ネタ出し
第五回こむら川朗読小説大賞の全体レギュレーションとして「男性一人称視点の小説」という縛りがありました。
朗読されるのを目的としているので神の視点だと企画が破綻するための縛りだとは思いますが、いかんせん緩めのルールなので何を書いてもいい状態だと逆に何も思い浮かばないんですよね。なので、謎の評議員を狙い撃つようなものでも書いてみようかな……とか、思って色々とネタ出ししてみたもののカタチにならず……みたいなものがいくつかありました。(吸血鬼の執事と死にたがり貴族の人外主従モノとか!笑)
結局、カタチになったのはおじさんと少女がなんやかんやあって逃避行ドライブするという内容で、アイデアの段階では割りと明るいコメディっぽいものだったように思います。
おじさんが若者の文化(TikTokとか)に振り回されて四苦八苦しながら仲を深めていくような感じの。今の流行りをたくさんいれて、今しか新しいと思えないような消費されるためのエンタメ物語を今回は投稿するんだ! と思って途中まで書いていました。 ──ですが、現実とはままならないものですね。
七月終わりのある日、珍しく親からマジメな連絡があって内容を訊くと「伯母さんが亡くなったから葬式することになった」とのことでした。
ここからはかなり個人的な、創作とはあまり関係のないことになります。
伯母も高齢ですし、そうなってもおかしくないとは思っていましたが訃報がいきなりすぎて理解が全然追いつかなかったんですね。どうやら、ずいぶん前から闘病はしていたが周囲には絶対に知らせないように、と本人から箝口令が出されていたようでした。八月上旬のジリジリとアスファルトを焼く季節に真っ黒な喪服を着て葬儀場に行くのは、二重の意味でなかなかキツかったです。
正直、葬式自体はいわゆる恒例行事ですし、何も思うことは普段なら無いのですが、肝っ玉で元気な姿しか知らない伯母の、病的に痩せて骨と皮しか残ってないような死化粧した姿を見せられるのはさすがにツラかったですね。その最期の姿が脳裏に焼き付いて、しばらく気分が落ち込んでました。
ついでに言うと、悪いことというのは重なるもので女の友人から「旦那からDV受けてて離婚協議してる」相談をされたり、別の友人から「仕事の人間関係が悪化して人生つまんなくなってきた」相談を受けたり、色んな角度から精神ダメージを負わされて、創作どころじゃなくなってました。(ついでに家のwi-fiも故障してた)
このまま不参加でもいいか……とか、思ってたんですが創作者のサガですよね。途中まで書いていたおじさんと少女に、自分と同じ境遇になってほしいと禍々しい思いが湧き上がって内容をほぼ変えて書き上げてしまいました。
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