二章の登場人物とあらすじ
○オウリ
サイカ族出身の若手商人
現在はシージャ族の町パジに移住
○カナシャ
シージャ族。クチサキ(巫女)の力を持つ
●シージャ
カフラン商会の人々
○カフラン 優男で曲者な商会主
○ナモイ 明るく頼れる年長者
○シン 海の民出身 船の上だと別人
○ズミ 髪で顔を隠す美形 辛辣
○ラハウ 体力担当 真っ直ぐな男
カナシャの家族
○テイネ 父 医者
○リーファ 母
カナシャの友人
○フクラ 刺繍が得意な姉貴分
○サヤ 可愛い 染物師の娘で実験好き
○チグ サヤの弟
○リナ サヤの妹 面食い
パバイ村、カナシャの伯父家族
○カイナ 祖母 クチサキの師匠
○マダラ 伯父 製塩業
○ハシホラ 従兄弟 しっかり者
○モシオ 従兄弟 いたずら者
●ソーンの港町ジンタン
○ジャン・タイフェン 織物業者
○ルー・ウェイ ジャンの通訳
◆ ◆ ◆
少しずつパジの町に馴染むオウリ。
しかし町を歩いている時に起きた小さな地震をカナシャが感じ取り、島が軋んでいると言い出す。この先大きな地震が起こるだろうとの見立てを受けて、オウリは地震対策に商会として取り組んでほしいとカフランに進言する。
商いのために船で出掛けたオウリは、アニ族の町で特産品の花石で首飾りを誂える。カナシャに贈るつもりだ。
だがパジに戻るかと思いきや、内緒で大陸の大国ソーンにまで連れて行かれてしまう。上司たちのいたずらに呆れ返るオウリだったが、そこで見る文物は興味深いものだった。
また妻が病気だという富裕商人ジャンと出会い、ハリラムの巫術についても改めて考える機会を得る。
そのクチサキとして修行中のカナシャは、瞑想するうちに把握できるようになったオウリの気配が途絶えたことで不安に苛まれていた。それはオウリが想定と違う場所に連れ去られていたからだった。
パジに帰港したオウリの元に駆けつけ、しがみつくカナシャ。いっそう近づいたかに思えた二人だったが、カナシャは焦りをつのらせる。
自分はオウリに相応しくない。二人が『ホダシ』でなければ、隣にいることなど叶わないのではないか。
そう気持ちをぶつけられて、オウリも自らをさらけ出すことにした。他人のことをかえりみず、誰に対しても冷淡だった過去。今でも大切だと感じるのはカナシャだけであり、すぐにでもカナシャを手折ってしまいたいと思う欲望があること。
本音をぶつけ合った二人は、心を明かせたことに安堵しつつも相手を傷つけたと後悔するのだった。
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