第4話 俺様は有名人

~ブロンズSIDE~



骨董屋を出た俺様は一本道を進んで本来の目的地である学校へとたどり着いた。



城のように見えた建物はやはり学校であり【ダンジョン探索者専門高等学校】という看板が目に入る。


俺様

「ココが俺様が通う場所か!俺様が通うには申し分ない場所だな!ははは!」



パンフレットにはこの学校の地図の記載があったが入学式は第一鍛練所という場所で行われる。


何も予定のない者なら自分のクラスに行くんだが新入生代表の挨拶をする俺様は自分の配属されたクラスだけを確認して、そのまま入学式を行う第一鍛練所へと向かうのだった。


俺様

「ふむ…俺様はAクラスか。当然だな。」



学年のクラスは実力順でクラスが決められており、A~Gクラスの7クラスがある。


俺様は代表の挨拶をする程の実力、それに金もある。入学テストでも満点を取ってるので当たり前の結果だが俺様が小学生でも解けてしまうような簡単な問題しか出なかったので不完全燃焼ぎみだったな。


そんな俺様だからAクラスなのは納得だが、



俺様

「撫子もAクラスか。当然と言えば当然の結果だな。」



そして撫子もクラスを確認すると俺様と同じAクラスだ。あいつも学力はまぁまぁだし、スキルも強力な物を持っているから当然といえば当然だな。


アイツは学力は平凡だがそれを補う戦闘力がある。毎回戦闘訓練をすると俺様には手を抜くが他の者と戦ってるのを見た時は流石の俺様でも…いや、俺様なら撫子の本気も負けはせんな。危なく世迷い事を思ってしまう所だった。


それから第一鍛練所へとたどり着き指定された場所へと赴くと頭がスキンヘッドの体の大きな者がいる。




俺様

「失礼する。俺様は新入生代表の挨拶を任された


相模原(さがみはら) ブロンズだ。」




学年主任

「おう。お前が【相模原】か。思ったよりも早く来たな。

俺は1年の学年主任の安藤だ。これから宜しくな。」




俺様の名字は【相模原】という日本人の名字なのは俺様の母親が相模原だったからだ。



俺様

「宜しく頼む。念のために練習でもしておこうと思ってな。」



学年主任

「おー。それは良い心がけだな?待機所まで案内するから着いてこい。」



俺様

「ああ。宜しく頼む。」


学年主任に連れられて来た場所で俺様の出番までは待機してるように言われた。


入学式は開会の言葉、校長の挨拶、1学年の教諭の紹介、学年主任の挨拶、そして俺様の代表生の挨拶があり閉会の言葉で締め括ると説明を受けた。

俺様の待機してる場所には第一鍛練所の風景が映し出されるモニターがあるので待機所にいるからと言って不都合はない。



それから入学式が始まるまで俺様は新入生代表の挨拶の練習をした。何も考えずぶっつけ本番だとしても問題は無いが下準備をする時間があるのに何もせずに物事に取り組むのは阿呆だけだ。

