血染めの翼の帰還

「マキータ……出てこい」

俺はテンスのコクピットで呟いた。ミザリーの言うことが本当ならばセイントメシアナインスで出てくるに違いない。

「敵ですよ」

テンスと融合しているミザリーの言葉に俺は驚いた。

「敵だと?アームヘッドの反応が無いようだが?」

「当然です、シビルヘッドですからね」 

「シビルヘッド?なんだそれは」

「そうか、知りませんよね。でもあなたの敵ではありません」

「アームヘッドではないということだけわかった。俺の世界では現れなかった奴らというわけか」

テンスの舵を切り水面から飛び出た!

「そこの所属不明機、止まれ!」

シビルヘッドが警告する。

「俺を知らんのか?俺は村井幸太郎、セイントメシアのパイロットだ」

テンスは挨拶がわりのウォーターレーザーをシビルヘッドに浴びせた。

「なるほど、シビルヘッドか」

アウェイクニングバリアの感覚はない。テンスはシビルヘッドの一体を足蹴にしながら他のシビルヘッドを見定めた。

「アームキルも効かないか、厄介だな」

シビルヘッドは鎖つきの鉄球を取りだし、テンスを囲む。

「アームヘッドの特性をよく理解している、流石だな」

  大質量とスピードでアームヘッドの覚醒壁の防御を突破しようというわけだ。

「戦乱の時代は俺達だけが過ごしたというわけではないのか」

シビルヘッドの鉄球がテンスに振るわれる。

「しかし良いものだな。楽が出来る」

鉄球は不自然な位置で制止する。

「アクアヴェールだ」

テンス第二形態は水の膜を纏う。

「お前たちは寝ていろ」

様子見と暇潰しは終わりだ。先程までの緩慢な動きが嘘のようにテンスはシビルヘッドに素早く触れていく。

「なっ」

シビルヘッドのパイロットは驚きを隠せなかったようだ。テンスの狙いは脚だ。アームキルで自壊しないならば重力に任せるのに限る。

「来たか」

 「どうやら不意討ちは効かないようだな」

テンスはその言葉の主のフィジカルライフルの狙撃をかわしている。

「当然だ、忘れたのか?俺にそのようなものは通用しないことを」

テンスの眼前に立つのは兄弟機とも言える漆黒の機体、セイントメシアナインスだ。

「決着を付けるぞ」

二人の言葉が重なる。ナインスは両手にフィジカルライフルを構え、まっすぐに迫る!テンスは長いアームホーンを突き刺すかのように構え、直進する!二機のセイントメシアが交錯!フィジカルライフルでアームホーンを受け止めるナインス!

「幸太郎!」

「マキータ!」

火花が散ったあと二機は再び離れる!ナインスのライフル!

「アクアヴェール!」

テンスのアクアヴェールがことごとくそれを防ぐ!

「喰らえ!」

テンスの鉤爪と化した両足が無意味な攻撃をするナインスの両腕を狙う!「オラァ!」

マキータが叫んだ!ライフルを回転させる!ナインスのライフルは銃剣だ!目眩ましか?成長のないヤツめ!

  


テンスのウォーターレーザーで因縁を終わらせてやる!

「かかったな?」

「え?」

ナインスは脚をあげる!ナインスの足が変形しテンスの大腿部を掴む!その勢いでナインスはテンスの股下から回転!テンスの裏を取る!

「死ね!幸太郎!」

ナインスはアームホーンを突き立てる!後ろにアクアヴェールは無い!

 「やはり俺のライバルだ」

残念ながらテンスのアームホーンはその後ろにある!ナインスとテンスのアームホーンがぶつかりあった!

「そうだ、殺す気で来い。そうでなくてはこの村井幸太郎は倒せんぞ……」キメラを使わせてもらう。第二形態ではマキータには勝てぬ。

「死ぬなよマキータ」

  テンスが黒い膜を帯び始める。マキータは警戒しテンスから離れる。

「モードチェンジ……テンス第三形態……、さあ……来い……」

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