第14話柳生関西事務所長と、潮崎師匠

柳生清は、相好を崩し、立ちあがった。

「潮崎さん、寛と一緒だったのか」


華音が、素早く二人を史裕に紹介する。

「柳生関西事務所の所長の寛さんと・・・」

「僕の格闘のもう一人の師匠、潮崎さん、元自衛隊で、各国の秘密機関とか、グリーンベレーの、元指導教官」


沢田史裕が驚いたように頷くと、まず柳生寛。

「若様、この前の伊勢のホテルでは、ご苦労様でした」

「御大も十分に、満足しておられます」

「それから、今回の案件、おおよそのことは、報告させていただきました」

「目いっぱい、どんな組織を使っても、正義を通せとのお話でありました」


華音が頷くと、潮崎師匠と言われた男が苦み走った声。

「あちこちに声はかけた」

「兵隊が必要な時は、いつでも」

「日本でも、ニューヨークでも、ロスでも、ロシアでもチャイナでも、構わんとさ」

「今日は、グリーンベレーを二人連れて来た、外で待たしている」


柳生清が、含み笑い。

「華音君の練習相手に?」


潮崎師匠は、華音の顔を見た。

「戦闘になったら、思いっきり、やるんだろ?」


華音は、目を閉じた。

「戦闘を仕掛けることはないよ」

「でも、仕掛けられたら・・・」

「潰す・・・」

「そうでないと、無意味に殺された人が、浮かばれない」


柳生隆が、厳しい顔で華音を制した。

「華音の気持ちは、よくわかる」

「でも・・・お前は、簡単には戦闘に出るな」

「何かあったら、三田の御大に申し訳ない」

「それ以上に華音を、この程度・・・と言ったら・・華音は怒るかもしれんが、傷を付けたくない」


華音は、ムッとした顔。

「人の命や事件に差別はしたくない」

「その言い方は、嫌いだ」


柳生清が、華音をなだめた。

「まずは、調査をする」

「素早く、一週間以内に」

「銀行調査、政治家調査、極道の調査」

「それからに」


華音が、ようやく頷くと、潮崎師匠。

「外にいるグリーンベレーは、強いぞ、華音、遊んでみるか?」


華音は、面白そうな顔に変わる。

「思いっきりでいいかい?」


潮崎師匠は、少し慌てた。

「相手を見て、潰さない程度で」

「ブラジリアンとボクシングの元チャンプだ」


華音は、すくっと立ちあがった。

「どうせ動くのは一週間後だね」

「身体をならしておくかな」


柳生清は、その華音に不安を感じている。

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