飛蚊症

第1話 違和感

右目の調子がよくないので病院に行ったら「飛蚊症」と診断された。先生からは検査の結果特に悪い所はないので対処法としては「慣れてください」と言われた。

　今までにも飛蚊症らしき症状は経験したことがあるが、今回の違和感は明らかに過去のそれとは違っていた。

　診察から１週間ぐらい過ぎた頃におかしなことに気が付いた。今までは漠然と感じていた目の中の違和感を、集中して見てみるとスローモーション映像のようなものが見える。

　その映像ははっきりしているときもあれば、ぼんやりしているときもあるのだが、ある時はっきりと雨の映像だとわかった。その日は朝から晴天で天気予報でも降水確率は０%だったのだが、昼過ぎにかなり激しいにわか雨に襲われた。

　同じようなことがその後も何度かあったので、天気病の一種かもしれないと思っていたのだが、雨の映像が見える時とその後の行動パターンにある関係性があることに気が付いた。どうやら傘を持たずに出かけて出先で雨に降られるときに雨の映像が見えるようだ。

　その後は雨が降りそうなときはなるべく傘を持っていくようにしていたので、雨の映像を見ることもなくなった。