第6話 幼馴染みが図書室で猫になる。

「じゃあ、鴫野はどんなことをされれば喜ぶの?…わかった!猫みたいな仕草をすればっ」


「なんだそりゃ?」


「ね、手をこう猫みたいにしながら、にゃんにゃん~って。にゃんにゃん~。ほら!いま、可愛いって思ったでしょ?」


「可愛いか可愛くないかとかじゃなくて。可愛いと思ったとしても言わない。樟葉は図に乗るから」


「御主人に御奉仕するにゃん。…ほら、可愛いって思ったでしょ。それとも、どんな御奉仕してくれるのか想像して妄想してムラムラした?」


「そんなセリフで妄想したりしてムラムラしないからね!」


「猫は気まぐれだけど、今は抱きしめてもいいにゃん」


「しません」


「ムラムラしちゃうもんねー」


「ムラムラ連呼すなっ。こんな公共の図書室でっ」


「あっ、そうか。『御主人』じゃなくて、ちゃんと名前で言わなきゃ駄目よね」


「そういうことじゃないしっ」


「鴫野くぅん~、鴫野くんに御奉仕するにゃん」


「名前で言い直しても変わらないから」


「鴫野くんのノートにうんち書くにゃん」


「うんち書くな!」


「なによ、もう。顔にお尻押しつけるわよ」


「もやは寝てる時とか関係ない」


「ネコパンチっ、ネコパンチっ」


「叩くな叩くな。そして可愛くない」


「わたしのお尻のにおいでも嗅ぐにゃん?」


「雨よ早く止んでー!」










「ほら、見て見て!折り畳み傘!置き傘してたの思い出したの」


「よかったじゃん。これで樟葉は帰れるし」


「樟葉も一緒に帰るのよ?」


「だから傘があったら図書室に残らないって」


「あるじゃない、ここに傘が。折り畳み傘だけど、大きいサイズのものだから、二人で入っても問題ないから」


「いや、二人で入ること自体に問題があるからね。一つの傘に一緒に入るなんて、どんなゲームなんだよ」


「うるさいわね。さっきのコンサートDVDを返さないわよ」


「お前勝手に持っていったのー!いつの間に!?」


「鴫野がお留守の時に」


「お前オレが居ないときに勝手に入るなよ。樟葉も嫌だろ?自分が居ないときに勝手に入られたりしたら。物色されても困るものがないからと言っててもさ」


「そうね、勝手にクローゼットの中の引き出しを開けて下着を取り出してクンクンされたりするのは」


「するわけないし!」


「いえ、下着をクンクンされるのは、ギリ…」


「ギリでセーフじゃないよ!いや待て待て、下着を嗅がれることに執着してるけど、樟葉はオレの部屋でしてないよな、そんなこと!?」


「するわけないじゃない。鴫野と一緒にしないでよ」


「オレもしないってー!」


「そう…してないんだ…」


「なぜ悲しそうな表情をみせる!?」


「入っていいわよ?」


「いや、徹底的に拒めよ。高校生なんだから余計に」


「でも、昔はよく入ってきてたじゃない」


「昔はね」


「どうするの?入るの?入らないの?」


「えー…」


「そんなに私のことが、イヤ…?」


「そんなわけないし!……入るよ!昔の様に!」


「そう。よかった。じゃあ、一緒に帰りましょ?」


「一緒って、傘は樟葉1人で使って帰れって…」


「入るっていったわよね?なら入りましょ?一緒の傘に」


「いや面白くないからね、そういうの!」











「ちょっと鴫野、もっと引っ付いて歩かないと。大きめっていっても折り畳み傘なんだから。肩が濡れてるよ?」


「肩は濡れても大丈夫だし。頭さえ濡れなければセーフ」


「セーフじゃないの。ほら」


「そんなピタッってならんでもいいやろ」


「もぅ、また離れて。ほらっ」


「ちょっ、腕にしがみつくなよーっ」


「だーめ。放さないにゃん」


「猫語はもういいって~」




 

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歌しか聞こえないから。 白鴉2式 @hacua

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