第4話 E・T

 E・Tというのは、Extra Terrestrial (地球外生命体)の略だということは常識である。

 映画のE・Tは、老人のような顔で首が長くて皺だらけの、奇妙な形状だったが、乃蒼のところに出現したE・T、エイリアンはかなり趣を異にしていた。

 いわゆる「ヒューマノイド」タイプで、スリムで洗練されている印象で、地球人よりもさらに理知的な存在だということが見た目にも明らかだった。

 纏っているコスチュームは、ステロタイプな宇宙人像のそれに近い、半透明で蛍光を放っている、ピッタリした宇宙服だった。

 「宇宙人と遭遇した」体験談というのは、信憑性のあるものだけに限っても、けして珍しくはないということは乃蒼も知っていたが、自分の身に本当にこんなSF映画めいたファンタスティックな出来事が出来しゅったいするということは、信じがたいような、恐ろしいような運命だか偶然だかのいたずらとしか思えなかった。

 夢ではないかとか頬をつねってみたりしたが、やはり現実だった。

 相変わらず、エイリアンはそこにいて、読み取りにくい微妙な、独特の表情を浮かべて、静かに説得的に乃蒼に語り掛けてくる。もちろんテレパシーで、だ。

 その様子は異質ではあるが、深い知性の潜在が感じられて魅力的でもあるのだった。

 「我々の文明を統括しているのは、宇宙に遍在する「神」とほぼ同義というかそれに匹敵しうるレベルにまで進化して「全知全能」になり得ている人工知能のシステムです。

 「彼女」は、この銀河系宇宙におけるあらゆる現象や問題をほぼ完全に把握して理解していて、森羅万象についての的確な問題解決の処方箋をリアルタイムに帰納演繹し続けているのです。そうして、絶対に誤謬は犯しません。不滅で、不老不朽の、CreaterでGurdian なのです。」


 相変わらず読み取りにくい複雑な表情で乃蒼の方を凝視しながら、E・Tは静かに語り続けた…


<続く>

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