第8話 俺様より強いのは俺様だけだ。決してメイドなんかではない。

~ブロンズSIDE~



いつからだったろう。俺の目標が変わったのは………




撫子

「そんなものですか??強くなってるのは見た目だけなんですね?」


鬼と悪魔の力が宿った今の俺様はビルでも倒してしまうパワーを手に入れてる筈なのに撫子はそれを涼しい顔をして防いでみせる。


今の状態ならドラゴンにもひけを取らないパワーとスピードでも撫子にはまだ届かないのか。



俺様

「ぐ!!くそが!!」



撫子

「油断するからですよ?」



油断等はしていない。それでも撫子の攻撃は俺の体に浅くない傷を付けていく。


しかし悪魔化と鬼化の影響と【自然治癒向上】【自己回復】のスキルが傷を直ぐ様に塞いでくれる。



先程までのクラスの者達との模擬戦がおままごとかというくらいに次元の違う模擬戦だ。



俺様

「幻影斬!」



撫子

「それは…女神の守り。」



アタックスキルの【幻影斬】は幻で出来た攻撃を見せる技で相手は何処から攻撃が来るのか分かりずらいが、撫子は女神の守りのスキルで全方位守りを固める。



俺様

「それを待っていた!衝撃波!!」




衝撃波のアタックスキルを放ちつつも撫子から距離を取った俺は今回の【秘策】を行使する。



今回は今までの攻撃とはレベルが違うぞ?



距離を取りながら【魔力上昇】【アタックスキル強化】のスキルを発動して次の攻撃に全てを掛けた。




俺様

「おおおおお!!


インフェルノソード!


コキュートスブラスト!」




俺様のスキルの【炎剣】と【氷剣】が使える最高の技である【インフェルノソード】と【コキュートスブラスト】。




インフェルノソードは出現させた炎剣が大きな刃になり対象へと向かっていき、コキュートスブラストは出現させた氷が小さな破片に変わり対象へと攻撃する技だ。



撫子

「ふ………まだまだですね?」



俺様

「そんなことは百も承知だああ!!」




大技2つを繰り出したのに撫子は【女神の守り】のスキルを発動して難なく防いでしまう。



大技を繰り出したことで炎剣と氷剣は消えてしまうが、新たなスキル【雷剣】を発動させて雷で出来た剣を出現させると全力で撫子目掛けて投げる。


すると先程の炎剣と氷剣の大技を繰り出した直ぐのその場所には濃い霧のような状態になりインフェルノソードよりも魔力を込めたコキュートスブラストの氷の破片が霧の中に【浮かんでいる】ような状態になった。


そのような細かな能力の使い方が出来てるのは【魔力操作】のスキルのおかげだがその霧の中に雷まで加わった。




俺様

「これで準備は整ったぞ!


【マジックボム】!!」



雷の剣を投げて直ぐにアタックスキルの【マジックボム】という自分の魔力を爆弾にするスキルを霧の中に投入する。



マジックボムは通常であれば込めた魔力の量で威力が変わるが例外がある。それは魔力を込めた者の【他の物に込めた魔力にも】反応して威力が大きくなるのだ。




笹原

「おい!!やりすぎだ!!!」




撫子を包む霧は俺の魔力で構築され、そしてマジックボムの威力を逃がさないように霧の外側には【結界】のスキルでタイミングを見計らって力が逃げないように包むことにも成功した。


この爆発の威力であれば形ある物は原型を留めておくことは出来ないだろうと予想される素晴らしい威力の攻撃だった。



俺様

「………これでもダメなのか。」




撫子

「………いえ、女神の守りが破壊されたのは初めてです。」




撫子はそう言うが傷は愚か服にさえ汚れ1つもない。



それなのに俺様は服もボロボロで魔力もゼロ。完全敗北を決したんだ。




俺様

「………また俺様の負けか。



くそが!!」




今回の戦いで288戦288敗だ。



どうして俺は勝てない。



たかが【神の力を宿してる】小娘風情に!!




神がなんだ!



アレは困った時に助けてはくれないんだぞ!!



守った?守るなら小娘1人じゃなく全てを守らなければダメだろう!!


戦いの神?何故分からない?お前はか弱い幼い女に力を貸して誰と闘える!?



神は不平等だ。







しかし金は別だ。金さえあれば全てが買える。金さえあれば何事もうまく行くんだ。


俺はそれを証明しなくてはならない。



神はちっぽけだと。



金の力に神は平伏すんだと。




金さえあれば【神の力にも】勝つことが出来るんだと。



俺様

「まだだ!俺様はまだまだ強くなれる!!」


撫子

「そうですね?いつかは私を【倒す】んですもんね?」


俺様

「いつかじゃない!次は確実だ!!お前のような小娘に舐められてるのが腹立たしい!!くそが!!」



撫子

「でも今回は【女神の】スキルを破りましたよ?」


俺様

「お前はアホか!?たかがあれだけの成果で何を成せるというのだ!!俺様はそんな物はいらん!!」





笹原

「………いや、あんな凄い攻撃誰も出来ないぞ?」



撫子

「黙っててください。今良いところなんです。次邪魔したら………分かってますよね?」


笹原

「………。」




撫子に負けた時はいつも思い出す。



【どうして俺があの悲劇を止められなかった】




俺様なら出来たんだ。スタンピードの被害を抑えることが。


金を払い、強い冒険者を雇い、派遣すれば撫子の家族はいなくならなかった。



俺様のように初めから無いのなら諦めはつく。


人からの【愛情】を知らなければ悲しむことはない。



でも撫子はあったんだぞ?



神よ。


どうしてお前は奪った?




俺様

「撫子!!俺様はお前の【スキル】なんかに諦めてはやらないからな!!」


撫子

「はい。知ってますよ。」


俺様

「神は凄くない!!お前なんか【ただの小娘】だ!!」


撫子

「………でも強いスキル沢山持ってますよ?ブロンズ様でも無理じゃないですか?」


俺様

「アホかお前は!?少し運が良かっただけで何様のつもりだ!」



神の力があっても責任を感じることはない。


目の前で大切な者がいなくなったのはお前のせいじゃない。





俺様

「俺様が証明してやる!!神なんかはな!


【金の力にも負ける】程度の矮小な存在だと!!」




俺様が金の力で【神の力】にも負けないことを証明するのが俺様の目標だ。







撫子

「ありがとうございます。いつまでもブロンズ様の目標が叶うのを待ち望んでます。」






次こそは必ず【お前】に勝って証明してやるからな!




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俺様は金しかない。だがしかし、金で全ては買える ウメとモモ @umeotomomo

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