他に優先することがあるなら別だが最初が肝心という言葉もある。念には念を入れて練習しておこう。




俺様

「………うむ?入学式が始まったか?」



練習に没頭していたのか、いつの間にかモニターには入学生と教諭達が集まっておりこの学校の校長らしい者が話を始める所だった。




校長

「皆さんはじめまして。私がダンジョン探索者専門高等学校の校長を務める狭間(はざま)です。皆さんはこれからの………。」



校長の話は在り来たりな言葉を並べるだけだと思うから割愛する。校長の話が終わり教諭の紹介、学年主任の話も恙無(つつがな)く進んでいく。



そろそろ俺様の出番だな。



教諭A

「相模原君。そろそろ準備お願いね?」



俺様

「ああ。向かうとしよう。」



待機所から出ると俺様が呼ばれる声がスピーカーから聞こえてきた。



教諭B

「それでは最後に新入生代表の挨拶を相模原ブロンズ君にお願いします。相模原君、壇上へと上がってください。」




教諭Bに呼ばれたので校長や学年主任が話していた場所へと行くと一呼吸置いて話し始めた。




俺様

「只今紹介に預かった相模原ブロンズだ。この度は200名以上いる者の中から代表として選ばれたことを光栄に思う。」




生徒A

「おい?アイツって【あの】ブロンズだよな!?」



生徒B

「日本の長者番付10位に入ってるあの社長だろ!?」



生徒C

「え!!アイツってモデルじゃないの!?新作の【マイダンジョン】の表紙を飾ってたよな!?」



生徒D

「え!アイツって【ダンジョンバトル】の未成年チャンプだろ!?」


生徒E

「キャー!!!ブロンズ様と同じ学年なんて死んでもいい!!」


生徒F

「すげえ!!俺達はこんな有名人と同じ場所で勉強できるのか!!」





チラホラと新入生達が言ってることは全て俺の事だ。


俺様の資産額は軽く兆を越えているので日本の長者番付にも載っている。



ダンジョンアイテムを俺の会社の1つの事業が扱っていて、その新作の装備を着て欲しいと言われ写真を撮られた覚えもある。それがダンジョンのアイテム、装備、探索者等の特集をしている雑誌に載っていたと撫子が言っていたな。



【ダンジョンバトル】という探索者の大会があるんだが、その大会の未成年の部で俺は三年連続優勝しているのでその事を言ってるのだろう。



一般市民からしたら俺のような大物と同じ学年で学べるという事を名誉に思うことも分からなくない。




が、崇拝するというのは心の拠り所にもなるがそれでは俺様としてはつまらないな。


本当であれば在り来たりな挨拶をして締めようと思ったがやめだ。




俺様

「………だが今壇上から見渡して俺は残念な気持ちになってしまった。なんだ?大半の者共が俺様よりも何もかも劣っているな。」



そう言うと同じ新入生、教諭、校長までもが唖然とした顔をしている。俺様が何を言ったのか分からないのか?




俺様

「なんだ?教諭共も阿呆か?俺様はな【神頼み】をするようなカスは嫌いなんだ。

お前らは俺を【羨望】の眼差しでしか見ていない。なぜだ?なぜ誰も…。」




俺様は【心色】という相手がどう思ってるのかがなんとなくだが分かる【スキル】を持っている。


俺をどのような気持ちで見ているのか。流石に事細かに考えてる事は【スキルショップ】でも売ってはいない。そもそもそんな希少で強力な物なんて買えるわけがない。



確かに俺は金の力で一般人よりもスキルを買ってスキル数でも日本人ではトップクラスだろう。


スキルで【身体強化】【思考速度向上】【視力強化】【知能強化】【並列思考】………数えればキリがない自己向上スキルを所持してる。


通常であれば持てるスキル数も上限があるが【俺様には】それがない。そもそもが他の者と俺様を比べる対象じゃないというのは自分自身が理解している。




それでもだ。それでも




俺様

「何故お前らは俺様に【勝とう】と!!


この成金やろう!!【俺の方が上】だと!!!



【悔しい】という気持ちにならない!!?


何故同級生の俺様を神格化している!?



お前らのような雑魚どもには飽き飽きしてるんだよ!!」






俺様を超えたいとは思わないのか?



いつか自分も金持ちに!とは思わないのか?






俺様

「お前らのようなアメーバにも劣る小物どもと同じ場所にいるだけで虫酸が走る!!


