俺の英雄

ライトブレードがテンスを貫いた。

「甘いぞ、マキータ」

テンスがライトブレードを掴む!

「幸太郎!」

「俺のお前とは大きく出たな、しくじるなよ」

爆発が起きた。神盾と救世主のエネルギーが相克し神話的現象を引き起こしたのだ。

  


──これで俺の物語は終幕を迎えるというわけだ。思えば俺は幸太郎と戦うために生まれて来たのかもしれない。奪われるだけの人生だった。苦しみと怒り、憎しみと復讐の人生だった。でもその最終章で運命は幸太郎を返してくれた。最期を決着で終えれる、それだけでハッピーエンド、俺にしては上出来だ。

  


「勝手に終わってんじゃねえよ」

懐かしい声がした。運命が返してくれたのは幸太郎だけじゃない。

  


ほぼ全壊したナインスのそばに黒いアームヘッドが寄っていた。

「ヒレー…?」

「頑張ってるじゃねえか。俺のリベンジだろ。嬉しいねえ」

「なんで生きて…?」

「俺の最期は立派だったか?俺は優しいからな。先に会いに来てやったんだよ」

「ヒレー!」

「ほれ、お前さんのアームヘッドだ、乗りな」

  


アナザーエイジだ。

「フルアーマーゾディアークアナザーエイジ、スカジだそうだ。お前にセイントメシアは似合わねえってことだ」

アナザーエイジも返って来た!

「へへ、これが本当に最後のさようならだ。俺はもう歴史にいちゃいけないからな」

「ヒレー、まだ話が…」

「マキータ!…絶対勝てよ」

ヒレーが消えていく…。

「じゃあな俺はタイムスリップするぜ。本物の俺に会ったらよろしく言っといてくれや」

「ヒレー!」

「あばよ!俺のヒーロー」

「…ヒレーありがとう」

ヒレーの姿は消え、無数のドーナツだけが残った。

「…必ず勝つ」

  


「じゃあ始めようか」

テンスは更なる形態へと変化していた。

「幸太郎…」

ミザリーの結合は神盾とともに吹き飛んでいる。

「ミザリー・テーリッツ、俺とマキータどっちを応援してくれるかな」

新しいテンスは分離したミザリーを優しく掴んだ。

「俺はアイツと個人的に決着をつける!1人でだ」

  


テンスはミザリーを近くにいた黒いアームヘッドに渡して、こちらを向いた。

「これが最後のモード、モードメシアだ」

純白のその姿は人々に望まれた救世主そのものに見えた。だが!

「勝つぞ!スカジ!」

「勝つのは俺だ!かかってこいマキータ!」

メシアに向けて猛然と加速する!俺の限界は近い!メシアもまた、スカジへと向かう!スカジがゲイボルグを起動!テトラダイが義父のアームヘッドの名を冠した武器へ集中する!高濃度テトラダイがメシアのライトブレードを受け止める!メシアのダイナミックフェザーがスカジの装甲を穿つべく振り下ろされる!反アームキルのマントが何枚も弾ける!各々の武器が潰し合う!スカジの着込んだ鎧がバターのように裂けていく!

「幸太郎おおおおおおおお!」

「マキータあああああああ!」

スカジのホーンテイルがメシアの首を捉えた!

  


メシアの、幸太郎のアームヘッドの首をホーンテイルが切断した!

  


「まだだ!」

まだメシアの頭部のアームホーンをキルしただけだ!ダイナミックフェザーが完全にスカジの鎧を破壊した!

「決着をつけるぞ、幸太郎」

スカジの鎧を脱いだゾディアークアナザーエイジがメシアを睨んだ!ゲイボルグのテトラダイを攻性テトラダイに変換!ダイナミックフェザーを薙ぎ払う!メシアはライトブレードを振り下ろす!ゾディアークアナザーエイジの脚部に命中!テトラダイが全身に回る前に自切!もう突っ込むしかない!ゲイボルグの加速運動にアナザーエイジを乗せメシア目掛けて突っ込む!

  


「おめでとう」

ゾディアークアナザーエイジにコクピットを貫かれたメシアは拍手していた。かつての不格好な拍手ではない。

「お前の勝ちだ

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