MISSION 9 :マッコイ商店出張サービス







 さて、脳の怪我も治ったし戦場に復帰するまーえーにー、ってインペリアルさんの使わせてもらっているeX-W格納庫の脇にやってきた傭兵系美少女の大鳥ホノカちゃんなのですがー、



「あらま、新人ちゃん達もいるじゃん」


 なんだか、疲れた顔で格納庫脇の自販機で何か各々缶の飲み物飲んでいる新人ちゃん4人の生き残りがいましたとさ。





「私もみんなもアンタ歳上なんだけど??」


 こちら切長な瞳とボブカットな美少女で、私並みにおっぱいがでっっっかい子が、たしかミコトちゃん




「私もう成人してるのに‪……‬」


 で、逆に一番背も低いし顔がまんまるくりくりお目目の童顔の成人済みお姉さんはノドカさん。お酒飲めるらしいね。



「もうなんでも良いよ‪……‬もうお先真っ暗なあーし達だし‪……‬ガクッ」


 で、こっちの黒髪に派手な青いメッシュを髪に施しているギャルちゃんが、ハルナちゃん。1か2、歳違いだっけ?



「‪……‬‪……‬アレだけ戦って‪……‬少ない稼ぎね案外‪……‬

 でも生きてるからそう思えるのかという安心もあって複雑ね‪……‬」


 そういうメガネの委員長っぽい人がたしか、フミカちゃんだっけ?一瞬名前忘れちゃった‪……‬テヘ




「てかさ、この目の前のデカい飛行機。アンタが呼んだってマジ?」


 と、オレンジジュースの紙パック持ってる指を指すミコトちゃんが尋ねてきた。


「そうだよー。

 馴染みのパーツショップの出張サービスだよ。

 お金かかったけど」


「金持ちかよ」


「はっはっは、でも懐は結構痛いのだ。

 さてと‪……‬覚悟決めないとな、多分店主のマッコイさんは怒ってるだろうし」


 プシュー、と飛行機側面のドアが開いて、出てきたのは‪……‬


「ウプッ‪……‬だ、誰か紙袋くれっす‪……‬!!」


 と、顔色が悪い褐色肌の4つ腕強化人間プラスアルファな整備員系の女の子、

 そう、頼れる整備の人、ユナさんであった。


「あ、やべ!

 えっと‪……‬あったー!!昨日の私かカモメちゃんがポッケに入れてたー!」


「アザっす‪……‬おええええええええええええええ」


「大丈夫この人??」


「ユナさんは頼れる整備屋さんだよ?

 ただし空飛ぶ乗り物にはこの通りメチャクチャに弱いんだよミコトちゃんや。

 空飛ぶ乗り物はバッチリ整備するのにね?」


「ミコト『さん』ね?さん付けろ年下」


「逆にオイラはちゃん付けで良いって言ってるじゃ無いっすかホノカちゃーん‪……‬」


 と、元気がない顔で吐いちゃったヤツを近くのゴミ箱に入れるユナさん。


「まぁいっか」


「よくないよ」


「それでユナさんや、マッコイさんは?」


「え‪……‬先に出てたはずっすけど??」


 んんー?


 ‪……‬‪……‬そういえば、ミコトちゃんのキレのいいツッコミがないな。

 ほら、『無視かよ』とかそういうの。

 なんでないの?呆れちゃった?いやいやそんなだったら小声で言いそうじゃん?


 んん〜‪……‬?

 ‪……‬念のために後ろみておこう。



「‪……‬ッ!!」


「‪……‬ッ!!ッ!?!」



 みんな、ちょっと上を見て物凄く引き攣った表情でガタガタ震えている。

 あ、ハルナちゃん持ってたパックの飲み物落とした。



 やだなー、こわいなー

 みんな見てる方角がさー、私の頭上なんだよねー


 なんかいるってもう言ってるもんだよねー、上向きたくないなー


 ‪……‬‪……‬いや向かなきゃ話進まない気がするしね、うん。勇気を出して上をちら‪……‬



「ッッ!?!?!?!」



 そこにいたのは、逆さにこの大型輸送機の外に張り付いた、黒く長い髪に和服の人物だった。


 4つの手足で壁に張り付くのはまだわかる。


 問題は、背中を機体側にして、こちらにすんごい恨めしい顔を向けているっていうホラーな絵面ってこと。


「ま〜〜た〜〜勝手に、わたくしの店以外でパーツを拾いましたわね〜〜〜〜〜!?!?!?!?」


「ギャァァァァァァァァァ!?!??

