??」
デミル:「ははは。ちなみにこの蜂蜜酒も、道中の村……アパシーラで仕入れたものなのですがね。このまま被害が出続ければ、手に入れることは難しくなってしまうかも───」
フィオラ:「───聞いたな、お前ら。キャラバンのことは一旦忘れるぞ」
ウルリサ:「金銭感覚以外もおかしい可能性が出てきたわね……」
この女はこういう女です。
さておき、アパシーラという街は、ここからダドワミまでの直線上からはやや外れている。向かうのであれば、少しばかり寄り道しなくてはならない。
やや急ぎの用事を抱えているPCとしては、いくら善行のためと言えど、と葛藤するシーンだっただろう。実際、本編ではそんなやり取りをした。
……が、本リプレイのPCは上記の通りであるため、迷うこと無くアパシーラへの寄り道を決断。一宿一飯、もとい一酒の恩義は返さねばならないのだ。
◇ 黒い獣 ◇
眠りに就く前に、デミルから少しばかりお買い物。まずは〈金色の蜂蜜酒〉を3本仕入れておく。飲む用、抱き枕用、観賞用の三本である。
その他には……プラトーン用の装備の販売が始まってるな。兵種によって装備効果を受けられるかどうかが決まっているらしい。
なんか最近そういう感じのゲーム遊んだ記憶あるな。なんとかエムブレムエンゲージっていうんですけど。
(しばらく買い物内容を考える)
今回は、プラトーンの防護点を+1する〈従騎の鎖帷子〉と、長期戦に備えて〈魔晶石(3点)〉を3個買っておくことに。
魔法対策の〈消魔の守護石〉〈月光の魔符〉あたりも欲しいところだが、こんな序盤からお金を使いすぎるのも良くないだろう。せっかくプラトーンが援護してくれることだし、しばらくは『ヤバいと思ったらポーションを飲め』という方針でいく。
魔法技能無しでのソロプレイだから当然ではあるんだけど、やっぱりこう、いいですね。ポーションで何とかしようとするこの感じ。
買い物を終えたら、今度こそオフトゥンイン……とはいかない。話の通り、この辺りは危険らしいので、交代で見張りを行なうことになる。
危険感知判定の基準値は、サウリルが5、フィオラは3、他は2か。ウルリサ&グリフォン→フィオラ→サウリルの順でシフトに入ることにしよう。
それでは、今度こそ就寝。いい夢見たい。
(サウリルの時間に危険感知判定が発生する)(コロコロ)(15、無事成功)
サウリル:「───!みんな、起きて!魔神に囲まれてるわ!」
フィオラ:「え、無理……死ぬほど身体怠い……あとまだ酒抜けてない……」
サウリル:「前半はまだしも後半は自業自得じゃないかしらね!!」
精神効果耐性-4の女、無事(?)起床。さぁチャレンジの時間だ。
内容は……『魔法行使判定』が行けそうか?と思ったが、ウルリサとサウリルの魔法に達成値というものは無いため、残念ながらシステム的に不可能だった。
となると、プラトーンで行けそうなのは……『13点の物理ダメージを2回受ける』だけか。なんと防護点が9点もあるため、計8ダメージで済む。硬いな。
一方フィオラは、『命中力判定(目標12)』と『14点の物理ダメージを与える』以外は物理的に不可能。しぶしぶこの2つをこなすことに(コロコロ)(コロコロ)どちらも成功して、経験点120と900Gを獲得。結構いい額貰えるな。無理に経験点を稼ぐよりも金を貰ったほうが良かったりするのか?
