MISSION 21 : 大爆発まで何秒前!?!
<ノア>
『さぁ、続きを』
「しつこいってばストーカーさんさぁ!!!」
変態クセ強凄腕ストーカーに襲われてまーす!!
もう直ぐ移動要塞の大規模ブラストアーマーで吹き飛ばされるかもしれない運が悪い傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんでーす!!
誰か助けてー!!!
<ノア>
『お預けなんてさせない!!
今ここでぇ……決着をつけるつもりだッ!!』
「ふざけんなバカ!!もうこっちは敗走してんだっての!!」
相手は4脚!!上からガトリング!!
こっちの最高速度と加速で直線ガン逃げしてもいいけど、流石のグレートアークも弾丸を超える速度出せるかは分かんない!!
かと言ってこのストーカー氏、ストーカー出来るだけの技量がある!!
何よりまずいのは、相手が上、こっちが下、って状況!!
強いとか弱いじゃなくて、物理的に上を取られているのはまずい!!
頼れるAIコトリちゃんから散々言われて、私自身アホな脳みそじゃなくて身体で覚えた事実!!
上を取られるのはまずい!!
「上がるしかないか……!!」
正直、今にもブラストアーマーをぶっ放しそうな移動要塞に近づくのはめっちゃ嫌だけど、やるしか……!
ズドン!!
と思ったら相手は、グレネードをぶっ放してきた!
ご丁寧に頭の上で、多分
続いてミサイルも降ってくる!!上は取らせないか!!
<ノア>
『やはり素晴らしい判断だ!!
この状況で上を取る動きとは!!』
「誰が好き好んで!!!
ストーカーを振り払えないからそうしただけだっての!!!」
コア機能のパルスレーザーCIWSでミサイルを迎撃。
同時にこっちも両方のミサイルを発射!!
相手のコアには迎撃機能は無し!ミサイル迎撃は無いから、手持ち武器で───ガトリングで迎撃せざるを得ない!
その隙に近づいて、
<ノア>
『やはり楽しませてくれる!!』
グレートアークの速度が見切られていた!?
光波ブレードする前にハンドガンで牽制された!
で、回避した先にガトリングの射線が!!
「にゃろぉ!!」
ドヒャア!!
アサルトブーストをひと蒸し!!
上をとれた!!
<ノア>
『だが、足りない!!』
瞬間、目の前にグレネードの弾が迫る。
やっっっべぇッ!?!?
最速の回避は下だ!バックブースター+重力加速!!
上が取れない!!!あーもう!!!
<ノア>
『まだこんな物じゃ無いはずだ!!
もっとお前を見せてくれ!!!』
「ふざけんなこんにゃろー!!!!
マジで爆発しそうな状況でうざったい攻撃してぇ!!!」
この粘着ストーカー、強すぎる!!!
グレートアークが悪いわけじゃ無いけど……決定打が打ち込めない!!
<ノア>
『こんな状況でなければ!!お前と戦えなかった!!!
お前が好きだぞ大鳥ホノカ!!!
ここまで私と互角に戦える生き物は、この火星ではお前だけだ!!』
は??
今もしかして告白されてる!?!
「この状況で何気持ち悪いこと言ってるんだよ!!」
<ノア>
『ここで言わなければお互い次に命があるか分からない!!
そう、分からないだなんて初めてだ!!!
次はどうくる!?どう私を追い詰める!?
予想がつかない……それこそが、良い!!
お前がどう思おうとかまわない!!
だが!!私の好意は受け取ってもらう!!!
その命を持ってなぁ!?!』
ッ……!
命を持ってか……流石ストーカー、一方的な好意極まれりって感じ。
……そうさ。命をかけろだって?
「─────お前に命なんかかけてやるもんか」
ちょっとそれは、カチンとくる言葉だ。
「私は
命を張るって?お前に命張って金になんの?
私に何か利益がある??
無いよね。アンタはただの邪魔でウザい一銭の得にもならないストーカー女だ。
お前なんかに……一個しかない物種の命をかけてやるもんか!!!
まともな死闘なんかしてあげない!!
死ぬ気で戦ったら死ぬじゃないか!?」
そもそも私は傭兵やめて平和に過ごすために金稼いでるんだってーの!!!
戦闘狂のストーカーと戦うためじゃない!!!
<ノア>
『良いセリフだ、
だがこの状況、命懸けでなくてどう突破する!?』
激しい攻撃に反論の正論。
もっともそれは、所詮戦いたいヤツが言う机上の空論ってヤツだ。
「だからさ、コレから懸けるのは、」
────ジェネレーター、リミッター解除。
「命の
1分間、ジェネレーター出力が消費を大きく上回る状態になる私のグレートアーク。
続いて、ストライクブーストを起動。
<ノア>
『この熱量は、リミッター解除!!
それで一気に離脱する気か!!』
「ハズレ♡」
一気に────ストーカーの4脚へ距離を詰める。
<ノア>
『!?』
右腕が壊れてもかまわない、正拳突きの要領でレーザーブレードを叩き込む。
深く……どこでも良い、身体を貫通して腕が折れてでも深く!!
<ノア>
『自爆する気か!??』
「文字通りさ!!」
リミッター解除のその推力のまま、真上のバチバチエネルギーが走っている移動要塞へぶつかる。
もっとも、幾ら運動エネルギーがあっても、軽い2脚で重くて硬い4脚相手じゃ大したことはない!!