 マッコイさん、その登場は怖過ぎでしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」


 背中を壁に向けたまま、ああ昔こんな登場した幽霊が出たクッソ怖いホラー映画のワンシーンの如きズズズとすごい速さで四肢を動かしてその時の幽霊と同じような怖い顔を向けながら、私が呼んだ『マッコイ商店』の店主マッコイさんが近づいてきた。









「もう!毎回毎回パーツを拾ってばかりで!!

 わたくしのお店のパーツだけ買ってればそれで良いのに!!たまに30%オフもしておりますのよ!?

 もー!!ぷんぷん!!」


「ごめんて!緊急事態だったし、いつも埋め合わせしてるじゃん!紅茶あげるから許してよぉ‪……‬」



 数分後、今度は子供のようなプクーと美人な顔を膨らませてポコポコ私を叩いてくるマッコイさんがおりました。

 紅茶奢っといた。パックだけど美味しいよ。

 そして当然の如く2個のミルクティーも要求。ちくせう。


「な、なにそのアンタの知り合い‪……‬!?

 情緒どうなってるの‪……‬!?!」


「あー、こちらマッコイさん。偽名ね?

 eX-Wパーツショップ『マッコイ商店』の店主さんで、金さえ払えばお城でも売ってくれる人だよ。

 ただ自分のところ以外で買うのは、」


「絶対に許しませんわよッ!?!

 拾ったパーツなんて言うのも本当は‪……‬本当は!!」


 と、恐ろしい笑みの顔を両手で覆うポーズ‪……‬なんだっけ、ヤンデレのポーズだっけ?で叫ぶマッコイさん。

 新人ちゃんはビビってるよ‪……‬

 だーからマッコイ商店閑古鳥鳴いてるんだって。


「ったくこの店主は、すーぐ客無くす態度とるんすよねー!

 まぁ良いや、どうせこの上客は間違いないホノカちゃんはすでに注文受けてるんだし、多少拾ったって良いじゃ無いっすか、ねぇ?」


「ぐぬぬぬぬぬ‪……‬‪……‬うぅぅぅぅ‪……‬!

 なんで、こんなすぐにパーツを拾ってくるようなアホの子様が、一番かつ常連な上客なんですの〜??」


 そりゃ、拾ってきたり強奪したパーツはあっても、買ってる店はマッコイ商店だけだし私?



「‪……‬てことは、私の相方、アップグレード完了?」



《なんだ、私のこと忘れてたのかと思ったよ》


《右に同じですよー、ホノカちゃん》


 と、ムッとしているマッコイさんの背中から、クリクリした黒いカメラなおめめだけのデフォルメ顔の、手足がまんまるミトンっぽく大きい3頭身ボディのロボちゃん2人が大登場。


「おー!コトリちゃん、イオちゃん、お元気ー?

 私は真面目に会いたかったよ〜」


 と言うわけで2人を、「「待ってデカいから圧迫感がガボッ!?」」とか言うのにも構わず抱っこしてぎゅー!

 いや本当会いたかったよ相棒ちゃん達〜!



「わ‪……‬何それ可愛い!!」


「喋った!!」


「ちょ、それは窒息するって!胸のサイズ考えろ!」


「あー‪……‬コトリちゃんやロボも窒息する?」


《しないけど、耐圧限界はあるからなデカ乳ホルスタイン!》


 てしてし赤い方のコトリちゃんに叩かれる我がちょっと育ちすぎたわごめんと常に謝っている私のおっぱい。


《それはそれとして、耐圧限界測定レベルで抱きつくほど私達に会いたかったとは何事なんですかホノカちゃん!?》


 と、白い方のイオちゃんの言葉と共に、2人とも私によじ登って肩に30cmボディを座らせた。


「わぁ‪……‬!

