呪いの光

アマリリスが地の底に落ちていく。これが死、あるいは絶望か。キディ・ムーンライトは自分を客観視し沼に沈むのを楽しむかのように心を暗く染めていった。村井幸太郎相手に手も足も出なかった。ミザリーも救えなかった。おそらくミザリーは救われたいとも思っていなかった。少なくとも僕には。様々な考えが走馬灯のようにめぐるが前に進むような希望のある感覚はもうない。はやく地面にうちつけられてこの堂々巡りを終わらせたい。

「これでよいのか?」

自分の考えではない冷たい声が響いた。それは悪魔のささやきにも思えた。「余と契約せよ」冷たい声が続ける。

「願いを叶えてやろう」

  


光が見えた。

「我が名はバビロン、またの名をセイントスカージ」

良いだろう。願いが叶うのなら、もはやそれが望まれぬものだとしても。

  


白い光が代替世界の向こう側から差し込んだ。これが第一の光。願いとは呪いだ。

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