なにはともあれ、無事に魔神を撃退し、朝を迎えることができた。
ので、デミル達に別れを告げて、アパシーラへの移動を開始……する前に。
デミル:「……あなた方を、強く誠実な人柄であると見込んで、頼みがあります」
フィオラ:「おう、強いのは否定しねえけど……言うほど誠実か、あたし?」
ウルリサ:「うーん……まぁ、パルサゴでのこともあるし、私は誠実寄りかなって……」
フィオラ:「ははは。じゃ、今日のところは強く誠実な女、ってことにしとくか」
デミル:(急に不安になってきたな……)「これを、ダドワミにある居酒屋、"黄昏仔猫亭"のトレミに届けてほしいのです(〈黄金の蜂蜜酒〉の瓶を差し出す)」
フィオラ:「酒を?なんだ、納品でもし忘れたのか」
デミル:「ではなくて。その……ダドワミの辺りでは、自身の名前入りの蜂蜜酒を第三者に届けてもらうことが、プロポーズの作法として古くから伝わっているんです。つまり、そういうことです」
フィオラ:「ほーん。……ま、いい酒奢ってもらった礼をしなくちゃいけねえしな。引き受けてやるぜ、色男さんよ」
デミル:「ありがとうございます。酒を届けてくれた方は、しっかり歓迎するのが礼儀なので、食事や寝床なんかも提供してもらえると思います。……では、私はこれで。お互い、良い旅を」
ウルリサ:「えぇ、良い旅を。」
サウリル:「あーあ、引き受けちゃった……お人好しばっかりなんだから」
斯くして、恋のキューピッド役を引き受けることになった。
しかし、蜂蜜酒を届けることがプロポーズか。その地の名産品を送るというのは、どちらかというとプロポーズのタイミングではなく、親御さんへの印象を良くしておくために前もって……というイメージがありますが。
それが自分で作ったものであれば、分からないでもないですけどね。それこそ職人からすれば、本気度合いを伝える手段としてこの上なく分かりやすいものとなるでしょうし。
閑話休題。ウルリサに『昨晩の魔神達の痕跡を調べてみない?元を辿っていけば、魔域が見つかるんじゃないかと思うの』と提案されたが、あいにく頭脳労働は苦手なので丁重にお断りさせていただいた。
その辺を任せられるスカウトやセージを雇った方がいいのかもしれない。早くプラトーンメンバーの追加をしたいところですね。
ということで、そのままアパシーラへと直行、正午頃に到着。幸い、村自体はまだ無事なようだ。
ひとまず蜂蜜酒の礼……じゃない。挨拶と事情聴取のために、村長宅を訪れる。
村長:「このままでは、雪が解けても、危なくて羊を放牧できません。それに、人に被害が出ないとも……」
フィオラ:「それは困るな(主に酒の製造量低下に繋がる点が)。よし、あたしがなんとかしてやろう」
村長:「ありがとうございます。どうか、テケルロコ様のお導きがあらんことを」
ウルリサがその神官だったり、出会う人が皆その名を口にしたり、やたらと出現率の高い単語ですね、テケルロコ。
……まぁその、『剣と荒野と放浪者』読了済みなので、その正体についてとっくに知ってしまってるのがアレなんですが。
わりかし致命的なネタバレになるので、ストーリー上で明かされるまでは黙っておきます。気になる人は終盤まで待つか公式リプレイ買ってください。
正式に依頼を受けたところで、アパシーラを出立……しようとすると、突然鋭い笛の音が鳴り響く。
聞けば、これは獣───つまり件の化物───が現れたことを知らせる合図らしい。噂をすれば、という奴である。
音のした方へ駆けつけると、果たしてそこには、黒く大きな、狼のような獣が一匹。冷たい雪の上で、じっとこちらを睨みつけている。
フィオラ:「よーし、そのままそこで大人しくしてろ。……へへ、狼は金にならないところが存在しないからな。全身しっかり剥ぎ取って、売りさばいてやらァ」
