MISSION 20 : これは多分もうダメだー
見事移動要塞に取り付いた、傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんと
<バウンティ・ターゲット部隊員>
『アタイらはみ出し者まで出るとはね。
<B2 ハルカ>
『B2ハルカより各機!!全員油断は禁物です!!
相手は隊長が抑える大物、ランク9大鳥ホノカだけではありません!
ランク8、シルヴィア・アルギュロスの『キャッスル・ブラボー』並びにランク5、ありすの『ハピ⭐︎タン』、その他もここまで生き残った新兵に、老兵と精鋭揃い!
ここまでのこちらの損害を考えた上で、相手はこちらより強いと言う想定で戦ってください!』
<バウンティ・ターゲット部隊員>
『だとよ!!確かに並の威圧感じゃねぇわな!!
弱そうな相手から潰すぞ!!』
私より、多分お友達のみんなの方がヤバいでしょこれ!?
私がいる甲板はたった一機が相手だけど、周りはどうも複数が……
いや、周りの味方も複数だけど、明らかにそれを超える感じの敵の数だわ!
しかも、全部おんなじような機体じゃない。
軽逆、軽2、中2に武器腕、ガチタンもいる。
配置だけ見れば見事、同格には同格で、苦手な奴に得意な奴ぶつける形だ……と思う!コトリちゃんにシゴかれて名前以外は覚えたおかげだね。
<ノア>
『よそ見か。
余裕が腹立たしいなッ!!』
あー、そうそう、そうだったよね、そうだったよね!
今、私ことホノカちゃん!
厄介ストーカー粘着ファンの4脚機と戦ってまーす!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
ガトリングの掃射は長いって個人的に思いまーす!!
eX-W用のマシンガンと比べて弾吐き出す時間長いって!!
「よそ見ぐらいさせてよぉ!?
粘着ファンは自分しか見てほしく無いってありすちゃんに言われた通りじゃん!!」
強化済みの私の脳みそと直結のコンピュータ、そして情報伝達速度上げ上げ脊髄人工神経を通っての指令でエネルギーの流入やら何やらのタイミングを調整。
まぁ難しい理屈を乗せて、私の意思でレーザーブレードの刃を飛ばす。
喰らえ、必殺!光波ブレード!!
<ノア>
『そんな鋭い反撃をしてッ!!』
避けた!?重装4脚型の割に素早い!!
「なんて驚くと思った?」
光波ブレード、流れるように二発目。
速度だけはピカイチな今乗ってる愛機、グレートアークくんのトリプルアクセルでもう一発なのだ!
<ノア>
『ハァッ!!
だから、そんな鋭い殺す気の反撃をしてッ!!
誘っているのか!?楽しませてくれる大鳥ホノカッ!!』
アサルトブースト回避の硬直狙ったつもりだったのに、ストライクブースト起動して前に避けるって何さ!?
「言ってることマジで厄介ストーカーファンじゃん」
<ノア>
『すまないが事実だなぁ?否定が出来ない……!
ハッキリ言ってますますファンになりそうだ……!!』
なんでそんなスッゲェ楽しそうな声してるのー?
怖いよー??
<ノア>
『ハァ、ハァ……ダメなんだよ、やはり私は』
「ダメなのは性癖じゃない」
<ノア>
『その通り……!!
色恋沙汰よりも、名誉よりも!!
どうしようもない
遺伝子調整のバグが出てしまったどうしようもない個体……ッ!!
それが私だ……ふぅー、そうだ。
そんなどうしようもないヤツが私だ……!!』
ミサイル。こういうのは前に回避。
お利口な誘導くんは、機銃で対処。
<ノア>
『何でなんだろうなぁ……?
この星で一番進んだ機動兵器である我らの『
あのハールートや、最新型のジブリールといった機体達……
スペック上では全ての総合力が高いはずの機体より……
今私の操る
私と一体となって戦ってくれる……!!
この機体の方が動きがいい。全てのスペックが上のジブリールより、何より馴染む……!!
神経接続の有無では無い。
この手に馴染んで、敵や目標を破壊する快楽を直に伝えてくれるんだ』
こんなイっちゃってること言いながら、
周りは甲板。
そこまで遮蔽がないけど、真上のもう一個の甲板のせいで高度制限もあるのに……いやあるの知ってる。
冷静だよ戦いが。
「性癖暴露大会ってワケ?
