第7話 婚約者の存在忘れてましたわ〜
-side エリーゼ-
「未来の婚約者の存在、忘れてましたわ!!」
「それは、先に言ってください、お嬢様……。」
ゲームの中の、エリーゼには、婚約者がいた。名前はウィル。この国の第一王子である。主人公と共に、この第一王子は、酒池肉林、やりたい放題やっていたゲーム中のエリーゼを、断罪する。
今、目の前にいる、金髪青眼の少年は間違いなくそう。ルーク子爵と一緒に、アーサーの様子を見に来たようだ。
「やあ、君がエリーゼだね。」
「ええ。ご機嫌麗しゅう。ウィル殿下。」
エリーゼは慣れた様子で挨拶する。
「今日は、君のところの執事--アーサー君と一緒に、ルーク子爵の授業を一緒に受けさせていただきたくて来たんだ。よろしく。」
「な……で、殿下と一緒に授業でございますか?アーサーの見学では、なくて?」
「君の言いたいことは分かる……が、私も、張り合いのある同年代の子と学んでこいと、父上に言われたんだ。エドワード様も許して頂けたし。」
「そうなのですの?お父様?」
チラリとエドワードの方を見ると頷く。
「そうだね。アーサーも、ウィル殿下も、優秀すぎて、周りには、ライバルはいないみたいだからね。だったら、2人を競わせてはどうかと、陛下と2人で話し合ったんだ。」
「なるほど。そう言うことですのね。」
「よろしくね。アーサー。」
「え、ええ……私如きが、殿下のお相手に相応しいか分かりませんが……、」
「ああ、いい、いい。そんな謙遜。思ってないでしょ。そんなこと。」
ドキリ……と、アーサーの胸は高鳴る。
他人に、心を読み取られたのは久しぶりだと思ったからだ。
「ああ、その通りですわね。殿下。アーサーは、これで、腹黒くて、負けず嫌いなところありますわ。多分、微塵も負ける気はございませんの。」
「そうだね。多分アーサーは、最初見た時点で、相手の実力をおおよそ判断して、正確に読み切った上での、この発言だと思うよ。じゃなかったら、こんな涼しい顔せずに、焦ってるからね。」
--と思ったら、既に近しい2人は、バレバレだったらしい。最近、口に出して言われていなかっただけで、普段から、バレバレなのだろう……と、アーサーは思う。
執事として、ポーカーフェイスの訓練もしてきたため、多少複雑な心境だ。
「アーサーは、そんなに優秀なのか。これは、ますます楽しみになってきたね。」
「お手柔らかにお願いいたします。負ける気はありませんが。」
「言うねえ。」
お互いが、お互いをライバルと認識し合ったタイミングで声がかかった。
「……話は終わりましたか?」
今回の教師、ルーク子爵だ。
剣術だけだったら、国内屈指の実力を持つ彼は、先ほどまで、練習場のチェックをしていたようだ。
「ああ。ルーク。今日は何をするんだい?」
ルーク子爵は、国王の近衛隊長なので、当然ウィルとも知り合いだ。慣れた様子で、2人は今日の予定を話し出す。
「そうですねえ……、アーサー様と、ウィル様、まずは、お互い会ったばかりですし、交流を深めるためにも、模擬戦というのはどうでしょうか?私は、アーサー様の実力も、知りたいですし、練習メニューはその後考えます。」
「良いねえ?君は良いかい?アーサー?」
「大丈夫です。」
「では、そうしようか。」
こうして、アーサーと、ウィルの模擬戦が始まった。
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