ウルリサ:(どっちが悪かわかんないわねこれ……)
サウリル:「にしても、あいつ……動かないわね。なにか警戒でもしてるのかな」
フィオラ:「だったら、こっちから仕掛けて───あっこら、逃げんなっての!」
距離を詰めようとすると、尻尾を巻いて逃げていく。誘われているんだろうか。
だとしても、放っておく訳にはいかないので、そのまま後を追いかけることに。足跡追跡判定、目標値9(コロコロ)成功。
足跡を追っていくと、やがて小高い丘の上にあった、廃墟の中に辿り着く。
そこには、先程の獣と……浮遊する漆黒の球体の姿があった。
フィオラ:「どこまで逃げやがった……あっいた。追い詰めたぜ、犬っころ」
ウルリサ:「待って。……あれ、"奈落の魔域"だわ。きっと、あの中に逃げ込むつもりよ」
サウリル:「……どうする?追いかけるのは、リスクがあると思うけど」
フィオラ:「はは。あたしがここまで来て引き返すような奴に見えるか?」
サウリル:「……はぁ。本当にこの人、メゼーに会わせていいのかな……」
歩みを止めることなく、獣に続いて魔域へと進入。いよいよ三話の本編開始だ。
ちなみに、どのようなルートを通っても、最終的にこの魔域に辿り着くようになっていたりはする。
なので、RPを楽しみたい人はアパシーラに寄っていってね、くらいの軽い分岐ですね。
◇ ダドワミの魔域 ◇
気がつくと、一行は街の広場のような場所に立っていた。周囲にあるのは、石造りの建物と、固く閉ざされた城門。
先程までいた廃墟の姿はどこにも無く、そもそも立地が丘の上ですらない。まったく別な場所を模した魔域であるようだ。
サウリル:「ここ……ダドワミだわ。でも……」
ウルリサ:「(頭上を見上げる)……七色に輝く、不気味な靄。魔域の中なのは間違いなさそうね」
フィオラ:「人がいることは期待しない方がいいな。さて……まずは、この街の案内を頼むわ」
ウルリサ:「わかった。ダドワミの街は、南区、中央区、東区、西区、北区の五つの地区に分かれているわ。今私達がいるのは、南区にある城門前広場ね」
地図を見ると、ひし形の中に十字が入った形のシンプルな図形。
通れない道なども無く、順番に全エリアを回っていけそうな見た目です。
ウルリサ:「中央区には大通りがあって、東区には魔動機文明時代に作られた時計塔。西区のシーン神殿は、ティダン様が合祀されていることでも知られているわね。北区の城門前広場は酒場や宿屋がたくさんある所。デミルさんが言っていた居酒屋も、たぶんそこにあると思うわ。……はい、以上本編からのコピペ。」
フィオラ:「こぴぺ?……まいいや。とりあえず、酒場の様子を見にいっとくか」
まずは北区を目指すことにして、南から中央へ。
そこには、シーンとティダンに祈りを捧げる人々……の影が、建物の壁に映し出されていた。
歌や演奏、舞なども捧げられていて、ちょっとしたお祭りのような雰囲気だ。
フィオラ:「人……じゃねえな。なんだこれ?」
ウルリサ:「アンデッドでも無さそうね。幻覚の類かしら……」
フィオラ:「はぁ、よく分からんけど……なんもしてこないなら放置でいいか」
ちなみにここの精神抵抗、昼だったおかげで成功した(パッシブ抜きの達成値8/目標11)。本当に良くも悪くも時間帯次第だなこの種族。
割と夜間に行動させられる傾向が強そうな雰囲気を感じているので、何かしら対策は考えておいた方がいいのかもしれない。
そのまま北区までやってくると、居酒屋や宿屋がいくつも並ぶ繁華街が目に入った。その中には、"黄昏仔猫亭"の看板もある。
しかし、店先には『営業は夜から』と書かれた札が吊るされていた。
フィオラ:「どうする。夜まで待ってみるか?」
サウリル:「魔域の中よ、ここ。普通に待つだけで時間が進むとは思えないわ」
ウルリサ:「そうね。ひとまず、西区と東区にも寄ってみましょう」