 キツネザルみたい‪……‬可愛い〜」


「ただ可愛いだけじゃ無いぜいフミカちゃんや。

 この子らが私の命を今まで担保してくれてたって言っても過言じゃ無いや」


 と、容赦無くコトリチャンのぷにぷにな対衝撃素材ほっぺをつつくフミカちゃん以下皆を下がらせて、早速マッコイさん達へ向き直る。


「じゃあ、マッコイさんは死ぬほど嫌だろうけど、拾った機体を見てもらおうか」


「‪……‬ふん!なにかはパーツ買ってもらいますからね!」





           ***





 マッコイ商店出張用輸送機店、

 側面が開いてeX-W用格納ガレージになったそこに、アヤナミマテリアル社ほぼ純正の軽量二脚フレーム『秋月七型改』ベースの新型機、


 本当はペンギンちゃんって名付けたかった機体である『グレートアーク』が運ばれてきた。




《‪……‬スピードが早すぎて振り回されると聞いて、どんなスポーツカーなのかって思ってきてみたら‪……‬


 大気圏を飛び出せるような宇宙ロケット持ってくるとは思わなかった‪……‬》



《O.W.S.は強化人間のギリギリを攻めた機体を作ることには定評がありますけど、


 アヤナミマテリアルは人間に機体性能の扱えるギリギリを攻めさせるような機体を作るのは相変わらずですね‪……‬》



「いつか言ったっすよね、ホノカちゃん?

 アヤナミマテリアル標準機を使う奴は、正気じゃ無いって。

 よく正気を失わずに使えたっすよこれ!

 IQ3のバカ理論を本当に形にしてるじゃ無いっすか!」



「やっぱそうだよね、コレ」



 私が美少女が出しちゃいけない出血をしながら、やっと操縦できるような難物。

 多分、普通に動かしているだけで、宇宙航行用の特殊なシステムUFOと同じような負荷がかかるのはありえないよねー。


《‪……‬‪……‬でも扱いたいって言うんだね?》


「売り払うのも勿体無いしね」


《まぁ、でも私か、イオちゃん搭載しておけば、流石に毎回脳がダメージ受ける事はないよこのスペックなら》


《はいはい!じゃあ私がこの機体担当したいです!!

 元々、フロートより高速機の中2とか軽2用のAIなんですよ私って?》


「じゃあペラゴルニスどうしようかな?

 持ってきてくれたんだっけ、マッコイさん?」


「ええ、なんとか持ってこれましたわよ?

 そして‪……‬ウフフ、こんなこともあろうかと!」


 と、行って和服の裾を持って駆け足でマッコイさんは輸送機の中へ。

 そして、しばらくしてキリキリ音を立てて台車と共に運んできた木の箱‪……‬‪……‬は‪……‬?




「ねぇマッコイさん、箱の上で寝てるのは?」


「ああ、ついでに持ってきてしまいましたわね」



 すぴー、と寝るのは、パイスーインナーのままだけど、ものすごく見たことあるまんまる可愛い寝顔のあの子。


「「「「「え!?!?」」」」」


 ああ、そういえば新人ちゃんも知っている有名人だっけ?



「んいー?

 あるぇ、もしかして着いてた〜?

 ふぁ〜〜‪……‬ごめんねぇ、昨日が今日になるまでまでライブだったんだ〜‪……‬急いで来たから眠くって〜‪……‬くぅー!」



 って背伸びしながら、立ち上がる、ツインテ可愛いこの子は!






『あ、ありすちゃんだぁぁぁぁッッ!?!?』





「お、なになに私のファンちゃん達?

 やっほー、ガチタン系傭兵アイドル、ありすちゃんでーすっ☆

 ハイタッチー!イェーイ!!」




 いえーい、とファンサービス開始するは、私もそういうの疎くて知らなかったけど、地味にテレビ付けてたらどこかには映ってたぐらい人気のアイドル、ありすちゃん!


