第17話 敵襲

かすかに博士の怒鳴り声が聞こえる。

「そろそろ逃げるぞ………」

ウォーリーは冷や汗をかきながら、暗い倉庫に隠れた。













ズドォォォォォン

その頃サステナブルエンジョイのエントランスでは、Y軍のロボットたちが、自動ドアを壊して現れた。ウォーリーとベッキーに司令室が破壊され、前線への情報とロボットの派遣が追いつかなくなり、前線Mのロボットは全滅してしまったのだ。

「ここがM軍の本拠地か」

「え、広っ」

「それな。うちらの本拠地マジで狭い。ここはエントランスって感じ。うちらは玄関って感じ」

「それな」

どうやらY軍の本拠地は、民家を少し改造した程度で、本拠地というよりは、実家である。ここと比べたら福利厚生皆無である(ナレーションも実際に行ってみたけどマジで狭いよ)。

「エレベーターあるんだべ。おいらあれに乗るのが夢だったべよ」

「風通しがいい……、広い……」

「こんなに広いとサッカーできちゃうね!」

そこまで広くはないと思うが、極狭本拠地出身のロボットにとってはこれがめちゃくちゃ広いのだろう。

しかし敵襲には変わらず、ついさっきウォーリーとベッキーが司令室を破壊したばかりに、Y軍のロボットが今社内にいるということは、M軍の誰も知らないだろう。

「おいテメェら!!!!!!この程度の広さ、どうってことねぇぞ!!!!!!お前ら博士が正義だと証明するために生まれてきたのだろう!!!!!!テメェらそこどけ」

リーダーのロボットが叫ぶと、他のロボットはそそくさとそこをどいた。

するとリーダーはエントランスで寝転がると、カメラのロボットに向かって言った。

「上手く撮ってくれよ」

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?リ、リーダー?今どうってことないって言ったじゃないですか」

「うるさい!俺が真実だ!!!!!!」

カシャッ

リーダーはエレベーターの中に入った。

「カッコよく撮ってくれよ」

キラりん!!!!!!

「(なんだこのリーダー………)」

カシャッ










ウォーリーは息を殺す。倉庫の外に博士がいるようだ。

「さっきこの中に入っていたような気がしたが」

ガチャン

入ってきたようだ。彼は明かりをつけた。

「(頼む行ってくれ)」

「あ」

「⁉︎」

「見つけたぞウォーリー!!!!!!」

「!………ここまでか⁉︎」

とうとうウォーリーは壁際に追い詰められてしまった。

「そんなに殺戮兵器になりたくないのか?まぁ、望みなんて叶うものなんてないけどな」

「……クソッ、ここまでか。……ん?となると、博士の望みも叶わないのでは?」

「ハッハッハッハ、残念ながら私に望み薄という文字は無効だ」

「ねぇねぇ、後ろ!!!!!!」

「後ろ?」

「なんかいるって!!!!!!」

「ハッハッハッハ、そんな古典的なものに引っかかるわけがない」

「いやマジで背後に誰かいるって」

「うっせえな。我が軍の英雄となれ!」

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