時間つぶしも兼ねて、一旦別の区画を見に行くことに。まずは西から。
ここには月神シーンの神殿があり、その前では無数の人影が跪いている。
中央区と同じように、祈りを捧げる人々が集まっているようだ。
その横を通り抜けて、神殿の中へと踏み入ると、シーンの印象に相応しい、華美過ぎす、それでいて荘厳さを感じられる、美しい装飾で彩られた拝殿が佇んでいた。
中央の台座には、シーンをかたどった神像。……と、もう一つ像が置けそうなくらいの、不自然なスペース。
どうやらティダンは不在であるらしい。
フィオラ:「こういう空間、あんまり慣れねえな……やっちゃいけないこととか、気をつけた方がいいこととかあるか?」
サウリル:「意外と真面目ね……まぁでも、本物の神殿って訳でもないし、そんなに気を張らなくても───」
?:『───シーン様に祈りを捧げたいなら、その前に、御酒、歌、演奏、舞、祈祷文のいずれかを献納なさい。』
ウルリサ:「わ、影が喋った。……ここの神官、なのかしら?」
きょろきょろと見渡していると、神官と思わしき人の影が突然、そのような言葉を発する。どうやら何かしらを納めないといけないらしい。つまりチャレンジの時間だ。
酒、すなわち〈黄金の蜂蜜酒〉はちゃんと用意して来ているが、チャレンジは2項目選ばなければならない。酒以外に何を納めたものか。
フィオラ:「こいつ、今なんつった?酒を捧げろだと……?正気か……?」
サウリル:「…………訊くけど、お酒以外に納められるもの、あるの?」
フィオラ:「え、無いけど……」
ウルリサ:「……まぁ、舞くらいなら教えられるわ。やってみましょう」
戦士技能+敏捷Bで振れる『剣舞』が最も成功率が高くなるため、これを選択。
プラトーンの二人+一匹には何をやらせておくか……(リストを見る)(実はこいつらもお酒以外に納められるものがない)酒、二本使うか。仕方ない。
ということで、剣舞の判定(コロコロ)成功、経験点を合計で600獲得。なかなかの量。
今の時点で余っている経験点が1630あるので、第四話にはレベル4で挑むことができそうだ。前回の成長処理で経験点を残しておいてよかった。
そして無事に奉納を終えたので、これでシーン様の加護を得ることが……
シーン?:『安息の夜の訪れを願うなら、我が夫神、ティダンを我がもとへ……』
フィオラ:「あたしの酒が……」
サウリル:「泣かないの!!」
シーン?:『……』
……まぁ、本当にこいつに加護を与えていいのかどうか悩まれそうではある。
ちなみに公式の神々相関図(2.0の頃のもの)によると、かの酒飲み神・サカロスとシーンの間に矢印は存在していない。サカロス⇔ライフォスが友人、ライフォス⇔シーンも友人なので、いわゆる『友達の友達』くらいの距離感なんだろうか。
であれば、シーン様の酒飲みに対する理解度というのは、あまり高く無いかもしれない。不安だ。
ウルリサ:「それよりほら、東区も行ってみましょ。ティダン様はそっちにいるのかもしれないわ」
フィオラ:「わーったよ、もう……はぁ。デミルからまた買わねーとだなぁ」
サウリル:「とことん飲むことしか考えてないな、あんた……」
宥められつつ、とぼとぼと東を目指す。
こちらには大きな時計塔がそびえ立っており、最上階では、まさに太陽の如く赤い炎が、激しく燃え上がっているのが見えた。
自己主張が強くて大変助かる。
フィオラ:「あそこにありそうだな、ティダン像」
サウリル:「かしらね。それで、入り口は……あった。お邪魔しまーす」(突如爆発四散する床)(フィオラに7点、プラトーンに4点のダメージ)「…………」
フィオラ:「……爆破トラップが仕込まれてる街、怖すぎねえ?」
ウルリサ:「ま、魔域だから!あくまで!」
本物のダドワミの街にはこんなもん存在しないことを願いたい。
