隠された要求
「
「……いきなり何?」
いつものように部室で勉強していれば、ふと星見が呟いた。
「先輩の
「わざわざ調べたのかよ…。」
「気になったものは調べないと七時間しか眠れなくなっってしまうので。」
「しっかり寝てんじゃねえか可愛い子ぶるのやめろ」
てへ、なんてわざとらしくぶりっこする星見にジト目を向ける。最近、俺に対して小さじ一杯分ほどはあった遠慮が無くなってきたように思う。最近といっても出会ったのは一か月も経ってないが。
「ですが、字体は先輩の
「…それを連想させるならお前じゃねーの?」
小首をかしげる星見に、ノートの端に書いた彼女のフルネームを見せる。自慢じゃないが、俺の字は達筆で綺麗だとよく褒められるため、ノートをみられることへの羞恥心なんか無かった。まあ、どうどうとここで勉強しているから今更ではある。
「星を見つめるホタルって書いて”星見
「……ホタルは星を見つめませんよ。」
「例えだよ。」
しらっとした顔で可愛いげのないことを言う星野。彼女は抽象的な表現や比喩があまり好きではないということは短い間で知っている。きっと男のロマンなども理解できないタイプだろう。
「ところで」
「はい」
「これ見よがしにホタルって連呼してくんのは、俺に呼び捨ての許可を貰うためか?」
明らかに強調していた"ホタル"という単語。その意図をノートに視線を落としたまま何ともなしに問いかけた俺に、星見は意味深に笑みを浮かべたのだった。
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