光の力を持つもの
◎これまでのあらすじ◎マキータとスカージ、幸太郎と礼三郎、突如現れたバビロン、それぞれの戦いがそれぞれの目的、それぞれの願いを持って交錯する。そして光が世界を照らす。ヘブンの軌道より遥か上、人工天体パープルアップルでマキータは物語に決着を着けねばならない。
大地が揺れた。人造の大地が。リズ連邦の夢のあと。主の滅亡を知らぬファントムが造り出した虚無の城。パープルアップルはヘブンの軌道へと近づいていく。里帰りだ。ただ一度の。パープルアップルがヘブンに接触すればお互いの重力によって双方が滅ぶ。それはかつての神罰の隕石の比ではない。
「私は、というよりはこのメシアか。この世界を滅ぼすと決めた」
私は目の前の小僧に語りかけた。
「なにをいって……」
「君は知っているだろう。代替の怪物を、だから私のところへと来た」
私もレイラインのミザリーの言葉のどこまでが真実か知らないし興味もない。
「光陽だったな」
光陽が、この星系の恒星が二つの天体を無言で照らす。
「ミザリーはヘブンダッシュの未来とこの基本世界の未来を入れ替えるつもりだった。だがそれでは奴らを止めることは出来なかった。だから方法を変えた」私は眼下の……いや天上か、のヘブンを見た。代替特異点、そしてその血族たちは空間の移動が出来ないという。そしてその出現はヘブンに限定される。彼らはヘブンの生物が変貌して顕現する形態をとっている。……ならば、ヘブンに生物が居なくなれば。最後のレイライン、ミザリー・テーリッツは己が見た未来を救う方法を破滅という救済に決めた。
私は、村井幸太郎はどうする?それは正しい救済か。俺は少し笑ってしまう。あの災い魔にまた自分の判断を試させようとしているのだ。
「第七形態だったな。誰の入れ知恵か知らんがどうするつもりだ?」
「いったはずだぜ、俺達の未来を返してもらうってな」
「未来などない」
「ならば作るだけだぜ!」
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