このまま行軍するのもどうかと思い、一旦回復を行なうことに。〈救命草〉を一本使って、フィオラのHPを24/25まで戻した。
防護点も精神抵抗もぺらっぺらなので、なるべく体力を高く保たないと、ある時突然穢れが1点増えることになったりするかもしれない。気をつけよう。
回復も済んで、塔の調査を開始。といっても、その後は何もなく、階段を登った先でティダンの像を入手しただけである。
……今更ながら、2mもある像を持ち運ぶの、なんとも言えない絵面になりそうですね。これPCがぐららんとかレプラとかしかいなかったらどうなっちゃうんだ。
フィオラ:「お待ちどう、ティダン神像お届けにあがりました、っと……」
サウリル:「そんな出前みたいなノリで……でも、台座にすっぽり収まったわね。これでいいのかしら」
とりあえず、回収した像を神殿の方にお届け。シーン様の隣に置いてみると、程なくして、鐘の音が鳴り響いた。
神官の影:『……ティダン様が戻り、安息の夜が訪れた。さぁ、皆。帰りなさい』
ウルリサ:「あら。夜になったって」
フィオラ:「夜……ってことは、トレミちゃんとこの居酒屋も開いたか?」
サウリル:「かもね。また行ってみる?」
フィオラ:「そうすっか。……あー、日が沈んだせいか急に身体が怠くなってきた……酒、酒が足りねぇ……」
サウリル:「魔域の中でもちゃんと反応するんだ、身体……ほんとよくわかんない種族ねソレイユって……」
メンタルよわよわ状態にされつつ、再び北区へ向かう。
するとやはり、"黄昏仔猫亭"の様子に変化があった。
フィオラ:「営業中……ってことは、入っていいってことだな!お邪魔しまーす!」
ウルリサ:「ノータイムで行ったわね……こほん。ごめんください」
女店員:「あら、いらっしゃい。三名様……と、一匹かしら?」
暖簾をくぐると、宴を楽しむ人々……の、影と声。そして若い女性の店員と、黒い毛並みの大型犬。
ペットOKなのかな、この店。衛生的に大丈夫なのかそれ。
フィオラ:「おう。とりあえず、食い物と酒を……」
サウリル:「の前に、やることあるでしょ。お姉さん、トレミって人を知らない?その人に用事があって来たんだけど」
女店員(トレミ):「あら。いかにも、私がトレミだけど……どちら様?」
フィオラ:「おう、あんたがトレミか。デミルって奴から、あんた宛てに預かりものが───」
さておき、エンゲージリング、もといリッカーである蜂蜜酒を取り出そうと、荷物袋に手を伸ばす。その瞬間、どこからともなく『駄目だ!!』という怒声が響く。
声の主は……トレミの傍らにいた、大型犬だった。
フィオラ:「……最近の犬って、喋るん?」
サウリル:「な訳ないでしょ!というかこの犬、なんか見覚えがあるような───」
ウルリサ:「っ、見て!犬の様子が、変……!」
やがて犬は、大きな狼のような獣───〔アザービースト〕へと姿を変えた。
おそらく、魔域の外で出会った個体だ。意図は分からないが、ここで待ち伏せをしていたらしい。
フィオラ:「なーるほど。この感じ、こいつをぶっ飛ばせば帰れるんだな?」
ウルリサ:「た、多分。でも気をつけて、この魔神の力なのか、周りの様子も変になってるわ」
見ると、先程まで宴に夢中だったはずの人々の影は、壁面を飛び出し、その腕をこちらに向けて伸ばそうとしている。なんとも不気味な光景である。
……こういうビジュアルのデバフ魔法、デモルラに欲しかったな。なんで突然自傷したり奇声を上げたり汚い霧を吐き出すだけの魔法しかねえんだ。
とにかく、第三話クライマックスの戦闘開始だ。気合い入れていこう。
◇ 想いを阻むもの ◇
さて、まずは敵の確認……えっ……〔アザービースト〕一体だけ……?〈剣のかけら〉も一個しか入ってないの……?二話のオーガくんの方が強くないかこれ……?