でもコレで動けなくなった。
私は神経接続をカット。急いで相方AIのイオちゃんロボボディを持って、もう一回リミッター解除ボタンを押す。
ヒィィィィィィィィィィッッ!!!!
グレートアークの関節部分が高速で唸りをあげて、白く輝き出す。
機動兵器eX-Wの全ての関節に備えられた、慣性・重力操作機構『ヴァーディクト・ドライブ』、
それの真の機能を発揮させる『2段リミッター解除』、そこから本来の宇宙を飛ぶ為の出力を発揮するeX-Wの隠し機能『
でもこれね、
それ専用に調整したフレームじゃないと、持って10と何秒か。
それ超えるとどうなると思う??
『バカな……まさか、そんな……!?』
ちょっと音質悪くなった、強化済みの身体内臓の無線で聞こえる声。
慌ててる相手を尻目に、グレートアークのハッチをオープン。
ひゃー、風強ーい!
なんて、髪とイオちゃんボディ抑えながら、相手の頭部カメラに笑顔を向ける。
ピースの代わりに、サムズダウン。
『まさか!?』
そう言うわけで、あーばよストーカー!!
パラシュートなしでダイブ!!!
『そんな、まだ戦えるの──────』
ズドォォォォン!!!
真上で、UFO起動に耐えられなかったグレートアークのフレームが弾け飛んだ。
…………ありがとうグレートアーク。
数日前に緊急で使ってから、なんだかんだと役に立ってくれてありがとう。
そしてさようなら。
さようなら、総額89万
命の次に大事な、私の資産……!!
修理費超えて、買い替え費用……!!!!
「痛い……痛いよ、財布には……!!!」
《費用的にも実力的にも強敵でしたね……
で、このままだと地面に激突しちゃいますけどどうしましょう?》
「そこはほら!頼れる相棒がね?」
《───無茶苦茶言ってくれるよね!!》
ほら来てくれた!
真下に回り込んで来た逆関節eX-W、私のハーストイーグル!
「ナイスだコトリちゃん!」
開いた胸部コアのコックピットへ入って、ハッチを閉めて座席と背中のプラグを繋げる。
<コトリ>
《パイロットデータ認証!
メインシステム、戦闘モード!コントロール!》
「アイハブ!!」
ボォッ!!
ブースター全開!!
空中戦が得意なハーストイーグルの力で、優しく地面に着地だ!
「良し!生きてる!!」
<コトリ>
《今はね。
上を見てごらんよ?もう時間がない》
と、真上には光り輝くオーロラみたいなのと放電を繰り返す移動要塞の一部がある。
エネルギーの暴走とかなんとか言ってたけど……確かにもう直ぐここら一体を包むアサルトアーマーが放たれそう。
……無線をちょっと調整して、多分敵さんの所に合わせて……暗号をコトリちゃん+イオちゃんの二つのすごいコンピュータで解読して……ほい!
<火星統一政府軍:移動要塞ホーネット機関室>
『ダメです!!!もうエネルギーを放出しないと!!
まともに歩けるかも今じゃ保証できません!!』
「おー、こりゃ普通に逃げてもダメそうだ。
コトリちゃん、どうすればいい?」
<コトリ>
《プランD、いわゆるピンチってヤツだ。
今からいう場所へ向かう》
プランDか。
やばそう、なんか。
***
<火星統一政府軍:移動要塞ホーネットCIC>
『味方は全機退避したな!?
やれ!!ホーネットを失うわけにはいかない!!』
<火星統一政府軍:移動要塞ホーネット機関室>
『了解!!!
シールドエネルギー流入弁全開放!!リミッター外せ!!!
全エネルギーを放出する!!!』
巨大要塞をブゥンと包み込む円形の光。
その本来透明なはずの膜は強く白く輝きを増し、この雨の中落雷のような放電を繰り返しながら光を強める。
<火星統一政府軍:移動要塞ホーネットCIC>
『ブラストアーマー、放て!!』
一瞬、球体が収縮し、
─────ボッ!!!!!!!
光の津波というべきか、弾けず膨らみ続ける風船のような光の幕が広がる。
<ロート>
『全員ッ!!!衝撃が来るぞぉッッ!!!』
ブゥンッッッッッッッ!!!
『うぉぉぉぉぉおぉぉぉおおおおおおおぉぉぉおおぉおぉぉぉぉおおぉぉ!?!??!!』
ズドォォォォンッッッッ!!!!
衝撃波が周囲の荒野を駆け巡り、遠く離れたハンナヴァルト領を揺らし、ようやく爆音が遅れてくる。
核爆発のように広がる衝撃波が、一瞬雲を吹き飛ばし、
やがて、巨大な要塞を中心に生まれた真空へ向かって、雨風が戻って……いや、集められていく。
揺り戻しの風は、衝撃波とほとんど同じ様な勢いだった。
ゴォ、と爆心地へ向かいあらゆるものを引き込む悪魔の風。
うねり、渦を巻き、無茶苦茶に流れる風。
だが、莫大なエネルギーは、直ぐになくなるもの。
風がおさまり、やがて大雨がやってくる。
爆心地たる、静かに佇む歩行型要塞。
その巨大な、傷付き、一瞬で廃墟同然のようにボロボロになったかのような身体へ、
やがて、大雨が降り注ぎ始めた。
***
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