第5話 理想のおっぱいと警察案件

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今回のお話は不適切な言動が多々ありますので、そう言った物が苦手な方は読まない事をおすすめいたします。――そのまま次の話に進んでもらっても話が理解できるように書きますのでご安心ください。

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 そんなこんなでぶっ壊れた妹は放置してキャラクターは完成した。俺はどちらかと言えばその後のシステム開発にため息が漏れる。イラストなんて用意しようと思えば誰でも可能だ。しかしその後のモーションキャプチャーは素人にとっての最難関。


 手詰まりになる原因だ。


 今の時代ならネットで検索すればそれらしいものは完成するだろう。


 しかし俺が作りたいのはそんな雑魚システムじゃない。こっから先は神のみぞ知る天界の領域だ。誰にも作れない完璧なプログラムを見せてやる。


「と言う訳で、今からお前にはおっぱいを動かしてもらう」


「は? なにが、と言う訳でよ。意味が分かんないんだけど?」


「このキャラクターはお前の体型に合わせてるから爆乳ってわけじゃない。小さい訳でも無いが、取り分けて突出しているわけでもない凡人だ。俺が本気を出せば、こんなつまらないおっぱいでも理想的なおっぱいを再現できる。どのキャラクターにも無い圧倒的なおっぱいだ」


「いや、マジでドン引きのセリフ並べないで。警察案件なんですけど?」


「お前さ? おっぱい馬鹿にしてんの……殺すぞ? この揺れ具合だけで男性リスナーの九割を落すことが出来る。これはガチな話だ。現実的じゃなくていい、理想的であればいいんだよ。お前がカメラ越しで動けば理想的なおっぱいの動きを再現できる。そのためには、てめぇ―の残念な現実おっぱいを動かさないといけない訳だ」


「一言も理解できなくてキモイ。とりあえず離れてくんない? そんな事で視聴者の反応が変わる訳ないじゃん! 兄貴って馬鹿なの? 近親相姦のクソ野郎ってこれから呼ぶから」


「愚妹が! てめぇーは原点の聖水であるおっぱいを馬鹿にしたな。言っておくが動画を視聴する男性の九割は美少女の顔面なんて見飽きてんだよ! どこで好意の差が出来てるか教えてやる。トーク力とおっぱいだ! 揺れれば揺れるだけ男性視聴者の視線はそこに集まる。俺から言わせれば、理想的なおっぱいさえ再現できれば登録者数100万は余裕だ。揺れるだけで性欲は刺激され、想像力は加速する」


「もしもし警察ですか? 自宅に変質者がいます。名前は神谷アノン……はい。住所は……で、電話番号は……です。はい、はい、よろしくお願いします」


「てめぇーぶっ殺してやる!」


「かかってこいや近親相姦のクソ野郎!」


 それから俺はアノンと掴み合いのガチ喧嘩を繰り広げた。しかし警察が到着して俺は犯罪者として取り押さえられてしまう。俺は何度も警察に兄妹だと説明したのに「そんな訳ないでしょ? 君達全然似てないよ。どう見てもアノンさんはハーフじゃない」っと言われてしまい、手錠まで付けられた。


 あれ? 俺ガチで警察に捕まるパターンじゃね?


 そのままパトカーに誘導された。俺は慌ててアノンに視線を送ったが、アノンは爆笑しながら玄関で転げ回っている。そして近所のおばちゃん達がパトカーに誘導される俺を遠目で見ていた。中にはスマホで動画を撮影しているおばちゃんもいる。


 これはマジな展開だ。


「おいおいおい愚妹! さすがにまずい。いい加減にしろ!!」


「いい加減にするのはお前だ! さっさとパトカーに乗りなさい」


「ちょちょちょちょ、マジで!? 嘘だろ!」


「バイバイ~お兄ちゃん♡」


「今あいつお兄ちゃんって言いました! 聞いてんだろ! 聞けや!」


「反抗すると公務執行妨害になるぞ?」


「ふざけんなぁぁぁああああ!!」



 それから誤解だと理解してもらうまでに二時間。近所中にデマ情報が拡散してしまい、それを収めるために折り菓子を大量に購入して一軒ずつ謝罪する予定もたてた。もちろん警察が帰った後にアノンをボコボコにして素っ裸で吊し上げた。


 吊るされているアノンを見上げながら死んだ魚のような目で睨みつける。


「悪かったから! いい加減降ろしてよ。なんで縛られないといけないわけ!? これってガチの犯罪だから。マジで犯罪案件だからさ! もう警察に電話しないから」


「知るか! お前の事を少しでも信用した俺が馬鹿だった。さっさと乳だけ揺らして死ね。そして二度とその醜い裸体を俺の前で晒すな! 気持ち悪い」


「酷くない!? これでも私モテモテなんですけど! 一ヶ月に三回ぐらいは告白されるんですけど? そんな可愛い妹を縛り上げて天井に吊るすとかあり得ない。あれこれ三時間ぐらい吊るされてるんですけどぉお!?」


「黙ってろ、気が散る」


 俺はサクサクとプログラムを書き込んでカメラをアノンが正面になるように向けた。そして吊るされているアノンを揺らしながらキャラクターのおっぱいが連動するかを確認。問題なく動作したので一息つく。


「ちょっとぉおお!! 妹の裸姿をカメラで映すな! 変態変態最低の変態! どこの世界に妹を裸体を撮影しながらプログラムを無言で書き込む兄貴がいるんだぁ!!」


「――今休憩中だから黙れ」


 とりあえず妹のおっぱいに合わせてキャラクターのおっぱいが動くようになった。後は理想に近づけていけば完成する。ここからは数学のゲームだから楽だな。


「黙れるかぁ! いつか絶対に殺してやる。きゃぁぁあ、私の映像を拡大すんな!! マウスカーソルでツンツンすんな! もう絶対にお嫁にいけないじゃぁぁああん」


「これで警察に電話して近所中に不名誉なレッテルを張り付けた愚妹への罰を終了とする。用済みだからさっさとその汚いものを隠せ。安心していい、兄にとって妹の裸なんてカエルを見るよりキモイだけだから」


「女性としての魅力全否定!? 少しぐらいは興奮しろぉ! そして責任を取って泣きそうな私を慰めろ。たくさん甘やかして死ぬほど謝れ! この性犯罪者!」


「俺は真の男女平等主義者だ。やられたらやり返す、倍返しだ!!」


「倍返ししてる時点で平等じゃないから。馬鹿ですか?」


 俺はアノンを縛り上げているロープを切り裂いて地面に落とした。「うぎゃ!?」っと見苦しい音を立てて地面に倒れ込む。そして鋭い目つきで俺を睨んでいるが、俺もこれほどの怒りをいまだに解消できていない。


「兄貴さぁ……私を解放してよかったわけ? 死んじゃうよ」


「それはこっちのセリフだ」


「「ぶっ殺……!!」」


 そこから俺とアノンの激しい大喧嘩は昼夜問わず行われた。この日だけは俺と親父以上に関係が乱れてた事は認めよう。だって俺もアノンも間違いなく視線が血走ってたもん。

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