私も耳年増って言ってもさぁ、まだ16の未成年なんだから大人が弁えたらぁ!?」
<ノア>
『だったらそれらしいことを言ってやる。
我が方の精鋭部隊をシバき回して鍛える役も務めた私と愛機を相手にしてッ!!反撃までこなすッ!!
そんな、そんなバトルジャンキーの私を誘うような攻撃しておいてッ!!
嫌そうな声を出すなッ!!!戦え大鳥ホノカァッ!!!』
「あーヤダヤダ!言ってることが痴漢親父じゃん!!」
それもこの痴漢は、ガトリング2丁持ち。
やたらめったら、でもできればそっちに向けないで欲しい方向から撃ってくるし、4脚は足場が有れば重いけど速いから追いかけ回すのも大変。
ハンドガン、ハイスピードミサイル。
私のグレートアークの攻撃は、足止め用。威力より相手のオートバランスシステムに負荷をかけまくる衝撃に特化した武器。
バランスを崩した場所へ最高速度で近づいて、最強最つよつよなレーザーブレードで一刀両断。
4脚の安定性は、タンクと同じくハッキリ言ってこういう武器が刺さりにくい。
コトリちゃぁぁん!!!こういう時どうすりゃいいのぉぉぉぉ!?!?
<イオ>
《────こりゃ、ダメですね》
と、コトリちゃんの次に頼れる機体制御AIのイオちゃんの発言にハッとなる。
「……!!
それもそうだ。ダメじゃんこんなの……!!」
相手は、そもそもフレームからして私のグレートアークと相性が悪い。
いや勝てないこともないけど……そもそも私達はこの要塞を相手にしていたはずなのに。
「領主さぁぁぁぁん!!!
これ撤退した方が良いんじゃないのぉ───ッ!?」
じゃあ、この戦いする意味ないじゃんよ。
そもそも目の前の敵を倒してまで、ってやったらもうこれは追加報酬レベルだ。
<ヴィオラ>
『……そうね。この要塞の破壊は、まぁこの程度で良いでしょう』
ボン、と音を立てて、もう一つのこの移動要塞のデッカい3つ並んだキャノンの片方が破壊されて、吹き飛んだ。
いつの間に……!?
<ヴィオラ>
『
完璧に落とせなかったのは痛いけど、あなた達のこの短時間の活躍のおかげで一番壊さないといけない物は壊せたわ!!』
言葉と一緒に、もう片方の3つ並んだキャノンが爆発する。
<ノア>
『なんだって!?』
<ティア>
『歳とると嫌なことだらけさ。腰は痛いし目は霞む。
そんな衰えってヤツが操縦にも出る。
だからこそ、勝手に相手が侮ってくれるってもんだ。こう言う嫌がらせの時はね!!』
どうやら、お婆ちゃん達がやってくれたらしい。
<ヴィオラ>
『撤退よ
報酬分は働いてくれて感謝する!!!
さぁ!!逃げないとその報酬を受け取れる命が消えるわよ!!!
撤退を命令する!!死んだら報酬無しよ、
「そう言われちゃ逃げるしかないよね!!!」
目の前の敵に光波ブレード。
ついでにハンドガンで牽制して、後ろにピョンピョン、小ジャンプ逃げ開始!!
<ノア>
『!?
逃げるのか!?』
「やってられるか、もう逃げて良いって言われているのにさ」
相手の攻撃を避けながら、スタコラ逃げるのだ!
遠く、即座に頼れるオペレーターのカモメちゃんから逃走ルートの表示を送ってくれた。
逃げる準備はオッケーだ。
<ノア>
『ふざけるなぁッ!!
ここまできて逃すと思うか!?
強敵を前に背中を向けるか!?
戦士としての誇りはないのかッ!!!』
「あるわけないじゃんそんなもん!!!
私たちは
金貰ったからには貰った分の働きはするけど、そもそも戦いたくて乗ってるような
お仕事で戦いをしてるだけ!!分かる!?
無駄な戦いなんて誰が好き好んでするかバーカバーカ!!!」
ふざけるなぁ、と怒号と一緒にガトリングとグレネードが飛んできた。グレは辞めてグレは。
<ノア>
『そんな話があってたまるか!!
私はその
そんな私が追い求めた強敵であるお前が!!
