幼馴染みと昼御飯。

第2話 幼馴染みと昼御飯。


「…あれ、鴫野、どこ行くの?」


「購買部。弁当を忘れてさー。パン買いに」


「あっ…ふーん」


「樟葉は?」


「私は自販機置場に飲み物を買いに。早く行かないと購買部混むわよ?昼時の購買部なんて特に」










「教室から出たことだし、戻らずに外で食べるかー。あ、あそこで座るか。ーーーーーーーー青空の下で食べる昼御飯、たまにはいいよなー」


「そうねー」


「うわっ!びっくりしたー!鴫野!?」


「たまには外でお弁当もいいものよねー」


「なんでおるん!?」


「教室に戻る時に、こっちに行くのを見掛けたから、私も外で食べよーって」


「一緒に食うの!?」


「嫌なのー?」


「そんなわけ、ないけど」


「♪ふんふんふ~ん」


「いやなんでそんな楽しそうなんだよ?」


「鴫野とこんな空の下でお弁当食べるなんて、なんだか久し振りだなーなんて思ったらさ」


「そういえば、そうだよなー。一緒に外で弁当を食べることなんて、いつぐらいだろう?ファミレスとかファーストフードとかは一緒によく行くけども。そういや、樟葉って、自分でお弁当を作ってるんだったよな」


「ええ。料理するの好きだから。お弁当作りも楽しいわよ?」


「そういうの、駄目だわー。ましてや、早起きしてだなんて」


「そうね。いつも私に起こされてるものね」


「いつもじゃないし。ちゃんと自分でも起きてるし」


「でも、自分で起きるのと起こされるのとの、比率は?」


「う…起こされてる方が多いかも…」


「で、珍しく自分で起きたと思ったら、お弁当忘れてるしね」


「ははは…」


「鴫野のお弁当も一緒に作ってあげようか?」


「いいよ、そんな手間を増えさせるようなこと」


「そうなの…」


「な、なんなの、急に声のトーンを落としたりして」


「鴫野がいつも食べてるお弁当、お母さんが作ったものだと思ってる?」


「どういうことー!?」


「ふふっ。お弁当は美味しいかしら?」


「マジでー!?」











「パンだけってさ、濃い味のおかずないから物足りないんじゃない?」


「まあ…濃い目のものはないし、そう言われたらね」


「ほら、私のミートボール、あげる」


「いいよいいよ、濃い味のがなくても構わないし。それにミートボール貰ったら樟葉のおかずも減るじゃん」


「いっこぐらい、変わらないわ」


「んー、そうか。なら…」


「はい、あーん」


「箸で直接!?」


「あーん」


「いいってっ。自分でつまみ取って食べるから」


「そんなことしちゃ指が汚れるじゃない」


「いいじゃん汚れてもさ。その指を舐め取ったらすむだけの話だし」


「そうなのー?じゃあそれでいっか。はい、じゃあ取って。後で指を舐めてあげるから」


「じゃあ遠慮なく、じゃ、なーーーいっ!舐めるって樟葉が舐めるって!!?」


「仕方ないじゃない。指が汚れるんだから」


「仕方なくないし!なんで樟葉が指を舐める方向になってるの!?」


「ならちゃんと箸から食べなさい」


「しつけられてる?いや、そんなことじゃなくて」


「箸から食べるの?それとも、ただ指を舐めて欲しいの?」


「主旨が変わってるし!」


「はい、あーん」


「いや、だから」


「あーん?」


「なぜヤンキー口調!?」


「はい、あーん」


「…あー…ん」


「…おいしい?」


「そりゃ美味しいよ」


「そりゃ既製品だんねー。美味しいよねー。私の作ったおかずよりー」


「そういう意味で言ったんじゃないし!わざと言ってるよねー!」


「じゃあ、私はそっちのイチゴクリームパンがいいです」


「じゃあって何よ、じゃあって」


「あれあれ?樟葉は等価交換って知ってるかな?」


「こっちが聞きたいよ等価交換を知ってるか!ミートボールとイチゴクリームパンのどこが等価だっていうねん!」


「うるさないなぁ。男子がイチゴクリームのパンなんか食べるな」


「いやヒドい偏見!」


「もちろん、全部欲しいって言ってるわけじゃないよ。一口だけ頂戴。美味しそうだから」


「それなら…」


「ちゃんとクリームがあるところだよ?」


「はいはい。ちゃんと真ん中の部分をあげますよ」


「よろしい。はい、あーん」


「食べさせろと!?」


「だって、私は鴫野に食べさせてあげたでしょ?等価交換、等価交換」


「その使い方は合っていない気がする」


「あーん」


「…はいはい、あーん」


「はむっ。もぐもぐ。…旨い!この美味しさ、星、綺羅星ですっ」


「鴫野、甘いもの食べるといつもキャラおかしくなるよな…」





 

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