悔しかったら【俺様】を超えてみろ!!失礼する!!!」






そう言って俺は足早に待機所へと向かった。



俺様

「ふぅ………思ったよりも疲れたな。やはり人前に出るというのはあまり馴れんな。」


教諭A

「相模原君!!あれはどういうことなの!?あんなこと言って貴方は代表という自覚がないの!」



待機所に着くと顔も覚えれないような小物教諭が俺様に向かって怒鳴ってくる。


阿呆だな。こんな奴等しかいない場所に入学するとは俺もリサーチ不足だったな。今後に生かそう。やはり前準備、段取り、下調べは大事だと確信する。



暫く小物教諭から説教されていると学年主任もやって来た。





学年主任

「相模原おつかれさん…あ、佐藤さん俺が引き継ぐんで後は任せてください。」



教諭A

「いや!ですがまだ…」


学年主任

「良いから任せてくださいよ?Bクラスの担任なんですから担当の生徒達をお願いします。ね?」



教諭A

「…分かりました。失礼します。」




俺様

「………ピーチクパーチク五月蝿い教諭だったな。」




あの者はBクラスの担任だったのか。あんな担任の生徒達は可哀想にな。俺様ならあの担任のクラスだったら有無を言わずに辞めてしまうだろうな。


ありきたりな事しか言わず、変化を恐れるような、争いを拒むような者なのだろう。


俺様が何故ああ言ったのか分からないとは。知能も足りないなんて教育者として残念でならない。




学年主任

「ふぅ………今年の1年生は他とは違くなるな。これからの事を考えると学年主任として頭が痛くなるよ。」



俺様

「…そうか。それはありがたいことだな?」



この学年主任はあの小物教諭とは【思ってる】ことが違うと思ったが間違いだったか



学年主任

「お前は知らないかもしれないけどな?この学校は【学年対抗試合】なんてものがあるんだよ。」



俺様

「そんな事は知っている。新入生の1年から5年までの学年の代表クラスを決めて勝ち残った学年が他校との交流試合に出場するのだろう?」



学年主任

「お、その通りだ。良く知ってるな?あまり情報が出回らないはずなのに………流石は日本のトップクラスの社長ということか?」



俺様

「ふん、そんなのは調べたら小学生でも分かることだ。…それがどうした?」




学年主任は何を言いたいのだ?なぜ突然その話をした?




学年主任

「ん?お前分からないのか?モニターを見てみろよ。」




俺様

「………ふむ。思ってたよりは楽しめそうで何よりだ。」




学年主任の安藤に言われてモニターを見ると俺が期待した状況になっていた。




生徒

「な、なんだあのヤロオオ!!金持ちだからって舐めやがって!」


生徒

「俺達が小物だと!!ちょっと強いからってふざけんなよ!!」



生徒

「顔が良いからって性格悪すぎない!!」



???

「キャアアアアアアアア!!ブロンズ様あああああ!!カッコいいいいい!!!すてきいいいいい!!!」


生徒

「あんな奴が偉そうにされて黙ってられるかああ!!」



生徒

「うおおおおおお!!今年こそは勝って見せるぞおお!!」





新入生の殆どは俺に対しての羨望という感情よりも【憎しみ】【怒り】という感情が強くなってる者に変わっていた。


………そうじゃない者は知り合いなのでどうでも良いが、これで少しは面白くなりそうだな。






学年主任

「はあ………お前のせいでこの学校始まって以来の1年生が交流試合に選ばれそうで頭が痛いよ。あれって学年主任が引率するんだぞ?しかも今年は北海道だし。」




俺様

「それは良かったな?学校始まっての快挙に遭遇出来るなんて幸せ者だ。」



学年主任

「まあ…な。生徒もだが腑抜けな教師陣にも活が入ったようで感謝するよ。これからも宜しく頼むわ。」




俺様

「………言われなくても俺様は俺様の為に行動するだけだ。何でも良いが早く俺様の教室へと連れていけ。」





学年主任

「へいへい。…それとお前敬語使えないのか?一応俺はお前の年上だぞ?」



俺様

「俺様よりも偉くなってから物事は要求しろ。早く連れていけ。」




学年主任

「へいへい。お前のその態度も学校始まって以来の出来事だよ。」







そう言って学年主任の安藤はAクラスへと案内した。


学年主任

「あまり無理な問題事を起こすなよ?」



俺様

「無理な問題事は起こさないぞ?【無理】な、な?


案内感謝する。」




勢いよくクラスに入ると知り合い以外は俺様に【今に見てろ】という顔をしてこれからが楽しみだ。



俺様が望んでいたのは正しくこれだ!!



俺様を蹴落とそうとする者共の更に上を進む!それこそが俺様にとっては必要なのだ!!!





俺様

「ははは!!木っ端どもが!!精々俺様を超えるように足掻いてみるんだな!!!ははは!!」






生ぬるい場所など俺様は好まないのだ。学校生活も楽しませてもらうぞ?




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