……まぁ、やるか。既に一方的な勝負になることが予想できてしまうが。
先制判定はぴったり12を出して、こちらの先行。……まぁ、特に難しいことは考えずに〈キック〉を二発入れるか。
手番の開始時に行なう〔影の手〕への抵抗は無事抵抗。そのまま前線エリアへなだれ込み、〔輝く肉体〕からの命中判定2回。(コロコロ)(コロコロ)一発外れて、9点を与える。
プラトーン部隊も同じく前進、グリフォンの【鷲獅子の献身】でフィオラをかばいつつ、攻撃を行なう。6点の確定ダメージ。
……冷静に考えると、いくら点数が低いとは言え、問答無用で確定ダメージを叩き込めるのは中々の重犯罪ではないだろうか。極端な話、敵の回避や防護が異次元の領域に達していても関係ないということだぞ。
その上で耐久力もまあまああって、しかも《かばうⅠ》と同じ能力を持っているときた。あまりにも無茶苦茶な気がしてきた、このプラトーンとかいう存在。デモンズラインの守人フェロー達が霞んで見えるレベルだ。
アザビのターン。と言っても通常攻撃しかすることがなく、それもプラトーンに吸われてしまう。(コロコロ)打点10に防護9、差し引き1点。……アザビ、お前ゴールデングリフォンの子供で詰んでないか?
以降、あまりにも差が酷いダメージレースを行ない、3ターン目で無事戦闘終了となった。与ダメージ37点に対し、被ダメージたったの5点である。
もしかしなくても、PC1人の時点で〔インプ〕と〔ヌズマル〕も配置すべきだったんじゃないかな……今後、あまりにもボス戦が味気無いと感じたら、PC人数2~3人想定の敵配置に切り替えて戦うことにしよう。
あるいは、ゴールデングリフォンの子供の使用を縛るか。このサプリの目玉的存在なのに縛らなきゃいけないというのも中々アレだが。
フィオラ:「───なんだ、一瞬で終わっちまった。あっけなかったな」
トレミ:「お、終わったの……?なんだったの、今の?」
ウルリサ:「私たちにも分からないけれど……まぁ、それは置いておきましょう。改めて、貴女に届け物です(〈黄金の蜂蜜酒〉を差し出す)」
トレミ:「!……ありがとう。あたし、これが届くのを、ずっと待っていたの」
フィオラ:「そいつはよかった。で、酒を届けた奴は歓待してもらえる、って話を聞いてる訳なんだが……どうなん?」
トレミ:「えぇ、もちろん。さ、あなた達も一緒に飲んで、お祝いして頂戴」
フィオラ:「待ってました!いやぁ、合法的に酒が飲めるって素晴らしいな!」
サウリル:「非合法だったとしても飲むだろ、あんたは……」
そんな訳で、トレミを主役とした小さな宴が始まった───と思ったのだが。
グラスに口をつけた瞬間、どこかでなにかが砕けるような音。同時に、まるで霧が晴れるかのように、世界がだんだんと薄れていく。
……気がつくと、ダドワミの街は完全に消え去っていた。一行が今いるのは、昨夜野営した場所だと思しき丘の上。
傍らには、雪に覆われた白骨死体がいくつか倒れている。遺品や衣服を見たところ、行商人が一人、それに寄り添っているのは大型犬、その他多数は冒険者……といった風貌。
フィオラ:「……なぁ、これって……」
ウルリサ:「デミルさんと、護衛の冒険者達……かしら。でも、どうして……」
サウリル:「……多分、この人達と出会った時点で、魔域に飲み込まれてたんじゃないかな、私達。じゃないと、說明がつかないでしょ」
フィオラ:「なるほどな……ん。デミルの持ってるこれ、〈黄金の蜂蜜酒〉か?」
ウルリサ:「名前もちゃんと入ってるわね。じゃあやっぱり、デミルさんはこれを渡しに行く途中で……」
