透明人間ダウトゲーム
「勝負は前半、後半のターン制で行います」
「そして、このアイマスクを使います」
「このアイマスクを着けている間は、当然のことですが、着けている人は目が見えません」
「裏が透けて見えるなんてこともありません」
「つまり、さっきのクイズの話を借りれば──アイマスクを着けている人は擬似的な『透明人間』になれるんです」
「わかりますか?」
「そこで、こんな勝負はどうでしょう?」
「名付けて『透明人間ダウトゲーム』です」
「1、勝利条件」
「勝負は『透明人間』と『人間』に分かれて行います」
「勝負終了時に相手よりも高いポイントを獲得できていたら勝利です」
「ポイントはそれぞれ次から説明する『とある行為』をすることで獲得できます」
「『透明人間』のポイント獲得条件」
「『透明人間』はアイマスクを外さずにスタート時点から1歩も動かなければ1分経過につき1ポイント獲得できます」
「『人間』のポイント獲得条件」
「『人間』は服を着ている状態によって1分経過につきポイントを獲得できます」
「いまのまま──つまり制服の状態で1分経過につき1ポイント」
「下着の状態で1分経過につき3ポイント」
「さ、さらにぜ、全裸の状態の場合、1分経過につき5ポイント獲得できます」
「そして、自分がどんな姿なのかは自己申告性とします」
「それから次、勝負の流れについて」
「2、勝負の流れ」
「勝負は前半、後半のターン制とします」
「前半で『透明人間』の人は、後半は『人間』で行います」
「逆も同じで前半が『人間』の人は後半で『透明人間』になります」
「制限時間は前半、後半それぞれ5分ずつの計10分」
「『人間』は1分につき『お着替え』か『ステイ』かを選択できます」
「分かりやすく例を挙げましょう」
「例えば私が『人間』で先輩が『透明人間』のターンの場合」
「私は5分間の間に5回、行動を選択できます」
「『お着替え(下着)』『ステイ』『ステイ』『ステイ』『お着替え(制服)』の場合」
「下着姿が3分間で9ポイント獲得できます」
「『ステイ』『ステイ』『ステイ』『ステイ』『ステイ』」
「この場合は制服姿が5分間で5ポイント獲得できます」
「つまり『人間』のターンでは最低でも5ポイント以上獲得することができます」
「全部『お着替え』なんてふざけた選択をしない限りは、ですけどね」
「ちなみに『お着替え』が1分よりも早く終わった場合は『スキップ』と発言すれば時短できます」
「あれ?」
「でもそうすると、5回連続『お着替え』で時短を使えば相手のターンを一瞬で潰せちゃいますね」
「それじゃあ連続での『お着替え』はなしとする」
「このルールも追加しましょうか」
「いいですかね」
「そして『透明人間』である先輩はこのターンで『動く』か『動かない』かを同じように1分経過につき1回、計5回選択できます」
「『動く』場合はポイントは獲得できません」
「『動かない』場合は1分経過につき1ポイントを獲得できます」
「つまり『透明人間』のターンでは『人間』とは違いどんなにがんばっても最大で5ポイントまでしか獲得することができません」
「『動く』を選んで『人間』のポイント獲得の邪魔をするのか、『動かない』を選んで5ポイントを着実に取りにいくのか」
「そのあたりは戦略ですかね」
「そして最後、この勝負の特殊なルールについて」
「3、特殊ルール」
「①『人間』が『透明人間』の体を意図的に触ることを禁止とします」
「やった場合、その場で反則負けになります」
「②『人間』は『透明人間』を無視しなければいけません」
「『透明人間』に話しかけられても、触られても『人間』はそれに対して反応してはいけません」
「反応した場合、マイナス2ポイントとします」
「③『透明人間』は『ダウト』と宣言することで1度だけアイマスクを外すことができます」
「『透明人間』がアイマスクを外した時『人間』が嘘の申告をしていた場合『人間』のポイントは0になります」
「逆に『人間』が宣言通りの姿をしていた場合『透明人間』のポイントが0になります」
「こんなところですかね?」
「どうですか?」
「ちょっと難しいですか?」
「まぁ簡単に要点を解説しますと……」
「『透明人間』のターンだと5分間で最大5ポイントまでしか獲得できません」
「でも『人間』のターンだと5分間で5以上のポイントを獲得することができます」
「いかに『人間』ターンでポイントを取れるのか」
「いかに『透明人間』ターンで『人間』のポイントを削れるのか」
「自分のポイント獲得を優先するのか、相手のポイント獲得の邪魔を優先するのか」
「その駆け引きが大事になりますね」
「そして、この勝負のポイントは自己申告性であるということです」
「つまり、本当は制服姿であっても下着姿だと偽ってポイントを獲得することができるんです」
「嘘か本当かを判別できるのは『透明人間』が行うことができる『ダウト』のみです」
「『ダウト』は成功すれば相手のポイントを0にできますが、失敗すれば」自分のポイントが0になるリスクがあります」
「場合によっては『ダウト』を使わないのも選択肢のうちですね」
「どうでしょう?」
「勝負の中身は理解できましたか?」
「え? やってみないとわからない?」
「そうですね」
「それじゃあ、早速やってみましょうか」
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