時間の逆行

ヴァルジャニが教えてくれた光。既に終わってしまった物語の続きを見せてくれた。長い眠りと憎しみの記憶。ばらまかれた災厄。自らが恐怖の化身となり終わった物語。それに加えられた一筋の光。交わらなければ双方が呪いになる、そうアイリーンが言っていた。二つの光は二つの時代を繋いだ。セイントメシアアブソリュートオメガはエーデルワイスの差し伸べた手を握り一万年ぶりに自分の時代へ帰ってきた。呪われた偽りのタイムスリップの力を正しく用いて。

「少し待たせ過ぎたわね」

「ぜんぜんまってないぜ」

「なら次は9兆年待ってもらおうかな」

「勘弁してほしいぜ」

「もう待たせないよ」

「ターンバックが始まったか」

「……誰あの人」

秋那は幸太郎のテンスを指差す。

「おじいちゃん」

「あ、おじいちゃんね」

「……孫よ。ワシは義理のムスコと決着をつけにいく。好きにイチャイチャしなさい。マキータめ、いい気味だ」

「……」

「ちょ……ちょっと待って」

「なんじゃ」

「あとはどうすれば……」

「……そうだな。まずはこのパープルアップルを破壊しなさい。ターンバックが成った以上。ここは不要だ。むしろ放っておくとヘブンが危ない」

「良いのか?」

「ヘブンを壊すつもりだったのではということか?もうどうでもいい。俺は決着に大義名分が欲しかっただけだ」

「……それは少し困るな」

「誰だぜ?」

礼三郎の疑問に幸太郎が答えた。

「キディ!」

「……村井幸太郎。ミザリーを返してもらうぞ」

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