第3話柳生事務所が沢田家を保護することに

沢田文美の両親は、驚きを隠せない。

華音たちを見て

「いったい・・・あなたたちは・・・華音君と瞳ちゃんは、面識があるけれど」

と、目を丸くする。


華音がシルビア、春香、エレーナを遠い親戚の従姉とか祖父の知り合いと、簡単に説明していると、柳生隆が厳しい顔で入って来た。


そのまま、沢田文美の両親に名刺を渡しながら自己紹介。

「柳生事務所の柳生隆と申します、主に探偵業務ですが」

「この若者たちとも、深い関係になります」


沢田文美の兄史裕は知っている様子。

「え・・・あの・・・テロ対策や首相警護で有名な?」


しかし、柳生隆は、軽く頷いただけ、厳しい顔のまま、いきなり本題に入る。

「今、この家の周囲を点検しました、賊は今はおりませんが・・・」

「おそらく、史裕さんに悪意、厳しく言うと殺意を持つ者の犯行」

「銀行業務に関してのことの可能性が高い、しかもプロ」

「必ず、後で確認に来る」

「もし、史裕さんが無事、とわかったりすると・・・」

「その時に、何をして来るかわからない」


沢田康夫が顔を青くして、柳生隆に聞く。

「といいますと・・・どうしたら?」


柳生隆は、厳しい顔。

「このお宅の全員、命の危険があります」

「ですから、柳生事務所で保護します」


沢田悦子は、また驚いた顔。

「命の危険?」

「柳生事務所で保護?」

「どういうことですか?」


華音は一度柳生隆を見て、かわりに答えた。

「おそらく、理由は調査中ですが、史裕さんは強い殺意を持たれています」

「ですから、明日再び、銀行に出勤しようとしても、また、襲って来る」

「襲い方は、不明です、もしかすると無差別、史裕さん以外にも被害が及ぶ可能性もある」

「また、この家そのものを標的に攻撃して来る可能性もあります」

「銃撃、放火もある、ということです」

「悪質な放火の場合、隣家や広範囲にまで被害が及ぶことも」


沢田文美の家族が震え上がっていると、今度は松田明美が入って来た。

沢田文美の両親に、警察手帳を見せ、自己紹介。

「警視庁の松田明美と申します」

「華音君たち、そして柳生事務所とは深い関係」

「保護・・・と言うのは、永田町の柳生事務所のビルに、宿泊施設があると言うこと」

「私の姉も、その事務所におります、とにかく、そこに一時移ってください」


沢田康夫は決断した。

「自分たちも含めて、隣近所まで危険が及ぶなら仕方がない」

「史裕の命を救ってくれた華音君たちに、頼ろう」


柳生隆は、その言葉を受けて、立ち上がった。

「それでは急いでください」

「最低限の必要な物を持って」


約10分後、沢田文美の一家は、柳生事務所の車に乗り、永田町の柳生ビルに向かうことになった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る