自分勝手な、人達
気づいた時には空が橙色だった。
カースト上位の人にこき使われる奴隷にはもうなりたくない、と素直に思える小説だった。散々こき使っておいて自分は平和的解決を迎えながらも恋人にはならず主人公が一番辛くなる話だった。瀬野は絶望に落とされているのでまだ良いが、この小説では今後の展開次第では恋人になれると思う。恋愛経験の無い私は人の恋愛には首を突っ込みたくない。
瀬野は本当に従姉だった。母には姉がいるし、社会人になってすぐに家を出ていったらしい。日向君が何処からその情報を手に入れたのかは今でも分からない。当時は知ることが怖かったのだ。
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「奈々子。私、友達をやめていい?願いを叶えられなくてごめんなさい。私にはもう友達でいる資格は無いと思うの。」
主従関係になっているので、友達では無いと思うが、しっかり縁を切りたかった。
「何を言っているの?貴女がいたからあんなに田島君と仲良くなれたのよ。私の力では無理だったわ。今となってはとても感謝しているのよ。本当にありがとう。」
もう私が2人を嫌いになっているから言っているのに。パシリとして使われたくはない。奈々子は平気でこれからも命令してくるだろう。
「奈々子と会う度に後悔してしまうから、暫く距離を置きたい。田島君にも言っておいてほしいの。」
「そう。じゃあ、1月ほどは積極的に話さないようにするから、その間に気持ちを立て直してもらえると嬉しいわ。」
どこまでも奈々子は自分勝手だった。
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今だから言える。あの時の決断は間違っていなかったと。
あの時、覚悟を決めて断って良かったと。
急に母の声が聞こえてきた。
「夜御飯食べる?」
いつもよりも早い時間だ。今日は塾があるとは言え、こんなに早いのは早帰りだったからだろう。今日のメニューはトンテキと野菜炒めとご飯とお茶だと言っていた。明日の給食はカレーライスとマリネとゼリーと牛乳だから、母は明日の昼御飯をカレーにすると思う。
「今行きます。」
「塾の宿題は終わらせたの?」
「今出ている分は終わった。」
「そう。じゃあ食べな。」
塾の日は私だけ先に食べる。
「いただきます。」
「久しぶりに学校行ってどうだった?」
「欠席者がいなかった。あと、来週転校生が来るらしい。」
「クラスに入るの?」
「そうらしいよ。男の子だって。」
「始業式以外は何やったの?」
「班長投票とアンケート。」
「班長、選ばれそう?」
「選ばれる可能性のある条件ではあった。」
「そう。選ばれないと良いね。」
「そうだね。」
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