なんで……』
「そっちの価値観押し付けないでくれるぅ?」
<ノア>
『こっちのセリフだそれはァァァァッ!!!』
「つーか、よっぽど金積んでもらわないと、そっちみたいな何もかも面倒くさい相手と殺し合いなんて好き好んでしないから。
まぁこれ以上言うことないし、じゃあね迷惑ストーカーさん。
帰るわ」
ストライクブースト起動。
ただし、相手はこっちの動きを予測して射撃してくる。
<ノア>
『帰るなぁッ!!帰らないでくれぇッ!!』
「しつこいんだよマジで!!
ストーカーと戦う気ないって何回言えば良いワケ!?!」
<ノア>
『ここまで追い詰められない相手を!!
これからきっと楽しく殺し合えると肌で感じる相手に粘着ぐらいはするだろうがッ!!』
あーもうヤダヤダ、この人なにマジになってんだか。
見なよ、もう私の事しか見てないせいか、ここがそっちの守る要塞なの忘れてるじゃん。
施設撃ってるよもう……
<ノア>
『嫌だ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁッ!!
ずっと我慢してきたんだぞッ!!義務も義理もある艦長職もこなしてッ!!本当にやりたかったこと我慢してッ!!!
私は!!!私は確かにバウンティターゲット部隊を作り上げた!!
本性だけが理由じゃない、仲間や同胞のためにッ!!
だが、同胞は私ほど強くはない!!!
強いが、彼女らも優秀だが!!!
私とは違うんだッ!!何かが!!』
メチャクチャなこと言ってるけど、一個だけ同意。
こんな泣きそうな声で、攻撃だけは冷静に私を追い詰める。
グレートアークの強みを殺す、運動性能を殺す攻撃だ。
強いな。
私に勝ったツナコちゃんとか、ハロウィンスコードロンの元私のランクのジェーン・ドゥ、ランク2傭兵伯ことアンネリーゼさんレベル。
なんか、これまでの敵と違う。
というより……
<ノア>
『最高の状況だったのに!!!
私と同じだお前は!!
お前も、私も!!!』
ここでストライクブースト。
前脚2つをこっちに向ける。
<ノア>
『同じイレギュラーなんだろう!?!
お前も!!!』
ガキャァンッ!!!
クロスカウンターの
軽量機のグレートアークの規格外のブースト出力で、相手の四脚の重い蹴りをなんとか押し留める。
「それ久々に聞いたわ。
そんなこだわることそれ?」
けど、重さが違う!!
前脚二つ分、装甲が厚い分の重さで負けて、気がつけば適当な砲台にガッチリと押さえつけられたグレートアーク。
上手い……!!脚を潰されたも同然だ!
<ノア>
『こだわるに決まっているッ!!
遺伝子に生まれてしまった呪いを、この
「変なこだわり面倒臭い!!」
グレートアークの右腕のブレードを起動。
瞬間、相手の右のガトリングをハンマー見たく叩きつけられて、爆発したガトリングを犠牲に自分を守る。
防御まで上手いなぁ、ムカつく!!
<ノア>
『この詰みに近い状況でこの攻防!!
ああ……やっと満足できる相手に出会えた……!』
「気持ち悪いってば!!!」
私のグレートアーク左腕のハンドガンを向けた瞬間、相手の左腕に残っていたガトリングが向けられた。
咄嗟に、ハンドガンごと左腕をぶつけて逸らしてガトリング直撃を回避。
けど、そのままコックピットに叩き込むつもりだったハンドガンは相手の空いた右腕で取り出した格納ハンドガンを構えると同時に下からぶつけて逸らされた。
逆に向けられたハンドガンを、急いで右腕のブレードを横からパンチみたく叩き込んで逸らす。
ついでだぶった斬れ……というのも、上手く相手の四脚の前脚を使って私を持ち上げて空振り。
私のいるコアにゼロ距離!
敵のガトリングが回る前に、左のハンドガンをぶっ放して砲身を……クソ、砲身をギリギリ動かしたせいでぶっ壊せない!相手の射線も外れたけど!!
ブレード振ったせいで右腕は外に伸びたまま……
だったら、とグレートアークがロボットなのを最大活用!
腰のジョイントで一回転ぶった斬り!!
ガシン!!
