神の盾
時は少し遡りパープルアップル決戦の前。
「すんげえ新装備い?」
「チョコレイト・リリイが完成しないのを見越して用意した」
ティガーは言った。
「ただこちらの方がすごいぞ。制御は効かないが」
ティガーのセリフにかつて使っていた制御の効かないすごいアームコアが思い起こされた。今や敵である。
その新兵器は盾である。
「目覚めぬアームヘッドだ」
ティガーは続けた。
「誰も神の盾を起こすことは出来ない」
「それは詩かなんかか?」
「このアームコアは誰にも適合しない」
「おいおい……」
「超硬い盾くらいにはなる」
それに……とティガーは続けたそうだった。とにかくナインスはそれを持っていった。
「グワアアアアアアア!!!」
人工惑星パープルアップルが悲壮な断末魔をあげ人造の大地が文字通り割れる。現実に引き戻された俺は持ってきた眠れる神の盾を見やった。この壊滅的事象でスカージの姿は紛れた。スカージはこの程度で倒れぬ。最も危険なインフェクターを奪ったとはいえ強い。俺は辺りを見回す。この破壊は作戦が成功したと言うことか?それにしては爆発ではない。何か”割った"という表現が適切なような……。だが巨大質量を割るなどという力があり得るだろうか。
「パープルアップルは死んだ。これで再び我が皇である」
黄色い災い魔が宙に浮く瓦礫に姿を現した。
「スカージ、俺は貴様と決着をつける。俺自身のリベンジのために」
「我が前座扱いとは偉くなったな。テーリッツ」
二機のアームヘッドから影が滲み出た。合図なく二人は同時に動いた。
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