後半ターン
先輩。
せーんぱいっ。
無視しないでくださいよぅせんぱーい。
って言っても、聞こえてないですよね。
なんせ私は今『透明人間』なんですから。
おーい。
そこのお着替えしようとカチャカチャベルトを鳴らしているせんぱーい?
そんなに音を鳴らしていたら位置がバレバレですよ?
はい、捕まえたー。
もう離しませんよ?
さっきは『透明人間』が『人間』を捕まえるのは難しいって言いましたけど。
『人間』がお着替えしているタイミングだったら、こんな風に捕まえるのは簡単なんです。
あ、こら。
暴れないでください。
もう、これでどうですか?
ぎゅー。
これ以上暴れると、マイナス2ポイントですよ?
あと、『人間』である先輩が『透明人間』の私の体に触れても反則負けです。
特殊ルール①と②の合わせ技ですね。
これでもう先輩は服を着替えることも、私を引き剥がすこともできなくなりました。
ふっふっふー。
これぞハメ技。
詰みってやつです。
これでもう、私の勝ちは揺るぎません。
私は動いているので後半はポイントを獲得できませんが、このまま時間いっぱい先輩にくっついて動きを止めておけば先輩もポイントを獲得できないんですから。
そうそう。
やっと落ち着きましたね。
ようやく諦めてくれましたか。
そもそも私が作ったルールで勝負した時点で、先輩は負けてたんです。
最初から、先輩の敗けは決定していたんです。
あっ、良いことを思い付きました。
時間はまだ残ってますよね。
まだ、私は『透明人間』です。
私がいま、何をしても先輩は気付くことができませんし。
私が何を言っても先輩の耳には入りません。
そうですよね?
私の体温を意識しないで。
私の声を認識しないで。
これから話すことを、記憶に残さないでください。
いいですか?
先輩。
好きです。
初めて会ったときから、先輩のことが好きです。
でも、先輩にどんなにアピールしても私の気持ちが伝わらなくて。
さりげなくボディタッチしたみたり。
今みたいにどさくさ紛れにおっぱいを押し当てても、平然としてて。
他のアピールも、全然気にしてないみたいで……。
そんなに私、魅力ないですか?
先輩の好みじゃないですか?
どうすれば、先輩は振り向いてくれますか?
なんで気付かないんですか……。
ばか。
へたれ。
ふのう。
もう……時間がないので、最後にもう一度だけ。
好きです、先輩。
女の子はいつだって、誰だって、男の子からの告白を待ってるんですよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます