歌しか聞こえないから。

白鴉2式

幼馴染みと登校する。

第1話 幼馴染と登校する。


「眠い…夜ふかしネトゲした朝は特に堪えるなぁ」


「鴫野」


「わっ!樟葉!?」


「おはよ」


「いやなんで腕に抱きついてくるんだよー!」


「挨拶よ、挨拶」


「挨拶で腕に抱きついてくるなよ」


「私は気にしないよ?」


「お前は気にしなくてもオレは気になるの!ってか、お前も気にしろー!」


「別にいいじゃない、幼馴染みなんだし」


「もう何度も言ってるけど、幼馴染みだからって腕に抱きついてくるなって」


「抱きついてこられたら困ることでもあるの?いまさら人目を気にしていたり?」


「それもあるけどっ。分かるだろっ。高校生なんだぞ。年頃なんだぞ」


「腕に胸が当たって、ドキドキする?」


「だいたい予測ついてるんじゃん!」


「ふーん、成る程、ムラムラするわけか」


「言葉にすなー!それにムラムラするほどまでの域には達してないからね!そして樟葉は年相応の恥じらいを持てよ」


「年頃の男の子か~。こんど鴫野の部屋に行った時に、部屋の中を物色してみようかな~」


「やめてー!そういうことをするのなら、もうオレの部屋には入れさせない!」


「入れさせなくても、入っちゃうけどもねー鴫野が居ない時に。鴫野のお母さんがいつでも入らせてくれるしー」


「やめてー!お前を部屋に入れさせないように、母さんに言っておくからな!いや、駄目だー!母さんがそんな頼みを素直に聞いてくれるわけがないー!」


「ほら急いで隠せ隠せ~。今日は大漁だなぁ~」


「今日来るの!いまから学校行くのに、隠してる猶予さえもない!」


「ほら、やっぱり持ってるんだ~。エローいの~」


「しまった!意図せず誘導されてしまってるし!おーのーれー樟葉ー!」


「なら今度私にも見せて」


「いやお前が興味を持っちゃ駄目でしょ!」


「それって、相当なエロエロな本なのかな?」


「ホントに興味が過ぎるな」


「そういう本って読んだことないもの。どうなの、それは?」


「ま、まぁねー…エロいっというか、エグいっていうかー?」


「そうなんだぁ。なら、あの胸の大きい女性の本とは違うものみたいね」


「ちょっとー!何か発見しとるやないかーい!」


「甘いわ。あの程度の隠蔽で隠し通せると思う?多分、鴫野のお母さんにも隠し場所バレてるわよ」


「イヤー!」


「でもちゃんと写真集を持っていて、逆に安心したかな。国語辞典で保健体育で習った単語を調べて興奮しているよりも、よっぽど健全で」


「樟葉の男子のイメージって…。そもそも、未成年だからエロエロな本なんて買えないから部屋にあるわけないからね!」


「そっかー、鴫野はやっぱり胸の大きい女性が好みなのかー。あと他の本も何気に眼鏡率も高かったわね」


「もうやめて」


「それに私は部屋の中を物色されても誰かと違って見られて困るものなんてないもの」


「いや困れよっ。女性の部屋を物色されてるのにさ」


「それに鴫野はそんなことなんてしないって信じてるから」


「えっ?」


「あと最近室内用の監視カメラ買ったから」


「いや信用してるって話はウソだった」


「なんて嘘よ。でも物色されて困ることはないけど、ホントに物色されたら…。

そうそう。物色するなら触ったものを戻す時は慎重にね。ちょっとした下着の入れ方のズレでも気付くものだから」


「物色対象が下着前提!そんなことしないから!そもそも物色しようにも下着の収納場所さえ知らないし!」


「そうなの?クローゼットの中の収納ケースの」


「言わんでいいって」


「場所の知らない物を探し当てるのも、また美学ってやつなのかしら」


「じゃあもう樟葉の部屋に行かないから、オレの部屋に入るのも禁止!」


「嫌です」


「嫌なの!?」


「これからも鴫野の部屋に入ります。だから鴫野も私の部屋に入っても構わないから」


「高校生として、異性が入ってくることへの抵抗を持ちなよ…」


「幼馴染みはいいの。だから、鴫野は入ってもいいの」


「あっ、もしかして、オレに対しては幼馴染みなだけで、異性として見ていないとか?」


「まさか。あんなセクシーなコスプレイヤーのDVD持ってる鴫野を異性として見ないわけないじゃない。何枚も何枚も持ってる鴫野にね。あと眼鏡率が高かったわね」


「もう入ってこないで…」





 

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