2話
美しい自然とは裏腹に、虫の気配すら感じ取れない。ただ気持ちの良い風が野を駆け回っている。まるで絵本の中にいるようだった。
あまりに心地よいので、どこぐらい歩いていたかなんて考えていなかった。気がつけば足元に小川が1本流れていた。そこまで深くはなく、流れも穏やかな小川だ。
「水の音はこれか…」
私は小さく呟いた。その瞬間、いきなりこれまでの溜まっていた疲れが全身に響き渡った。石のように重くなった体に耐えきれず、勢いよくその場に座り込んだ。そしてそのまま草原に寝転び、起きれなくなってしまった。空には相変わらず満天の星たちが輝いている。そよ風が私の頬を掠めた。私は疲れのあまり気がつけば眠ってしまっていた。
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