 こう見えて、傭兵スワンとしてのキャリアも長い実力者だ。




「あばばばば、あ、ありすちゃんとハイタッチしちゃった‪……‬!!」


「生ありすちゃんハイタッチって畏れ多すぎて‪……‬!」


「手洗うのもったいないかもしれないわ‪……‬!」


「やばいー‪……‬もしかして明日死ぬのあーし‪……‬?」



「はっはっはー!

 ねぇー、コレが普通の反応なぐらい私って売れっ子なんだぞ、ホノカちゃんやー!!

 ほれほれ、もうちょっと感謝するんだぞーい?君の妹ちゃんぐらい目を輝かせてさー?」


「ごめんてー、スーパーアイドルのありすちゃん様ー?パックのレモンティーいる?」


「いるー♪

 というかウソウソ〜♪そんな態度取られるほど他人行儀な仲じゃないよね〜、ホノカちゃーん?」


 はははー、と地味にレモンティー派だったのは前聞いてたありすちゃんが笑って言うのを、後ろですごい顔で見る新人ちゃん達。


「あ、あんた、ありすちゃんの‪……‬関係者‪……‬?」


「ただの戦友だよ。背中を預ける程度の中」


「そうそう、私は敵対NGってぐらい強い傭兵スワンだしね〜、ホノカちゃんって。

 後、ガチタンアセンのセンスが良いんだよ〜?」


 とりあえず肩を組んでハハハと笑う仲ではある。

 なんか、ウマが合うんだありすちゃんとは。


「ハッ!

 というかごめーん!そういえば、ありすちゃん、こっちのマッコイさんに乗せてってもらうためにさー、

 ホノカちゃんの可愛いティタニスちゃんとフロートのヤツ以外の機体の代わりに私のハピ☆タン載せちゃった♪」


「えっマジで!?

 じゃあアルゲンタヴィスは!?」


《ハーストイーグルも無い事を気にして欲しい》


「マジかー!

 ‪……‬となると、軽量機は事実上このグレートアークだけかー‪……‬」


 武器腕フロート機体構成アセンのペラゴルニスは、まぁちょいと扱いがね〜‪……‬



「まぁなんとかなると信じて‪……‬そういや、マッコイさんや、ありすちゃんと一緒に何運んでたの?」


「ようやく本題に入れますわね」


 と、必死に木箱をバールで開けてくれていたマッコイさんが見えて、とりあえず頭をありすちゃん共々下げておいた。流石にごめんて。


 そして、運ばれた木箱の蓋が剥がされると、なんだか見たことあるミトンみたいなデフォルメハンドが現れた!



「あ、ウェザーリポーターちゃん達だ!」


『『『やはー!』』』



 そこから出てきたのは、30cmデフォルメボディの可愛い子達!

 そう、コトリちゃんとかと同じ、ウェザーリポーターちゃん達がいっぱい!



「と言うわけで、ペラゴルニス用にもティタニス用にも好きに買ってくださいまし!

 まったくもう、拾った奴分はちゃんと利益を出してもらいますからね!」



「わー何コレ可愛いー!」


「フニフニ〜!」


《やーめーてー、つーつーかーなーいー!》



 と、私以上に新人ちゃん達が大興奮なのだった。

 まぁ、悪くないかも。私もコトリちゃんに散々鍛えられたからね‪……


 中身という名の人格データ、無人機用のロジックがが、昔地球で活躍してた傭兵スワンのコピーとは思うまいてね。



「じゃあ、私も選ぶか‪……‬

 コトリちゃん、イオちゃん、オススメを‪……‬」


「あ、待つっすホノカちゃん!」


 と、ここでユナさんが呼び止めた。


「お、何かな?」


「選んでる間、このグレートアーク弄って良いっすかね?

 『フレームチューン』したほうが良いっすよ?」


「あ、そっか!お願い!」



 ユナさんに言われたのは、機体のチューンアップ‪……‬ちょっとした改造の誘いだった。


 ま、どうせ買い物するならやってもらうか!



          ***

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