第55話、解決後はみんなでラーメン
「……馬鹿がっ、コラァ!! ざけんなよっ!!」
「ひぃぃ!?」
屋敷から衛兵に捕縛されて連行されるトシノと執事に怒鳴り付ける。
魔将と通じていた疑いでじっくりと尋問され、裁きが下ることだろう。勿論、領主も同じだ。
「無意味に挽き肉にすんぞ!! この内面最低執事に全部食わすからなっ!!」
「そんなっ、私が何をしたというのですっ」
「ぶっ殺されてぇのかっ!! てめぇ、どの口が言ってんだ!!」
未だに猫の皮を被る執事に最後の怒声をくれてやった。
すると奴等は鉄籠の馬車に乗せられ、扉を閉められるなり、こちらへ開口した。
「……何で生きてんだよ!! 忌々しいクソガキどもが!!」
「バーカっ、バーカっ!! ウンコぉ!!」
正体を現した二人を、鉄籠を蹴って黙らせる。衛兵がいる前で反撃されるとは思っていなかったようだ。俺はやる。
運ばれていく性悪を見送り、何故か都市長の家まで付いて来たエドワード達に向き直る。
「……申し訳なかった。領主達にまんまと踊らされてしまったらしい」
「いや、流石に分かるわけないでしょ。ガッツのお陰で無事に解決したし、さっさとギルドに帰って休みましょ」
「……いや、そうもいかない」
「うぃ?」
軽く済ませようとした俺の予想に反して、エドワードは真面目な面持ちをして言う。
「勝負は完全にこちらの負けだ。不死戦艦討伐に関しても証言しよう。無論ながら八百万ゴールドは後日、きちんと君達に贈呈する」
「おおっ!! ですっ……!!」
イチカちゃんが跳ねて喜びを表している。
「…………」
「……あの?」
「すまない、今日のところはこれで失礼する」
素っ気なくも感じるエドワード達が踵を返して去っていく。何だったのだろうか。
「ふむ、では我もこれで帰路に就こう」
「なんだよ、ギルドに戻らないのか?」
「欲していた材料が何故か一度に集まってしまってな。すぐに作業に取り掛からなければ」
「そなの?」
「ではな、疲労困憊なる友よ」
ばさっとローブを振って若干の埃を舞わせてから、謎に参戦していたマーナンが立ち去る。何をしていて、何がしたかったのだろう。最後まで摩訶不思議な生物である。
「……じゃあ、二人とも帰ろっか」
「はいです。みんなでラーメンを食べましょう」
「おっ、いいねぇ」
乗り気で先を行くイチカちゃんに続き、妙に満足げなガッツに気付いて声をかけた。
「……何してんだよ、行こうぜ」
「…………」
「……なんだよ、なに笑っちゃってんの? 馬鹿にしてんの?」
何故かガッツは俺を見て、どことなく嬉しそうに笑っていた。
「ふっ、何でもないさ。では我等がギルドに戻ろうか、相棒」
「相棒じゃねぇよ、ポーション係だって言ってんじゃんっ。もう錬成室から出ないからな。今後は三人で解決しろよな。……ちょっと聞いてんの?」
「俺達が面倒ごとを持ち込んでいるかのように言うが、事件を呼び込んでいるのはお前かもしれんぞ?」
「……はっ。何を言っちゃてんのよ。真面目に生きてる村人が呪われるわけないじゃん。もう何が何でも騒動から逃げてやるかんな」
満足げなガッツに肩を押され、ガクガクと震える脚でギルドに帰還した。
ちなみにもうすぐ、もの凄い騒動に巻き込まれます。
~・~・~・~・~・~
連絡
これにて『魔将襲来編』が終わり、明日から『闇の魔女がやって来る編』が始まります。
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