サウリル:「……どうせ、さっきみたいに、代わりにそれを届けに行こうって言うんでしょ?」
ウルリサ:「えぇ。それに、どの道ダドワミには向かうことだし。……それじゃ、簡単にではあるけれど、弔いをしたら行きましょうか」
フィオラ:「テケルロコ様のところに行けますように、ってか。ま、あたしも賛成だぜ。こんな美味い酒、ここで腐らせるなんて勿体なさすぎるからな」
こうして一行は不思議な魔域を脱出し、その日の夕方頃、本物のダドワミに到着。
そこで、同じように"黄昏仔猫亭"という店を探してみると……果たしてそれは見つかった。丁度営業中のようである。
女店員:「いらっしゃい。……あら、この辺じゃ見ない顔だね。旅人さんかい?」
暖簾をくぐると、艾年を迎えたくらいの女性が出迎えてくれる。
快活そうに見える一方で、どこかくたびれた雰囲気のある、そんな女性だ。
フィオラ:「まあな。で、この店にトレミって奴はいるか?」
女店員(トレミ):「いかにも、あたしがトレミだけど……何か御用?」
フィオラ:「えっ。……あぁいや、魔域の中のは昔の姿ってことか……?」
サウリル:「かもね。あの感じだと、二、三十年くらいは前……かしら」
ウルリサ:「こら、二人共。……失礼しました。改めまして、こちらをお届けに(遺品と共に〈黄金の蜂蜜酒〉を差し出す)」
トレミ:「!……これを、どこで?」
フィオラ:「話せば長くなる、ってやつだな。ってことで……どうだ、酒でも飲みながらよ」
サウリル:「調子いいんだから、まったく……まぁでも、渡すだけ渡してさよなら、ってのも失礼かしら?」
フィオラ:「はは、お前も分かってきたじゃねえか。おーし、今日は朝まで語り尽くそうぜ、トレミちゃんよ」
トレミ:「そう……そうね。あたしも今日は、なんだか酔いたい気分だわ」
ウルリサ:「えぇ。きっと今まで、お辛かったでしょう。どうぞ、全て吐き出してしまうくらいまで」
この女子四人で行われた静かな酒盛りは、とても長く、本当に朝まで続く勢いだったことだろう。
でも、そういう日があってもいいのかもしれない。
ここはラクシア。ある日突然、蛮族や魔神の襲撃を受けて、想い人どころか村や街を喪うことも、さして珍しくない世界。
そんな命の安い世界だからこそ、帰らぬ人のことを忘れてはならない……なんて。
◇ 成長処理 ◇
しんみりしたエピローグになったが、それはそれとして成長処理の時間。
最終的に獲得した経験点は1760点、更にトレミから謝礼として3600Gを頂いた。
買い物は次回までにゆっくり考えるとして、ひとまず技能と能力の成長だけ済ませておこう。何故なら今とても眠いのである(執筆時刻:深夜四時)。
能力値成長ダイス、4ゾロで生命を強制される。なんか毎回ゾロ目じゃないか?
技能の成長は……グラップラーを4に上げるのは確定でいいだろう。あと1000点、何に割り振ったものか。
丸そうなのは、スカウトを3に上げるか、アルケミストを生やすこと。エンハンサーを2に上げるのは少々時期が悪いように思える。
うーん……まだお金は節約したいし、安定択であるスカウトを選ぼう。ここまでプレイした感じ、デモンズラインほどお金が潤沢に得られそうな雰囲気ではないし。
せめてAカードを気軽に投げられるくらいの余裕が欲しいところである。
そんな感じで、一旦処理を終了。買い物の結果は次回冒頭にて記述する。
次回、ついに"黄金のキャラバン"と合流。そろそろ物語が動き始める頃か。
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