第24話 ドラセナ
「なんで先生が·····」
生徒たちは混乱していて整理整頓できていない様子だった。糸原は1冊のノートをみんなに見せる。
そろそろ答え合わせをしなければならなかった。
「私は香里奈さんが書いたノートを手がかりに、事件を解決するために皆さんのクラスの担任になりました。ちなみに香里奈さんは生きています」
「どこにいるんですか?」
青木が立ち上がり声を荒げる。月葵は糸原の家にはいない。危険が伴うため【信頼出来る人】の家で預かってもらっている。
「このクラスには【問題のある生徒】がいるので教えられません。石井悠里、青木徹也、立ちなさい」
間違っている生徒の【三人】の内の2人、石井悠里、青木徹也が立ち上がる。
「まず石井悠里。あなたは香里奈さんが虐待をされていた事実を知っていた。なのに当時の担任の金森先生に話さなかった。それはなぜ?」
石井悠里と青木徹也以外は話についていけてないだろう。糸原はゆっくりと石井の言葉を待つ。石井はそれでも【嘘】をついた。
「虐待をされていることは私は知りませんでした。確かに香里奈には複数の痣がありました。直接聞いても香里奈は虐待の事実を認めませんでした」
糸原はノートを開く。そして文章を読み上げる。
「親友の悠里は虐待されている私を心配してくれました。警察や保健室の先生に相談しようと何度も言ってくれました」
糸原はノートを悠里に見せた。そして、石井は、ノートの字が香里奈のものだと理解した。
「この文章は嘘だと言うのですか。でなければこの続きを読みます」
ノートを書いたのは石崎香里奈本人だ。本人の記憶が消えないように保護した数日後に書かせていた。
そして続きの文章は、香里奈と悠里しか知りえない事だった。その文に反応を見せる悠里。
「虐待だと知らなかったのは本当なんです。あくまで虐待は可能性の話で」
石井は目に涙を貯めて泣き始めた。それでも石井は【嘘を言わなければならなかった】
「分かった。でも、なぜ友だちを助けようとはしなかった?なぜ大人に相談できなかった?」
間違っている生徒のうちの1人、石井悠里。香里奈の失踪を自分のせいにして、ずっと自分を攻めている。それが【間違っている】。
「いや、言い方を変えよう。香里奈さんが失踪したのは石井のせいじゃない。石井が救っていても香里奈さんは失踪する予定だった。そして香里奈さんは石井に感謝をしていた」
石井は自分を責めていた。自分が救えていたら香里奈は失踪しなかったのでは無いだろうかと。でもどのルートを通っていても香里奈は糸原が保護する予定だった。
糸原はクラスを見渡す。糸原は間違っている生徒の最後の一人を探す。しかし誰一人として表情は同じだった。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「まぁいい、座りなさい」
号泣する石井を座らせる。そして糸原は青木を見る。
「青木徹也、青木は香里奈が売春されていた事実を知っていた」
もう1人の間違っている生徒、青木徹也は糸原を睨みつけた。
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