イヌサフランの話
本名、鈴鹿(すずか)はな。24歳。
イヌサフランの花言葉、「私の最良の日々は過ぎ去った」「危険な美しさ」
9月の誕生花で、毒がある。だからこのHNにした。
元々、希死念慮はずっとあった。物心ついた頃には両親の仲が悪くて、板挟みだったり無視の対象になったりサンドバッグだったり。とにかくそんな自分に疲れて疲れて疲れて…。20歳の時、初めて自殺未遂をした。大人になったんだから、もう自分の意志で終わりにしていいだろうと思った。
はっきりとは覚えていないが、中学くらいからリスカを覚えた。無駄に20年、自分の意見もなくただただ日々を消化してた。そして大人になったことで人生はもう終わってもいいと思えた。だから実行しただけだった。
目を開いたら病院だった。開いてしまった。失敗だった。ものすごい絶望した。その次は痛みが右頬に走った。何だかわからなかったが、いつの間にか枕元にいた母に平手打ちをくらったらしい。
「あんたって子は…!どんだけ恥を私にかかせれば気が済むのよ!!」
ヒステリックに叫ぶ母親。世間体だけを気にした第一声だった。私に興味もないのだろう。
ただただ、自分の存在を呪った。生まれてきたことが最大の失敗だったのだ。
母親の声を聞いて駆けつけた看護師や医師が引き離し、部屋から締め出す。それから、点滴をされて眠りに落ちて、しばらくしてから避難できる施設を紹介された。それから色々手続きをして、今はアパートに独りでいる。いろいろな人が私になんとか生きていてくれと、命を繋ぐ。それがまたとても後悔をし、自分の存在が汚らしくてどうしようもなくて、嫌で嫌でしょうがなくて。
家族について思い出そうとすると、母親が騒ぎまくる姿しか自分の記憶はない。父親は中学からいなくなった。外に女ができたらしい。ある日母親は言った。いつまでも忘れられない呪いだ。
「こんなモノ、産まれなければよかった」
自分は飽きたら捨てられるようなモノだったのだと、母親の不幸の象徴なのだとあの日に思い知ってから、声は出なくなった。出す意味がないから。孤独だった。
機能不全家族。それがうちの家庭だ。私だって、ホントは愛されたかった。自分を見てほしかった。話を聞いてほしかった。不良品だ、産まれなければよかったなんて言わないでほしかった。抱きしめてほしかった。
そしてそれは、永久に叶わない。
そんな私の唯一の居場所が、パパゲーノになっていた。
だから私はまだ、死んでいないのだ。
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