拝啓、この世界へ
5時前の紫が好きだ
眠気を誘う暖かさが好きだ
夕暮れに笑い合う子供の声が好きだ
真っ黒のキャンバスに浮かぶ光が好きだ
好きなものだけ
ってわけにはいかないけど
宝物みたいに輝く景色
地続きな世界で、忘れないように
アルバムを埋めていく
春先の風が好きだ
暑い日に食べるアイスが好きだ
落ち葉を踏むクシャって音が好きだ
静かな一面の白が好きだ
一つずつ見つける度
生まれてきて良かった、なんて
柄じゃないな
誰にも聞こえない告白
白い息と一緒に、そっと吐き出した
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