父と子

◎いままでのあらすじ◎

死んだはずのスカージの襲いからマキータを救ったのは死んだはずの幸太郎だった!

「お義父さん、起きましたか?」

見知らぬ声に眠りを邪魔された。そうかあれは夢だったのか幸太郎が生きているはずがない。

「ここは……」

「天州連邦首都、シャングリラ……だ、そうですよ」

相手は敬語なれしていない?というかこいつは誰だよ?

「何があった?」

どこまでが夢なんだ?

  「幸太郎のヤツ、いえ幸太郎さんにあなたをここまで送るように言われたんです。ここに御兄さんがいると」

「なるほど幸太郎に……」

幸太郎?あれは夢じゃないのか?

「なに頭抱えてるんです?ぼくはあんたに頼みがあるんすけど……」

「頼み?幸太郎は生きているのか?」

「だから殺して欲しいんすよ」

 「は?どういうことだ!?幸太郎はトンドルのアームヘッドとの戦いで死んだ!」

「死んだのはあんたじゃないですか?」

「俺が!?」

「……まあこっちじゃ違うみたいですね」

「……整理してくれ」

「幸太郎を殺せ……とは言いません。倒して欲しいんですよ」

「なぜ俺に頼むんだ?」

  「幸太郎のヤツは常に言っていました。唯一俺が勝てなかったのはマキータ・テーリッツだと。まさかこんなオッサンとは思いませんでしたが」

幸太郎がそんなことを言っていたなんて……。だがもう1つ気になることがあった。

「おとうさんってなんだ?」

「あっ……。すみませんそれが頼みなんです」

「わたくし、キディ・ムーンライトと申します。ミザリーさんのお父様でいらっしゃいますよね?」

「いらっしゃるが……」

「実は幸太郎のヤツが……なんというか」

「なんだ?」

「ミザリーさんと融合してるんです、アームヘッドが」

「……?……倒して欲しいというのはそれか?」

「はい!」

  ミザリー……。うちに来たときから不思議な娘だと思っていたが、だがこの状況はなんだ?

「良いじゃないですか、”お父さん"」

白衣を来た似合わないメガネをした男が入ってきた。俺はコイツを知っている。

「ティガー、久し振りだな」

「目が覚めたのでしたら良かったです」

ティガーは俺をにらんだ。

 「ではあなたが御兄さん!ティガー・幸太郎・テーリッツ博士!ん……幸太郎?」

「いかにも私がティガーだが、よくぞ父を連れてきてくれた。父はまだ自分が若いと思っていて無理をして困るよ」

ティガーは俺を無視しキディなる男と話を始めた。

「アナザーエイジは動かせるか」

「ん?まだやるんですか」

  「当然だ。ミザリーを救わなくては」

「僕と姉さんは救わなかったのに?」

思わず俺は目をそらしそうになった。

「……悪いとは言いません。そうじゃないですか?あなたも反省しているんです。今回もやらない、じゃ姉さんが浮かばれません」

「ティガー……」

「でもアナザーエイジはまだダメです」

  「じゃあどうするんすか?幸太郎のヤツ、いや悪い方の幸太郎が倒せないじゃないですか?」

「案ずるなキディくん。僕はねえ、天才なんだ!」

ティガーがリモコンを押すとスクリーンが投影される。

「これがナインスだ!」

「ナインス?」

「然り!すべてを救うセイントメシアナインスです!」

  スクリーンには黒いセイントメシアが映っていた。

「だから悪い幸太郎の野郎はテンスっていってたんすね……」

「おそらくミザリーはナインスの存在を知っていたのだろう。しかし僕はねえ、アブソリュートオメガを作ったんだよ!よりよいセイントメシアが作れるはず!今度は……今度は……」

「……俺に乗れと言うのだな」

「……そうです。……ちゃんと帰って来てくださいよ」

ティガーは俺から目をそらした。

「……いいだろう」

その時だった。突如襲撃警報がなった!

「なんだ!敵襲だと?」

ティガーが通信に向かって怒鳴る!

「はい!敵アームヘッドは水中に居ます!」

「ザ……ザ……マキータ……居るか?」

通信にノイズが混じる!

「悪の幸太郎!」

キディが叫ぶ!

「悪?……とりあえず戻れたようだな?久し振りに小手調べといこうか?」

スクリーンが青いセイントメシアを映した!

「第二形態だ!」

  

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