第5話 その前に博士の作った武器を分けあおう!!

「それでじゃ。今回は森林伐採にちなんだ武器を改良してみたのだが」


 改良。きれいな言葉でにごしてあるが、要はホームセンターで買ってきたそれっぽいやつを改良しただけである。


 さて、地味レンジャーの前に並んだ武器は五つ。一つ目は殺傷能力が高そうなチェーンソー。二つ目はこれもまた殺傷能力が高そうな斧。三つ目はなんの変哲もなさそうなメジャー。四つ目はこれもまたなーんの殺傷能力もなさそうな大きめの三角定規。五つ目は、肥料。


「ちょっとぉー!! 三つ目からやる気がないんじゃなぁーい?」


 ピンクがぼやいたものの、すでに誰がどの武器を手にするか、その選択方法が囁かれつつあった。


「では、多数決によって決めるとしよう。じゃんけんがいい人ー?」


 博士の間延びした聞き方はなんだかあれな感じではあるが、とりあえずレッド以外の四人が手を挙げた。


「えーっ!? またじゃんけんで決めるのぉー!?」


 不満顔でもイケメンは崩れない。ピンクの頰が赤く染まる。常に一方通行ではあるが、惚れっぽい性格なのである。


 なぜじゃんけんの方が多いかというと、レッドだけはなぜかグウしか出さないからである。よって、五人でじゃんけんをすれば真っ先に負けるのはレッドと決まっているからだ。


「不満を言うな。ほれ、さっさと決めてくれ」


 博士はそう言うと、壁際で電話を始めた。


「あ。もちもちー? 博士でちゅよー!」


 その様子を見て、ピンクが舌打ちする。博士はこんなボロアパートの経営者なのに、どういうわけか羽振りが良く、シン・ニチョーメではやたらに顔が広いのだ。自分のお気に入りは手放さない。いや、金づるだから電話が来ているだけなのだろうか?


「あれ? でも、ちょっと待てよ」


 ブルーが顔色を変えた。


「レッドにチェーンソーを与えたらどうなる?」


 一同の脳裏に笑いながらチェーンソーを振り回す、サイコパスなレッドの姿が浮かんだ。こうなるともう誰も止めることができない。


「レッドは三角定規でいいよな? それが適切だ、うん」

「え? おれは別にチェーンソーでもいいんだけど?」


 よくねぇ。そんなわけで、レッドの武器は三角定規に決まった。のちに、この決断を一同が後悔することになるとも知らず。


 つづくのである!!

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