想いを届けに。
ユウはさっき左手のリングで作ったバリアを、自分の足元に作った。
そして、わたしの身体を抱き寄せて、そっとそのバリアの上に降り立つ。
「ユイ。アタシ、弱虫だから、一緒に行ってくれる?」
いたずらっ子みたいな笑顔でそう言うユウは、とってもかわいかった。
「うん! わたしにできることなら、何でもする」
「ありがとう」
ユウの脚に力が入るのが伝わってきた。
「しっかりつかまってて」
そう言った直後、ユウは、バリアを蹴ってハイジャンプした。
初めて会ったあの夜みたいに。
風を切って空を昇って行く。
あの夜よりもっと高い場所へ。
あっという間に、錯乱しているミーの目の前まで跳びあがった。
そこで、重力を操作。
ふわりと、わたしとユウの身体が浮いた。
ユウの腕が伸びる。
わたしにするように、ミーの首に、ユウが抱き着いた。
「ごめんなさい。お姉ちゃん。わがまま言って。皆を振り回して」
ミーの大きく見開かれた緑の瞳から、はらはらと涙がこぼれるのが見えた。
「ごめんなさい。みんなの愛に、気付かなくて」
そっと、わたしもミーの涙をぬぐった。
ミーの目が、わたしを見た。
「お姉ちゃん。お姉ちゃんは、わたしの自慢のお姉ちゃんなの」
ミーの手が、ふるふるとふるえながら、ユウの背中を抱いた。
「お姉ちゃん。大好きだよ」
わたしが微笑むと、ミーは目を閉じた。
大きな大きな涙が、ユウのピンクの髪の上に零れ落ちた。
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