まさかの相手も上半身を回転させて、ガトリングの方の腕で私のブレードのある腕にガトリング基部をぶつけて触れたらアウトな方の刃を止める。
でも本命はハンドガンじゃいッ!!
そして相手もかい!?
ズドン!!
お互いのハンドガンがお互いを払いのけて、虚空に弾が飛ぶ。
なんだコイツ……!!
こんなに苦戦することって久々……!!
今更だけど、イレギュラーってヤツなのを体感したって感じ。納得したって言うべき?
<ノア>
『……フッ!
楽しいなぁ……!?ここまで攻めきれないとは……!』
「どこが楽しいんだか……!!
ここまで攻めきれないってさ……!!」
お互い、この距離だとEシールドも意味がない。
何やってもEシールド貫通で直撃。
だから必死に至近距離でバーン!しようとして、そんなことされたくなくてこうなってる。
このストーカーと、離れられない。
もう撤退して良いって言うのに……!!
ダメかもしれない……!!!
良い加減何か変わって欲しいと思っているタイミングで、近くの半透明なパネルが────移動要塞のEシールド発生器がブゥンと起動した。
<ノア>
『応急修理が早かったか』
「嘘でしょ、このタイミングで』
だけどそこからちょっと様子がおかしいことになった。
バチチチチチチチッ!!!
ブォォォォォォォン!!!!
突然、その装置が放電を始めたんだ。
瞬間、なんか光が強まった、って感じて気がつけばお互いに距離を離していた瞬間、ボンと衝撃波がその装置からぶっ放されて元いた位置に光が通り過ぎる。
明らかに破壊的なエネルギーのやつが。
<ノア>
『なんだ今のは!?!』
「……なんだっけ、たしかあのおチビちゃんの武器の……」
<イオ>
《今の、ブラストアーマー!?》
そうそうそれそれ、Eシールド攻撃転用とか、なんか収束?的なヤツだイオちゃんや。
<ノア>
『そんな欠陥兵器は我らネオツーは好まない!!
そもそもホーネットにそんな機能は……!!』
まだバチバチ言ってたEシールド発生器が、ブゥンと私達の目の前まで膨らんだシャボン玉みたいなEシールドを生み出す。
そして、即座にそれが光り輝いた。
「『ブラストアーマー!?!』」
よく使うeX-Wというか、Eシールド持ってる兵器なら使えるって聞いてた気がする武器が起動した。
無差別の衝撃波をグレートアークの速度で避けて、間に合わないから甲板の外へ出た瞬間下へ急速移動!
アサルトブースト便利って思っている間に、真上で大爆発じみた衝撃波が起こる。
ズドォォォォンッ!!
「うぉ……!!」
視線の先、上に甲板の一部が崩落する衝撃が来た。
そして見ちゃった。
他の甲板も、次々爆発やら何か光球がぶっ飛んで、敵も味方も甲板から飛び降りるのを。
<火星統一政府軍より広域周波数帯>
『全員聞けッ!!!
現在ホーネットはダメージのせいでEシールドのエネルギー経路が壊滅的な故障を起こした!!!』
ご丁寧に、全員に聞こえる無線を相手がしてきてくれた。
<火星統一政府軍より広域周波数帯>
『このままではホーネットが自壊する!!!
それを防ぐために……!!』
そして、何言い出すかと思えばさぁ……!!
<火星統一政府軍より広域周波数帯>
『本艦の余剰エネルギーを、大規模ブラストアーマーとして発射する!!!
Eシールド機能を消失するが、どのみち本艦は作戦を遂行できない!!
味方部隊は今すぐ帰投せよ!!
敵も無理心中する気がなければ去れ!!!
痛み分けだ!!!』
「おっしゃ!良い敵さんだ!!!
お望み通りに逃げちゃうもんねー!!!」
ブラストアーマーなんて食らって死にたくない!
いや何がなんでも死にたくない!!
あのストーカーともう戦う必要もないから、逃げなきゃ損──────
<ノア>
『どうやら、我々の逢瀬ももう少ししかないらしいな』
私は、ストーカーって何が怖いのか、多分この時身をもって体感したんだと思う。
警報。回避。真横を掠める弾丸数発。
<ノア>
『最後までやろう。お互い次も会えるとは限らない』
真上には、ストーカーの4脚がいる。
「もう2度と会いたくないって!!!!
こんな時にもう何もかもダメじゃん!!!!
最低!!!!」
***
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