詩集

未来の自分にネタバレされた

タイムマシーン乗って来たと言う

10年先の僕自身

宝くじでも当たったのかと

金ピカの時計腕に巻き、上質なスーツ着ていたが

顔は確かに僕自身

不思議と妙に納得いった

未来の僕はペラペラと

現在の僕へネタバレ語る

あー、このキャラまだ生きてんだ

漫画のネタバレだけじゃなく

こいつと縁切れ、あの人はダメだ

僕の人生のネタバレ

言うだけ言って満足そうに

杖を鳴らして帰っていった

はぁ！？ふざけんな

アイツの言いなり、なってたまるか

そもそも同じ道を辿れば

僕も金持ちなれるんだろう？

ならば逆張り今すぐ実行

疎遠なりかけ友達誘い、週末に予定ねじ込んで

気になっていたあの人と、その日の内に付き合った

タイムマシーンに乗ってきたと言う

僕が言ってた10年先

なんだかんだで幸せだったが

消えたくなることもちろんあって

2つ迷ったらこっち行け、きっと確実だろうから

憂いた目をしたアイツを信じて

本気で命を絶とうとしたが

即時発見！入院・退院

後遺症もなく帰された

はぁ！？嘘だったのか

騙しやがったなあの野郎

宝くじにも未だ当たらず

そもそも肝心タイムマシーン

全然ニュースになりもしない

あれは幻だったのか？

夢を見ていただけだったのか？

タイムマシーンを見ることもなく

90過ぎて、もうすぐ寿命

友達はだいたい見送って

あの人の最期も看取ったよ

さすが僕だな、よくわかってる

すっかり手のひら転がされたよ

金持ちじゃないが幸せだった

ブランド物の時計は無いが

孤独も、僕の側には無かった

僕の頭の中だけにある、タイムマシーンの設計図

やっぱりこれかと息引き取った