第11話 社畜

「……う、う、ここは?………」

「mezametaka」

ベッキーは謎の研究室にウォーリーを連れてきて、ベッドに寝かせたらしい。

「寝かせるというより固定する、ですよね」

「souka?」

トントントントン

奥から足音が聞こえる。

「…ベッキー。連れてきたようだね」

「turetekimasita」

彼女は敬礼すると、その場を離れた。

「やあウォーリー君。久しぶりだね。君を作ったのは……、えっと、どうでもいいや。どうだい訓練の成果は。今日がデビュー戦らしいけど」

どうやら源博士らしい。

「えっとですね。すみません、エアコンを消すために早退しました」

「……知ってるよ」

「………そんな気はしました。すみません、今から戦場へ行ってきます。前線Nでしたっけ?」

「いや、戦いはもう終わった。正確にはまだ終わってないが、もうすぐ終わる」

「?」

奥からベッキーが機械を持ってきた。

「それはぁ、あの、なんですか?」

「殺戮兵器製造マシーーーーーーン!!!」

「…………………?」

「そのまんまだよウォーリー君。思考回路を全て捨てて、人の頼みだけ聞く完全に殺戮のためだけの兵器に変えるんだよ」

「ハァ……………。もしかして、エアコンを消し忘れたことを利用して、俺を捕まえようとしたというわけですか?」

「いや、私がエアコンをつけ、君に脳内電波でエアコンを消し忘れたと感じさせて、誘き寄せたのだよ。やはり対地上制圧兵器に思考なんてつけなきゃよかった。……………大丈夫、痛みは感じないよ。まぁロボットに痛みなんて感じないけど…」

「え、じゃあこれからの生活も?」

「全部殺戮になる。大丈夫、疲れることもない。なぜなら、疲れるという思考もないからね。それに、持ち主の命令しか聞かないから、敵に利用されることもない」

「……え、社畜じゃん……。いや、機畜鬼畜とも言うべきか」

「上手いね。けどそんなことももう言えないよ。必要最低限の会話しかできない」

「⁉︎」

「素晴らしいと思わんかね。それで山田大輔を殺して宿題は最終日にやるということが正義だと思わせるんだ」

「…それでどうする」

「それで?それだけ」

「へ⁉︎」

「もしかして目的を見失っているんじゃないか?」

「そ、そういやそうだった……………………いや、まだ目的があんだろ!地下のゴミ集積所で、ゴミ捨ててる場所が確実に日本じゃない場所だっただろ」

「あれ?あれは異世界だよ。ついに異世界へ通ずる道を作ったんだよ。そして、夏限定で異世界転生の体験ができるレジャー施設を作ろうと思ってね」

「いかにも宿題最終日に終わらせる派な考え方だな」

「そうだろ?あれはそれの実験みたいなもんだよ。もしかすると小説で見たことあるような世界に行けるかもしれないよ。例えば最強の勇者がいる世界とか?」

「ハァ」

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