アリア攻略編9 アリアの追撃
なにかがくちびるにあたっている。頭を振ってすぐ取れたと思ったら、また当たる。ジャマだ。なんだよ。
アリアの匂い。
一気に覚醒した。びくりと震えてしまい、それから反応できない。
隣りから寝息が、聞こえない。
エミは、起きてるのか? バクバクと鼓動が早まった。焦る。が、寝息は聞こえた。きっとシーツが口元を覆っているだけだ。
はぁ。安堵したが、息はつけない。
寝起きの息をアリアに嗅がれたくなくて、さっきから息を止めている。俺が起きたのはもうバレているはずだ。
アリアのキスは、そっと触れては離れるだけのソフトなものだった。その程度で興奮する程ピュアじゃない。はずだったんだが。ヤバいな。下半身が反応してきた。
あまりにも異常なシチュエーションに、完全に飲まれていた。隣りで寝ているエミを意識すればするほど、俺の唇をなぶる感触にマグマが熱く猛ってきて、今にも爆発しそうだ。
寝起きの無防備な心へと、するりと入り込まれたようだった。優しいキスの応酬に、少しだけ応えたくなる。バレたらマズいと思うほど背徳の昂りが止められない。ついに俺から動いてしまう。
アリアの上唇を優しく挟んで、その感触を堪能していく。極上の柔らかさだ。ぷるぷるとして気持ちがいい。
はむはむと遊んでいると、無言で応じてきた。軽く当てるだけの慣れないキスから、相手の唇を挟むキスに。空気が変わった気がする。
薄く目を開けると、頬を赤く染めて、唇に集中しているアリアの顔。その可憐な美しさに心臓を掴まれ、思わず息が荒くなる。少しずつ、やわらかい唇の感触を求めていってしまう。
さらりと前に垂れてくるアリアの前髪を押さえつつ頬にふれると、その目が開いた。みつめ合う。
アリアの目線が俺の顔を撫でるだけで気持ちが良すぎた。唇だけで、舌が触れてもいないのに、脳が蕩けていきそうだった。
洗脳の快感。与えてもらえる。心底従属するだけで。もう、狂ってしまいそうだっ。
喘ぎ声を上げかけ、やっとエミのことを思い出したが、それさえも背徳の快感を生むだけだった。いつしか声が漏れていた。
まだエミの寝息は聞こえるが、マズいな。アリアもそう感じたようで、顔が離れていく。頬に添えていた右手に手を重ね、人差し指に口づけをされた。
ちゅっ
響いた音が大きくて、気が気じゃない。アリアを少し睨んだ。可愛らしい笑顔を浮かべて手を振り、ゆっくりと静かに出て行った。
やられた。ヤバかった。
キスだけで、亜麻色の髪の乙女にドビュッシーするところだった。
エミの規則正しい寝息がまだ聞こえるが、規則正し過ぎる気もする。それさえも、もうどうでもよかった。
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