幼馴染みが図書室で猫になる。

第5話 幼馴染みと図書室で暇をもて余す。

「あれ、珍しい~。鴫野が図書室に居るなんて」


「雨が降ってきたから帰れなくなってさー」


「急に降ってきたわよね。傘は?」


「持ってきてない。今日は雨が降ったり降らなかったりで、降っても小雨程度ですぐ止むって天気予報でいってたからさ」


「そうね」


「だから雨が止むまでの時間潰しに、図書室で」


「そうなんだ。やっぱりね。図書室に鴫野だなんて、いびつだと思った」


「いびつ!『おかしい』とか『似合わない』とかじゃなくて!」


「図書室は静かにっ。そんな大きな声を出したら他の生徒の迷惑になっちゃうよ?」


「今日はそんなこと気にするなんて無駄だし。オレと同じように大雨で帰れなくなってる生徒達で騒がしいくらいだし」


「いっぱい居るわよね。天気予報、大外れだったもんねぇ」


「大外れっていうか、ゲリラ豪雨の予測は厳しいらしいよ。樟葉はよく図書室に来るのか?」


「ううん、私も傘が無くて帰れないから~」


「いやお前もかいっ」









「何してるの?ノート広げて」


「時間潰しに今日の復習をしてみてるんだけど」


「あー、あのテストのがあったから…」


「そういうのは違うから。ただなんとなくなだけだから」


「なら私も復習しよーっと」


「・・・・・」


「♪~~」


「…なにやってる?」


「字を書いてるんだけど?」


「どこに?」


「指に。あなたの」


「どこに書いてんだよっ。んで、それ、ボールペンじゃん!」


「いいじゃない」


「よくはないな」


「えー、けちんぼぅ」


「だからってオレのノートに書くな」


「・・・・・・」


「うんこを書くな!サラッと!オレが書いたと思われるだろが。小学生か。まったく…いや、消しゴムで消えん!あ、これボールペンじゃないかよ!」


「あら、ごめんなさい」


「わざとだろっ。ほんと、お前は作業とかしていたら邪魔してくる猫か!」


「あ、それあるかも!だって私が顔を洗ったら、途端に雨が降りだしたから」


「猫が顔を洗ったら雨が降る的なアレなー。そんなわけがない」


「うるさいなぁ。朝に鴫野の部屋に行って、寝てるあなたの顔にお尻を押し付けるぞ」


「猫のな!寝ている人の顔に尻を押し付けるアレな!お前は女子並みな恥じらいを持てっ」


「嬉しいくせに」


「人が聞いたら誤解を招くようなことを言わないっ」


「あと前に鴫野の部屋で可愛い女の子のエロDVDを見つけたんだけど」


「どんだけ物色してんだよー!それにそんなの持ってないし買えないし未成年だから!」


「でも見つけたよ?可愛い女の子が40人以上出演している、かなりの裏モノね。大人数出演で様々なプレイを楽しむ仕様かしら?随分マニアックよねー」


「……それ!アイドルのコンサートDVDだろ!エロい目で見るな!しかも裏でさえないし!ファンが聞いたら怒られるぞ」


「じゃあ、怒った?」


「怒ってない。樟葉に対しては、怒りを通り越してもはや呆れ気味になるから……」


「まあまあ、機嫌でも直してよ。ねっ?」


「…なんで顎を撫でる?」


「猫って喉を撫でると喜ぶのよ?」


「オレは猫じゃないし。しかも撫でてるの喉じゃないし」


「嫌がらないね?撫でてもらって嬉しい?」


「樟葉から多少な事を頻繁にされてるから、いちいち嫌な素振りをするのもしんどくなってるんだよ…」


「はい、ゴロゴロ~」


「いやオレの顎を撫でてもゴロゴロいわないし、喜ばないから。何故ならオレは猫ではないからな」




 

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